怪人二十面相_4

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(そうじくんがおもいついたわなというのは、きょねんでしたか、)

壮二君がおもいついたわなというのは、去年でしたか、

(おとうさまのおともだちで、さんりんをけいえいしているひとが、)

おとうさまのお友だちで、山林を経営している人が、

(てつのわなをつくらせたいといって、あめりかせいのみほんを)

鉄のわなを作らせたいといって、アメリカ製の見本を

(もってきたことがあって、それがそのままどぞうにしまってあるのを、)

持ってきたことがあって、それがそのまま土蔵にしまってあるのを、

(よくおぼえていたからです。)

よくおぼえていたからです。

(そうじくんは、そのおもいつきにむちゅうになってしまいました。)

壮二君は、その思いつきにむちゅうになってしまいました。

(ひろいにわのなかに、ひとつぐらいわなをしかけておいたところで、)

広い庭の中に、一つぐらいわなをしかけておいたところで、

(はたしてぞくがそれにかかるかどうか、うたがわしいはなしですが、)

はたして賊がそれにかかるかどうか、うたがわしい話ですが、

(そんなことをかんがえるよゆうはありません。ただもう、むしょうに)

そんなことを考えるよゆうはありません。ただもう、無性に

(わなをしかけてみたくなったのです。そこで、いつにないはやおきをして、)

わなをしかけてみたくなったのです。そこで、いつにない早起きをして、

(そっとどぞうにしのびこんで、おおきなてつのどうぐを、えっちらおっちら)

ソッと土蔵にしのびこんで、大きな鉄の道具を、エッチラオッチラ

(もちだしたというわけなのです。)

持ちだしたというわけなのです。

(そうじくんは、いつかいちどけいけんした、ねずみとりをかけたときの、)

壮二くんは、いつか一度経験した、ネズミとりをかけたときの、

(なんだかわくわくするような、ゆかいなきもちをおもいだしました。)

なんだかワクワクするような、ゆかいな気持を思いだしました。

(しかし、こんどは、あいてがねずみではなくてにんげんなのです。)

しかし、こんどは、相手がネズミではなくて人間なのです。

(しかも「にじゅうめんそう」というきだいのかいぞくなのです。わくわくするきもちは、)

しかも「二十面相」という希代の怪賊なのです。ワクワクする気持は、

(ねずみのばあいの、じゅうばいもにじゅうばいもおおきいものでした。)

ネズミのばあいの、十倍も二十倍も大きいものでした。

(てつわなをかだんのまんなかまではこぶと、おおきなのこぎりめのついた)

鉄わなを花壇のまんなかまで運ぶと、大きなのこぎりめのついた

(ふたつのわくを、ちからいっぱいぐっとひらいて、うまくすえつけたうえ、)

二つのわくを、力いっぱいグッとひらいて、うまくすえつけたうえ、

(わなとみえないように、そのへんのかれくさをあつめて、おおいかくしました。)

わなと見えないように、そのへんの枯れ草を集めて、おおいかくしました。

など

(もしぞくがこのなかへあしをふみいれたら、ねずみとりとおなじぐあいに、)

もし賊がこの中へ足をふみいれたら、ネズミとりと同じぐあいに、

(たちまちぱちんとりょうほうののこぎりがあわさって、まるでまっくろな、)

たちまちパチンと両方ののこぎりがあわさって、まるでまっ黒な、

(でっかいもうじゅうのはのように、ぞくのあしくびに、くいいってしまうのです。)

でっかい猛獣の歯のように、賊の足くびに、くいいってしまうのです。

(いえのひとがわなにかかってはたいへんですが、かだんのまんなかですから、)

家の人がわなにかかってはたいへんですが、花壇のまんなかですから、

(ぞくでもなければ、めったにそんなところへふみこむものはありません。)

賊でもなければ、めったにそんなところへふみこむ者はありません。

(「これでよしと。でもうまくいくかしら。まんいち、ぞくがこいつに)

「これでよしと。でもうまくいくかしら。まんいち、賊がこいつに

(あしくびをはさまれて、うごけなくなったら、さぞゆかいだろうなあ。)

足くびをはさまれて、動けなくなったら、さぞゆかいだろうなあ。

(どうかうまくいってくれますように。」)

どうかうまくいってくれますように。」

(そうじくんは、かみさまにおいのりするようなかっこうをして、)

壮二くんは、神さまにおいのりするようなかっこうをして、

(それから、にやにやわらいながら、いえのなかへはいっていきました。)

それから、ニヤニヤ笑いながら、家の中へはいっていきました。

(じつにこどもらしいおもいつきでした。しかししょうねんのちょっかんというものは、)

じつに子どもらしい思いつきでした。しかし少年の直感というものは、

(けっしてばかにできません。そうじくんのしかけたわなが、)

けっしてばかにできません。壮二君のしかけたわなが、

(のちにいたって、どんなじゅうようなやくめをはたすことになるか、)

のちにいたって、どんな重要な役目をはたすことになるか、

(どくしゃしょくんは、このわなのことを、よくきおくしておいていただきたいのです。)

読者諸君は、このわなのことを、よく記憶しておいていただきたいのです。

(ひとかまか)

人か魔か

(そのごごには、はしばいっかそうどういんをして、きちょうのそういちくんを、はねだくうこうに)

その午後には、羽柴一家総動員をして、帰朝の壮一君を、羽田空港に

(でむかえました。)

出むかえました。

(ひこうきからいるたったそういちくんは、よきにたがわず、)

飛行機からいるたった壮一君は、予期にたがわず、

(じつにさっそうたるすがたでした。)

じつにさっそうたる姿でした。

(こげちゃいろのすすきがいとうをこわきにして、おなじいろのだぶるぼたんのせびろを)

こげ茶色の薄がいとうを小わきにして、同じ色のダブル・ボタンの背広を

(きちんときこなし、おりめのただしいずぼんが、すーっとながくみえて、)

キチンと着こなし、折り目のただしいズボンが、スーッと長く見えて、

(えいがのなかのせいようじんみたいなかんじがしました。)

映画の中の西洋人みたいな感じがしました。

(おなじこげちゃいろのそふとぼうのしたに、ぼうしのいろとあまりちがわない、)

同じこげ茶色のソフト帽の下に、帽子の色とあまりちがわない、

(ひにやけたしゃくどういろの、でもうつくしいかおが、にこにこわらっていました。)

日にやけた赤銅色の、でも美しい顔が、にこにこ笑っていました。

(こいいちもんじのまゆ、よくひかるおおきなめ、わらうたびにみえる、よくそろった)

濃い一文字のまゆ、よく光る大きな目、笑うたびに見える、よくそろった

(まっしろなは、それから、うえくちびるのほそくかりこんだくちひげが、)

まっ白な歯、それから、上くちびるの細くかりこんだ口ひげが、

(なんともいえぬなつかしさでした。しゃしんとそっくりです。)

なんともいえぬなつかしさでした。写真とそっくりです。

(いや、しゃしんよりいちだんとりっぱでした。)

いや、写真よりいちだんとりっぱでした。

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