怪人二十面相69

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問題文

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(ふすまをひらいて、ろうかへでて、いちばんおくまったへやへ)

ふすまをひらいて、廊下へ出て、いちばん奥まった部屋へ

(たどりつきましたが、みょうなことに、そこはがらんとしたじゅうじょうのからべやで、)

たどりつきましたが、みょうなことに、そこはガランとした十畳の空部屋で、

(しゅりょうのすがたはどこにもみえません。)

首領の姿はどこにも見えません。

(こじきがなにか、あごをしゃくってさしずをしますと、うつくしいおんなのぶかが、)

乞食が何か、あごをしゃくってさしずをしますと、美しい女の部下が、

(つかつかととこのまにちかより、とこばしらのうらにてをかけて、なにかしました。)

ツカツカと床の間に近より、床柱の裏に手をかけて、何かしました。

(すると、どうでしょう。がたんと、おもおもしいおとがしたかとおもうと、)

すると、どうでしょう。ガタンと、おもおもしい音がしたかと思うと、

(ざしきのまんなかのたたみがいちまい、すーっとしたへおちていって、あとに)

座敷のまんなかの畳が一枚、スーッと下へ落ちていって、あとに

(ちょうほうけいのまっくらなあながあいたではありませんか。)

長方形のまっくらな穴があいたではありませんか。

(「さあ、ここのはしごだんをおりるんだ。」)

「さあ、ここのはしご段をおりるんだ。」

(いわれて、あなのなかをのぞきますと、いかにもりっぱなきのかいだんが)

いわれて、穴の中をのぞきますと、いかにもりっぱな木の階段が

(ついています。)

ついています。

(ああ、なんというようじんぶかさでしょう。おもてもんのせきしょ、げんかんのせきしょ、)

ああ、なんという用心ぶかさでしょう。表門の関所、玄関の関所、

(そのふたつをとおりこしても、このたたみのがんどうがえしをしらぬものには、)

その二つを通りこしても、この畳のがんどう返しを知らぬ者には、

(しゅりょうがどこにいるのやら、まったくけんとうもつかないわけです。)

首領がどこにいるのやら、まったく見当もつかないわけです。

(「なにをぼんやりしているんだ。はやくおりるんだよ。」)

「なにをぼんやりしているんだ。早くおりるんだよ。」

(あけちのからだをさんにんがかりでかかえながら、いちどうがかいだんをおりきると、)

明智のからだを三人がかりでかかえながら、一同が階段をおりきると、

(あたまのうえで、ぎーっとおとがしてたたみのあなはもとのとおりふたをされて)

頭の上で、ギーッと音がして畳の穴はもとのとおりふたをされて

(しまいました。じつにゆきとどいたきかいじかけではありませんか。)

しまいました。じつにゆきとどいた機械じかけではありませんか。

(ちかしつにおりても、まだそこがしゅりょうのへやではありません。うすぐらい)

地下室におりても、まだそこが首領の部屋ではありません。うす暗い

(でんとうのひかりをたよりに、こんくりーとのろうかをすこしいくと、がんじょうな)

電燈の光をたよりに、コンクリートの廊下を少し行くと、がんじょうな

など

(てつのとびらがゆくてをさえぎっているのです。)

鉄の扉が行く手をさえぎっているのです。

(こじきにばけたおとこが、そのとびらを、みょうなちょうしでとんとんとん、とんとん)

乞食に化けた男が、その扉を、妙なちょうしでトントントン、トントン

(とたたきました。すると、おもいてつのとびらがないぶからひらかれて、ぱっとめを)

とたたきました。すると、重い鉄の扉が内部から開かれて、パッと目を

(いるでんとうのひかり、まばゆいばかりにかざりつけられたりっぱなようしつ、)

射る電燈の光、まばゆいばかりに飾りつけられたりっぱな洋室、

(そのしょうめんのおおきなあんらくいすにこしかけて、にこにこわらっている)

その正面の大きな安楽イスにこしかけて、にこにこ笑っている

(さんじゅっさいほどのようふくしんしが、にじゅうめんそうそのひとでありました。これが、すがおか)

三十歳ほどの洋服紳士が、二十面相その人でありました。これが、素顔か

(どうかがわかりませんけれど、あたまのけをきれいにちぢれさせた、)

どうかがわかりませんけれど、頭の毛をきれいにちぢれさせた、

(ひげのないこうだんしです。)

ひげのない好男子です。

(「よくやった。よくやった。きみたちのはたらきはわすれないよ。」)

「よくやった。よくやった。きみたちのはたらきはわすれないよ。」

(しゅりょうは、たいてきあけちこごろうをとりこにしたことが、もう、うれしくて)

首領は、大敵明智小五郎をとりこにしたことが、もう、うれしくて

(たまらないようすです。むりもありません。あけちさえ、こうして)

たまらないようすです。むりもありません。明智さえ、こうして

(とじこめておけば、にほんちゅうにおそろしいあいてはひとりもいなくなる)

とじこめておけば、日本中におそろしい相手はひとりもいなくなる

(わけですからね。)

わけですからね。

(かわいそうなあけちたんていは、ぐるぐるまきにしばられたまま、そこの)

かわいそうな明智探偵は、ぐるぐる巻きにしばられたまま、そこの

(ゆかのうえにころがされました。あかいとらぞうは、ころがしただけではたりないと)

床の上にころがされました。赤井寅三は、ころがしただけではたりないと

(みえて、きをうしなっているあけちのあたまを、あしでにどもさんどもけとばし)

みえて、気をうしなっている明智の頭を、足で二度も三度もけとばし

(さえしました。)

さえしました。

(「ああ、きみは、よくよくそいつにうらみがあるんだねえ。それでこそ)

「ああ、きみは、よくよくそいつにうらみがあるんだねえ。それでこそ

(ぼくのみかただ。だが、もうよしたまえ。てきはいたわるものだ、それに、)

ぼくの味方だ。だが、もうよしたまえ。敵はいたわるものだ、それに、

(このおとこはにほんにたったひとりしかいないめいたんていなんだからね。そんなに)

この男は日本にたったひとりしかいない名探偵なんだからね。そんなに

(らんぼうにしないで、なわをといて、そちらのながいすにねかして)

乱暴にしないで、なわをといて、そちらの長イスにねかして

(やりたまえ。」)

やりたまえ。」

(さすがにしゅりょうにじゅうめんそうは、とりこをあつかうすべをしっていました。)

さすがに首領二十面相は、とりこをあつかうすべを知っていました。

(そこで、ぶかたちは、めいじられたとおり、なわをといて、あけちたんていを)

そこで、部下たちは、命じられたとおり、なわをといて、明智探偵を

(いすにねかせましたが、まだくすりがさめぬのか、たんていはぐったりしたまま、)

イスに寝かせましたが、まだ薬がさめぬのか、探偵はグッタリしたまま、

(しょうたいもありません。)

正体もありません。

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