怪人二十面相71

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問題文

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(たんていがどうはんしてでかけた、じけんいらいしゃのふじんのじゅうしょが)

探偵が同伴して出かけた、事件依頼者の夫人の住所が

(ひかえてありましたので、そこをしらべますと、そんなふじんなんか)

ひかえてありましたので、そこをしらべますと、そんな婦人なんか

(すんでいないことがわかりました。さてはにじゅうめんそうのしわざであったかと、)

住んでいないことがわかりました。さては二十面相のしわざであったかと、

(ひとびとは、はじめてそこへきがついたのです。)

人々は、はじめてそこへ気がついたのです。

(かくしんぶんのゆうかんは、「めいたんていあけちこごろうしゆうかいさる」というおおみだしで、)

各新聞の夕刊は、「名探偵明智小五郎氏誘かいさる」という大見出しで、

(あけちのしゃしんをおおきくいれて、このちんじをでかでかとかきたて、らじおも)

明智の写真をおおきく入れて、この椿事をデカデカと書きたて、ラジオも

(これをくわしくほうどうしました。)

これをくわしく報道しました。

(「ああ、たのみにおもうわれらのめいたんていは、ぞくのとりこになった。はくぶつかん)

「ああ、たのみに思うわれらの名探偵は、賊のとりこになった。博物館

(があぶない。」)

があぶない。」

(いっせんまんのとみんは、わがことのようにくやしがり、そこでもここでも、)

一千万の都民は、わがことのようにくやしがり、そこでもここでも、

(ひとさえあつまれば、もう、このじけんのうわさばかり、ぜんとのそらが、なんとも)

人さえ集まれば、もう、この事件のうわさばかり、全都の空が、なんとも

(いえないいんうつな、ふあんのこくうんにおおわれたように、かんじないでは)

いえない陰うつな、不安の黒雲におおわれたように、感じないでは

(いられませんでした。)

いられませんでした。

(しかし、めいたんていのゆうかいを、せかいじゅうでいちばんざんねんにおもったのは、)

しかし、名探偵の誘かいを、世界中でいちばんざんねんに思ったのは、

(たんていのしょうねんじょしゅこばやしよしおくんでした。)

探偵の少年助手小林芳雄君でした。

(ひとばんまちあかしてあさになっても、また、いちにちむなしくまって、よるがきても、)

一晩待ちあかして朝になっても、また、一日むなしく待って、夜がきても、

(せんせいはおかえりになりません。けいさつではにじゅうめんそうにゆうかいされたのだと)

先生はお帰りになりません。警察では二十面相に誘かいされたのだと

(いいますし、しんぶんやらじおまでそのとおりにほうどうするものですから、)

いいますし、新聞やラジオまでそのとおりに報道するものですから、

(せんせいのみのうえがしんぱいなばかりでなく、めいたんていのめいよのために、)

先生の身のうえが心配なばかりでなく、名探偵の名誉のために、

(くやしくって、くやしくって、たまらないのです。)

くやしくって、くやしくって、たまらないのです。

など

(そのうえ、こばやしくんはじぶんのしんぱいのほかに、せんせいのおくさんをなぐさめ)

そのうえ、小林君は自分の心配のほかに、先生の奥さんをなぐさめ

(なくてはなりませんでした。さすがあけちたんていのふじんほどあって、なみだを)

なくてはなりませんでした。さすが明智探偵の夫人ほどあって、涙を

(みせるようなことはなさいませんでしたが、ふあんにたえぬあおざめたかおに、)

見せるようなことはなさいませんでしたが、不安にたえぬ青ざめた顔に、

(わざとえがおをつくっていらっしゃるようすをみますと、おきのどくで、)

わざと笑顔をつくっていらっしゃるようすを見ますと、お気のどくで、

(じっとしていられないのです。)

じっとしていられないのです。

(「おくさんだいじょうぶですよ。せんせいがぞくのとりこになんかなるもんですか。)

「奥さん大じょうぶですよ。先生が賊のとりこになんかなるもんですか。

(きっとせんせいには、ぼくたちのしらない、なにかふかいけいりゃくがあるのですよ。)

きっと先生には、ぼくたちの知らない、何か深い計略があるのですよ。

(それでこんなにおかえりがおくれるんですよ。」)

それでこんなにお帰りがおくれるんですよ。」

(こばやしくんはそんなふうにいって、しきりとあけちふじんをなぐさめましたが、)

小林君はそんなふうにいって、しきりと明智夫人をなぐさめましたが、

(しかし、べつにじしんがあるわけではなく、しゃべっているうちに、じぶんの)

しかし、べつに自信があるわけではなく、しゃべっているうちに、自分の

(ほうでもふあんがこみあげてきて、ことばもとぎれがちになるのでした。)

ほうでも不安がこみあげてきて、ことばもとぎれがちになるのでした。

(めいたんていじょしゅのこばやしくんも、こんどばかりは、てもあしもでないのです。)

名探偵助手の小林君も、こんどばかりは、手も足も出ないのです。

(にじゅうめんそうのかくれがをしるてがかりはまったくありません。)

二十面相のかくれがを知る手がかりはまったくありません。

(おとといは、ぞくのぶかがかみしばいやにばけて、ようすをさぐりにきていたが、)

おとといは、賊の部下が紙芝居屋に化けて、ようすをさぐりに来ていたが、

(もしやきょうもあやしいじんぶつが、そのへんをうろうろしていないかしら。)

もしやきょうもあやしい人物が、そのへんをうろうろしていないかしら。

(そうすれば、ぞくのすみかをさぐるてだてもあるんだがと、いちるののぞみに、)

そうすれば、賊の住み家をさぐる手だてもあるんだがと、一縷の望みに、

(たびたびにかいへあがっておもてどおりをみまわしても、それらしいもののかげさえ)

たびたび二階へあがって表通りを見まわしても、それらしい者の影さえ

(しません。ぞくのほうでは、ゆうかいのもくてきをはたしてしまったのですから、)

しません。賊のほうでは、誘かいの目的をはたしてしまったのですから、

(もうそういうことをするひつようがないのでしょう。)

もうそういうことをする必要がないのでしょう。

(そんなふうにして、ふあんのだいにやもあけて、みっかめのあさのことでした。)

そんなふうにして、不安の第二夜も明けて、三日めの朝のことでした。

(そのひはちょうどにちようびだったのですが、あけちふじんとこばやししょうねんが、)

その日はちょうど日曜日だったのですが、明智夫人と小林少年が、

(さびしいちょうしょくをおわったところへ、げんかんへてっぽうたまのようにとびこんできた)

さびしい朝食を終わったところへ、玄関へ鉄砲玉のようにとびこんできた

(しょうねんがありました。)

少年がありました。

(「ごめんください。こばやしくんいますか。ぼくはしばです。」)

「ごめんください。小林君いますか。ぼく羽柴です。」

(すきとおったこどものさけびごえに、おどろいてでてみますと、おお、)

すきとおった子どもの叫び声に、おどろいて出てみますと、おお、

(そこには、ひさしぶりのはしばそうじしょうねんが、かわいらしいかおをまっかに)

そこには、ひさしぶりの羽柴壮二少年が、かわいらしい顔をまっかに

(じょうきさせて、いきをきらしてたっていました。よっぽどおおいそぎではしって)

上気させて、息をきらして立っていました。よっぽど大急ぎで走って

(きたものとみえます。)

きたものとみえます。

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