未 本編 -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(ししょうはひろこさんにとちがらにかんするしつもんをして、そのたびにしきりにうなずいている。)

師匠は広子さんに土地柄に関する質問をして、そのたびにしきりに頷いている。

(「とにかくどいなかよ。どいなか。あたしもいつかぜったいこんなとこ)

「とにかくど田舎よ。ど田舎。あたしもいつか絶対こんなトコ

(でてってやるんだから。・・・・・あ、たなかやだ」)

出てってやるんだから。・・・・・あ、田中屋だ」

(ひろこさんのしせんのさきにはおおがたのばんがはしっている。)

広子さんの視線の先には大型のバンが走っている。

(そのこうぶには「たなかや」というもじ。)

その後部には「田中屋」という文字。

(「あれは、うちのおとなりのりょかんのくるま。おとなりっても、)

「あれは、うちのお隣の旅館の車。お隣っても、

(うちがいちばんへんぴなとこにあるから、だいぶはなれてんだけど。)

うちが一番辺鄙なとこにあるから、だいぶ離れてんだけど。

(うわー、だんたいきゃくのせてんじゃん」)

うわー、団体客乗せてんじゃん」

(しゅくはくきゃくようのそうげいしゃらしい。)

宿泊客用の送迎車らしい。

(ひろこさんはしたうちをすると、らんぼうははんどるさばきであっというまに)

広子さんは舌打ちをすると、乱暴はハンドルさばきであっという間に

(まえをはしるたなかやのくるまをおいぬいた。)

前を走る田中屋の車を追い抜いた。

(「へへーん。うちはちいさいけどこまわりがしんじょうだから」)

「へへーん。うちは小さいけど小回りが身上だから」

(どうぎょうしゃなのに、いやどうぎょうしゃだからか、ふだんからかなりなかがわるそうだ。)

同業者なのに、いや同業者だからか、普段からかなり仲が悪そうだ。

(ほんにんはくちぶえなどふいている。)

本人は口笛など吹いている。

(いつのまにかばんはしがいちからぬけ、)

いつの間にかバンは市街地から抜け、

(しゅういにたんぼのひろがっているかわぞいのどてをはしっていた。)

周囲に田んぼの広がっている川沿いの土手を走っていた。

(ひろこさんはまどのそとにめをやりながら、)

広子さんは窓の外に目をやりながら、

(「えだがわっての。せんろぞいのますいがわのしりゅう」といった。)

「枝川っての。線路沿いの増井川の支流」と言った。

(まどからそとをみていると、おおきなちょすいじのようなものがぜんぽうにみえてきた。)

窓から外を見ていると、大きな貯水時のようなものが前方に見えてきた。

(「ああ、あれはかめがふちっていうためいけ。むかしなんとかってぶしょうがつくったんだって」)

「ああ、あれは亀ヶ淵っていう溜め池。昔なんとかって武将が作ったんだって」

など

(へいちのなかにぽっかりとみなもがひらけている。かなりおおきい。)

平地の中にぽっかりと水面が開けている。かなり大きい。

(ためいけのそばのみちぞいにかんばんのようなものがたっている。)

溜め池のそばの道沿いに看板のようなものが立っている。

(かいてあるもじはみえなかった。)

書いてある文字は見えなかった。

(それからほどなくてしてだこうしたかわをよこぎるかたちではしをわたり、)

それからほどなくてして蛇行した川を横切る形で橋を渡り、

(ばんはやまのふもとのほうへすすんでいった。)

バンは山の麓の方へ進んでいった。

(「つきましたよ。おきゃくさま」)

「着きましたよ。お客サマ」

(ばんがそくどをゆるめたのは、やまにいだかれるようなおくまったばしょに)

バンが速度を緩めたのは、山に抱かれるような奥まった場所に

(ひっそりとたつにかいだてのたてもののまえだった。)

ひっそりと立つ二階建ての建物の前だった。

(「とかの」という、ひらがなでたいしょされたやごうがげんかんにおおきくかざられている。)

「とかの」という、ひらがなで大書された屋号が玄関に大きく飾られている。

(おおきくひらかれたもんをぬけ、げんかんにちかづいていくとりょかんのはっぴをきたわかものが)

大きく開かれた門を抜け、玄関に近づいていくと旅館の半被を来た若者が

(おおきなほうきをもってかれはをはいていた。)

大きな箒を持って枯葉を掃いていた。

(「あら。あのおぼっちゃん、またきてるよ。まめだねえ」)

「あら。あのお坊ちゃん、また来てるよ。マメだねえ」

(おぼっちゃん?ひろこさんのくちょうにはあきれたよな、それでいてどこか)

お坊ちゃん?広子さんの口調には呆れたよな、それでいてどこか

(いみしんなひびきがあった。かれはこのりょかんのじゅうぎょういんではないのだろうか。)

意味深な響きがあった。彼はこの旅館の従業員ではないのだろうか。

(ひろこさんがげんかんにくるまをよこづけすると、)

広子さんが玄関に車を横付けすると、

(わかものはこちらにかるくあたまをさげてからじどうどあのなかへきえていった。)

若者はこちらに軽く頭を下げてから自動ドアの中へ消えていった。

(そしてぼくらがくるまをおりてにもつをだそうとしていると、しらがまじりのかみを)

そして僕らが車を降りて荷物を出そうとしていると、白髪交じりの髪を

(みじかくかりそろえただんせいがどあからでてきて)

短く刈り揃えた男性がドアから出てきて

(「おまちしておりました。おもちします」といった。)

「お待ちしておりました。お持ちします」と言った。

(やはりりょかんのはっぴをきている。こぶとりだが、うごきはきびきびしていた。)

やはり旅館の半被を着ている。小太りだが、動きはキビキビしていた。

(「あ、いや、じぶんでもちます」といいかけたししょうから)

「あ、いや、自分で持ちます」と言いかけた師匠から

(おしつけがましくなく、しぜんににもつをうけとった。)

押し付けがましくなく、自然に荷物を受け取った。

(どうやらみずまわりのとらぶるによびつけたしゅうりこうというかんじではなく、)

どうやら水周りのトラブルに呼びつけた修理工という感じではなく、

(それなりにきゃくとしてのたいぐうではあるようだ。)

それなりに客としての待遇ではあるようだ。

(「あ、おとうさん。くるま、しゃこでいいの?」)

「あ、お父さん。くるま、車庫でいいの?」

(ひろこさんのことばにだんせいはうなずいてから、にこりともせずに「こちらへどうぞ」と)

広子さんの言葉に男性は頷いてから、ニコリともせずに「こちらへどうぞ」と

(ぼくらをじどうどあのほうへせんどうした。どうやらおやこではたらいているらしい。)

僕らを自動ドアの方へ先導した。どうやら親子で働いているらしい。

(ひろこさんはなかいということだったが、さしずめちちおやはばんとうというところか。)

広子さんは仲居ということだったが、さしずめ父親は番頭というところか。

(くるまをまわすひろこさんをしりめにぼくらはりょかんのなかにはいっていった。)

車を回す広子さんを尻目に僕らは旅館の中に入っていった。

(たいるばりのたたきでくつをぬぐと、せまいがせいぜんとしたろびーがめのまえにあった。)

タイル張りのたたきで靴を脱ぐと、狭いが整然としたロビーが目の前にあった。

(ゆかにはあかいじゅうたんがしきつめられている。なかはだんぼうがきいていて、)

床には赤い絨毯が敷き詰められている。中は暖房が効いていて、

(ほっとひとごこちがつけた。)

ほっと人心地がつけた。

(にんぎょうなどのみんげいひんでかざられたふろんとのおくから、わふくのじょせいがすがたをあらわした。)

人形などの民芸品で飾られたフロントの奥から、和服の女性が姿を現した。

(うすももいろのじょうひんなきものだ。)

薄桃色の上品な着物だ。

(「ようこそいらっしゃいました」)

「ようこそいらっしゃいました」

(ほほえんだあとであたまをさげるすがたはながれるようで、)

微笑んだ後で頭を下げる姿は流れるようで、

(いかにもみのついたしぐさというかんじがした。)

いかにも身のついた仕草という感じがした。

(よんじゅうねんぱいのおかみはつづけて「いらいをしたとかのです」となのった。)

四十年配の女将は続けて「依頼をした戸叶です」と名乗った。

(ししょうがめいしいれをだしたので、ぼくもあわててぽけっとをさぐる。)

師匠が名刺入れを出したので、僕も慌ててポケットを探る。

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