新古今和歌集

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投稿者投稿者Yasou  いいね0  お気に入り登録
プレイ回数1  難易度(4.0) 5998打 長文 かな
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(みよしのはやまもかすみてしらゆきのふりにしさとにはるはきにけり) み吉野は山も霞みて白雪のふりにし里に春はきにけり (ほのぼのとはるこそそらにきにけらしあまのかぐやまかすみたなびく) ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山霞たなびく (おもひあまりそなたのそらをながむればかすみをわけてはるさめぞふる) 思ひあまりそなたの空をながむれば霞を分けて春雨ぞ降る (はるのよのゆめのうきはしとだえしてみねにわかるるよこぐものそら) 春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空 (こぬひとをまつほのうらのゆうなぎにやくやもしほのみもこがれつつ) こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ (かぜそよぐならのおがわのゆうぐれはみそぎぞなつのしるしなりける) 風そよぐ楢の小川の夕暮は禊ぞ夏のしるしなりける (かぜさそうねざめのそでのはなのかにかをるまくらのはるのよのゆめ) 風通ふ寝覚めの袖の花の香に薫る枕の春の夜の夢 (こころなきみにもあはれはしられけりしぎたつさわのあきのゆうぐれ) 心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ (さびしさはそのいろとしもなかりけりまきたつやまのあきのゆうぐれ) 寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ (むらさめのつゆもまだひぬまきのはにきりたちのぼるあきのゆうぐれ) 村雨の露もまだひぬ槙の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮れ
(しがのうらやとおざかりゆくなみまよりこおりていずるありあけのつき) 志賀の浦や遠ざかりゆく波間より凍りて出づる有明の月 (なにわがたみじかきあしのふしのまもあはでこのよをすぐしてよとや) 難波潟みじかき葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや (きりぎりすなくやしもよのさむしろにころもかたしきひとりかもねむ) きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む (たまのおよたえなばたえねながらへばしのぶることのよわりもぞする) 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする (はなはちりそのいろとなくながむればむなしきそらにはるさめぞふる) 花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞふる (ほととぎすそのかみやまのたびまくらほのかたらひしそらぞわすれぬ) 時鳥そのかみやまの旅枕ほの語らひし空ぞ忘れぬ (ゆらのとをわたるふなびとかぢをたえゆくえもしらぬこひのみちかな) 由良のとをわたる舟人かぢをたえ行く方も知らぬ恋の道かな (むかしおもふくさのいほりのよるのあめになみだなそへそやまほととぎす) 昔思ふ草の庵の夜の雨に涙な添へそ山時鳥 (かぜふけばおきつしらなみたつたやまよわにやきみがひとりこゆらむ) 風吹けば沖つ白浪たつた山夜半にや君がひとりこゆらむ (このまよりもりくるつきのかげみればこころづくしのあきはきにけり) 木の間よりもりくる月の影みれば心づくしの秋はきにけり
など
(ゆうさればのべのあきかぜみにしみてうづらなくなりふかくさのさと) 夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里 (よのなかよみちこそなけれおもひいるやまのおくにもしかぞなくなる) 世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる (さつきやみみじかきよはのうたたねにはなたちばなのそでにすずしき) 五月闇短き夜半のうたたねに花橘の袖に涼しき (みわたせばはなももみじもなかりけりうらのとまやのあきのゆうぐれ) 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ (たまゆらのつゆもなみだもとどまらずなきひとこふるやどのあきかぜ) 玉ゆらの露も涙もとどまらずなき人恋ふる宿の秋風 (おもかげのかすめるつきぞやどりけるはるやむかしのそでのなみだに) 面影の霞める月ぞやどりける春や昔の袖の涙に (わすらるるみをしるそでのむらさめにつれなくやまのつきはいでけり) 忘らるる身を知る袖の村雨につれなく山の月は出でけり (つゆはらふねざめはあきのむかしにてみはてぬゆめにのこるおもかげ) 露払ふ寝覚めは秋の昔にて見果てぬ夢に残る面影 (うみならずたたへるみずのそこまでにきよきこころはつきぞてらさむ) 海ならずたたへる水の底までに清き心は月ぞ照らさむ (ゆうづくよしほみちくらしなにわえのあしのわかばにこゆるしらなみ) 夕月夜潮満ち来らし難波江の蘆の若葉に越ゆる白波 (かぜふけばみねにわかるるしらくものたえてつれなききみがこころか) 風ふけば峰にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か (わするなよやどるたもとはかはるともかたみにしぼるよわのつきかげ) 忘るなよ宿る袂は変はるともかたみにしぼる夜半の月影 (みよしのはやまもかすみてしらゆきのふりにしさとにはるはきにけり) み吉野は山も霞みて白雪のふりにし里に春はきにけり (おしめどもとまらぬはるもあるものをいわぬにきたるなつころもかな) 惜しめどもとまらぬ春もあるものを言わぬに来たる夏衣かな (うのはなのむらむらさけるかきねをばくもまのつきのかげかとぞみる) 卯の花のむらむら咲ける垣根をば雲間の月の影かとぞ見る (いつしかとおぎのはむけのかたよりにそそやあきとぞかせもきこゆる ) いつしかと荻の葉むけの片寄りにそそや秋とぞ風も聞こゆる (ふくかぜのいろこそみえねたかさごのおのえのまつにあきはきにけり) 吹く風の色こそ見えね高砂の尾の上の松に秋は来にけり (ふしみやままつのかげよりみわたせばあくるたのもにあきかぜぞふく) 伏見山松のかげより見渡せば明くる田の面に秋風ぞ吹く (あけぬるかころもでさむしすがわらやふしみのさとのあきのはつかぜ) 明けぬるか衣手寒し菅原や伏見の里の秋の初風 (あはれまたいかにしのばむそでのつゆのはらのかぜにあきはきにけり ) あわれまたいかに忍ばむ袖のつゆ野原の風に秋は来にけり (きみがあたりみつつをおらむいこまやまくもなかくしそあめはふるとも) 君があたり見つつを居らむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも (あきしのやとやまのさとやしぐるらむいこまのたけにくものかかれる) 秋篠や外山の里やしぐるらむ生駒の嶽に雲のかかれる (おしなべてものをおもはぬひとにさへこころをつくるあきのはつかぜ) おしなべてものを思わぬ人にさへ心をつくる秋のはつかぜ (あさぎりやたつたのやまのさとならであききにけりとたれかしらまし) 朝霧や立田の山のさとならで秋きにけりとたれかしらまし (ゆふぐれはをぎふくかぜのおとまさるいまはたいかにねざめせられむ) 夕暮は荻ふく風の音まさる今はたいかに寝覚せられむ (てもたゆくならすおうぎのおきどころわするばかりにあきかぜぞふく) 手もたゆくならす扇の置き所忘るばかりに秋風ぞ吹く (うたたねのあさげのそでにかわるなりならすおうぎのあきのはつかぜ) うたた寝の朝げの袖にかわるなりならす扇の秋の初風 (おおぞらをわれもながめてひこぼしのつままつよさへひとりかもねむ) 大空を我も眺めて彦星の妻まつ夜さへひとりかも寝む (ふきむすぶかぜはむかしのあきながらありしにもにぬそでのつゆかな) 吹き結ぶ風は昔の秋ながら在りしにもにぬ袖の露かな (くもまよりほしあひのそらをみわたせばしづこころなきあまのかわなみ) 雲間より星合の空を見渡せばしづ心なき天の河浪 (たなばたのあまのはごろもうちかさねねるよすずしきあきかぜぞふく ) 七夕の天の羽衣うち重ね寝る夜涼しき秋風ぞ吹く (さおしかのあさだつのべのあきはぎにたまとみるまでおけるしらつゆ) さ雄鹿の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置ける白露 (あきののをわけゆくつゆにうつりつつわがころもでははなのかぞする ) 秋の野を分けゆく露にうつりつつわが衣手は花の香ぞする (おみなへしのべのふるさとおもひいでてやどりしむしのこえやこひしき) おみなへし野辺のふるさと思ひいでて宿りし虫の声や恋しき (ふじばかまぬしはだれともしらつゆのこぼれてにおうのべのあきかぜ) 藤袴ぬしは誰とも白露のこぼれてにおう野辺の秋風 (うすぎりのまがきのはなのあさじめりあきはゆうべとだれかいひけむ) 薄霧のまがきの花の朝じめり秋は夕べと誰かいひけむ (やまがつのかきほにさけるあさがおはしののめならであうよしもなし) 山賤の垣ほに咲ける朝顔は東雲ならで逢ふよしもなし (うらかるるあさぢがはらのかるかやのみだれてものをおもふころかな ) うらかるる浅茅が原の刈萱のみだれてものを思ふころかな (さをしかのいるののすすきはつおばないつしかいもがたまくらにせむ) さを鹿の入る野のすすき初尾花いつしか妹が手枕にせむ (おぐらやまふもとののべのはなすすきほのかにみゆるあきのゆうぐれ) 小倉山ふもとの野辺の花すすきほのかに見ゆる秋の夕暮れ (ほのかにもかぜはふかなむはなすすきむすぼほれつつつゆにぬるとも) ほのかにも風はふかなむ花すすきむすぼほれつつ露にぬるとも (のべごとにおとづれわたるあきかぜをあだにもなびくはなすすきかな) 野辺ごとに訪れわたる秋風をあだにもなびく花すすきかな (あけぬとてのべよりやまにいるしかのあとふきおくるはぎのしたかぜ) 明けぬとて野辺より山に入る鹿の跡吹き送る萩の下風 (みのほどをおもひつづくるゆうぐれのおきのうわばにかぜわたるなり) 身のほどを思ひつづくる夕暮れの沖のうわ波に風わたるなり (おほあらきのもりのこのまをもりかねてひとだのめなるあきのよのつき) 大荒木のもりの木のまをもりかねて人だのめなる秋の夜の月 (ありあけのつきまつやどのそでのうえにひとだのめなるよいのいなづま) 有明の月待つやどの袖の上に人だのめなる宵の稲妻 (むさしのやゆけどもあきのはてぞなきいかなるかぜかすえにふくらむ) 武蔵野やゆけども秋のはてぞなきいかなる風か末に吹くらむ (ながめわびぬあきよりほかのやどもがなのにもやまにもつきやすむらむ) 眺めわびぬ秋よりほかの宿もがな野にも山にも月やすむらむ (いつまでかなみだくもらでつきはみしあきまちえてもあきぞこいしき) いつまでか涙くもらで月は見し秋待ちえても秋ぞ恋しき (かきくらしなほふるさとのゆきのうちにあとこそみえねはるはきにけり) 掻き暗しなお古里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり (うすくこきのべのみどりのわかくさにあとまでみゆるゆきのむらぎえ) 薄く濃き野辺のみどりの若草に跡まで見ゆる雪の村消え (はるといえばかすみにけりなきのうまでなみまにみえしあはぢしまやま) 春といえば霞にけりな昨日まで波間に見えし淡路島山 (いわまとじしこおりもけさはとけそめてこけのしたみづみちもとむらむ) 岩間閉じし氷も今朝はとけそめて苔の下水みちもとむらむ (かぜまぜにゆきはふりつつしかすがにかすみたなびきはるはきにけり) 風まぜに雪はふりつつしかすがに霞たなびき春はきにけり (ときはいまはるになりぬとみゆきふるとおきやまべにかすみたなびく ) 時は今春になりぬとみ雪降る遠き山辺に霞たなびく (かすがののしたもえわたるくさのうえにつれなくみゆるはるのあわゆき) 春日野の下萌えわたる草の上につれなく見ゆる春の淡雪 (あすからはわかなつまむとしめしのにきのうもきょうもゆきはふりつつ) 明日からは春菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ (わかなつむそでとぞみゆるかすがののとぶひののべのゆきのむらきえ) 若菜摘む袖とぞ見ゆる春日野の飛火の野辺の雪のむら消え (うぐいすのなけどもいまだふるゆきにすぎのはしろきおうさかのやま) 鶯のなけどもいまだふる雪に杉の葉しろき逢坂の山 (いまさらにゆきふらめやもかげろうのもゆるはるひとなりにしものを) 今さらに雪降らめやもかぎろうのもゆる春日となりにしものを (やまふかみなほかげさむしはるのつきそらかきくもりゆきはふりつつ) 山深みなほ影寒し春の月空かき曇り雪は降りつつ (そらはなほかすみもやらずかぜさえてゆきげにくもるはるのよのつき) 空はなほ霞みもやらず風冴えて雪げに曇る春の夜の月 (ひさかたのあめのやえぐもふりわけてくだりしきみをわれぞむかえし) ひさかたの天の八重雲ふり分けて下りし君を我ぞ迎えし (ちぎりありてきょうみやがわのゆうかづらながきよまでもかけてたのまむ ) 契りありて今日宮川のゆふかづら永き世までにかけてたのまむ (かみぢやまつきさやかなるちかいありてあめのしたをばてらすなりけり) 神路山月さやかなる誓いありて天下をば照らすなりけり (さやかなるわしのたかねのくもいよりかげやわらぐるつきよみのもり) さやかなる鷲の高嶺の雲居より影やわらぐる月読の森 (かみかぜやいすずのかわのみやばしらいくちよすめとたてはじめけむ) 神風や五十鈴の川の宮柱幾千代すめと立ちはじめけむ (ちはやぶるかしひのみやのあやすぎはかみのみそぎにたてるなりけり) ちはやぶる香椎の宮の綾杉は神のみそぎに立てるなりけり (としをへてうきかげをのみみたらしのかはるよもなきみをいかにせむ) 年を経てうき影をのみみたらしのかわるよもなき身をいかにせむ (とびかけるあまのいはふねたづねてぞあきつしまにはみやはじめける) 飛び翔る天の岩舟たづねてぞ秋津島には宮はじめける (よやさむきころもやうすきかたそぎのゆきあいのまよりしもやおくらむ) 夜や寒き衣や薄き片削ぎの行き合いの間より霜や置くらむ (しるらめやきょうのねのひのひめこまつおいむすえまでさかゆべしとは) 知るらめや今日の子の日の姫小松老いむすえまでさかゆべしとは (おくしもにいろもかわらぬさかきばのかをやはひとのとめてきつらむ) 置く霜に色も変わらぬ賢木葉の香をやは人のとめて来つらむ (かみかぜやみもすそがわのそのかみにちぎりしことのすえをたがうな) 神風やみもすそ川のそのかみに契しことの末をたがうな (みやひとのすれるころもにゆうだすきかけてこころをだれによすらむ) 宮人の摺れる衣に木綿襷かけて心を誰に寄すらむ (ながめばやかみぢのやまにくもきえてゆふべのそらをいでむつきかげ) 眺めばや神路の山に雲消えて夕べの空を出でむ月影 (みやばしらしたついわねにしきたててつゆもくもらぬひのみかげかな) 宮柱下つ岩根にしきたててつゆも曇らぬ日のみかげかな (やわらぐるひかりにあまるかげなれやいすずかわらのあきのよのつき) やわらぐる光にあまる影なれや五十鈴川原の秋の夜の月 (しらなみにたまよりひめのこしことはなぎさやついにとまりなりけむ) 白波に玉依姫の来しことは渚やついに泊まりなりけむ (われたのむひといたづらになしはてばまたくもわけてのぼるばかりぞ) 我れ頼む人いたづらになしはてばまた雲わけて上るばかりぞ
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