O・ヘンリー「賢者の贈り物」5/5

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投稿者投稿者邪王真眼いいね1お気に入り登録
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O・ヘンリーの短編 賢者の贈り物です 長いです

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(じむはおーばーのぽけっとからつつみをとりだすと、てーぶるになげだしました。)

ジムはオーバーのポケットから包みを取り出すと、テーブルに投げ出しました。

(「ねえでら、ぼくのことをかんちがいしないで。かみがたとかしゃんぷーとか、)

「ねえデラ、僕のことを勘違いしないで。髪型とかシャンプーとか、

(そんなものでぼくのかわいいおんなのこをきらいになったりするもんか。でも、)

そんなもので僕のかわいい女の子を嫌いになったりするもんか。でも、

(そのつつみをあけたら、はじめのうちしばらく、どうしてぼくがあんなふうだったか)

その包みを開けたら、はじめのうちしばらく、どうして僕があんな風だったか

(わかるとおもうよ」しろいゆびがすばやくひもをちぎりかみをやぶりました。そしてかんきの)

わかると思うよ」白い指がすばやく紐をちぎり紙を破りました。そして歓喜の

(さけびがあがり、それから、ああ、ひすてりっくななみだとなげきへとじょせいらしく)

叫びが上がり、それから、ああ、ヒステリックな涙と嘆きへと女性らしく

(すぐさまかわっていったのです。いそいで、そのあぱーとのしゅじんがひっしになって)

すぐさま変わっていったのです。いそいで、そのアパートの主人が必死になって

(なぐさめなければなりませんでした。つつみのなかにはくしがはいっていたのです。)

慰めなければなりませんでした。包みの中には櫛が入っていたのです。

(せっとになったくしで、よことうしろにさすようになっているものでした。そのくしの)

セットになった櫛で、横と後ろに刺すようになっているものでした。その櫛の

(せっとは、でらがぶろーどうぇいのおみせのまどで、ながいあいだあがめんばかりに)

セットは、デラがブロードウェイのお店の窓で、長い間あがめんばかりに

(おもっていたものでした。うつくしいくし、ぴゅあなきっこうでできていて、)

思っていたものでした。美しい櫛、ピュアな亀甲でできていて、

(ほうせきでふちどりがしてあってうってなくなったうつくしいかみにぴったりでした。)

宝石で縁取りがしてあって売ってなくなった美しい髪にぴったりでした。

(そのくしがこうかだということをでらはしっていました。ですから、こころのうちでは、)

その櫛が高価だということをデラは知っていました。ですから、心のうちでは、

(そのくしがただもうほしくてほしくてたまらなかったのですけれど、じっさいにてに)

その櫛がただもう欲しくて欲しくてたまらなかったのですけれど、実際に手に

(はいるなんていうのぞみはちっともいだいていなかったのです。そして、いま、)

入るなんていう望みはちっとも抱いていなかったのです。そして、いま、

(このくしがじぶんのものになったのです。けれども、このかみかざりによって)

この櫛が自分のものになったのです。けれども、この髪飾りによって

(かざられるべきかみのほうがすでになくなっていたのでした。)

飾られるべき髪の方がすでになくなっていたのでした。

(しかし、でらはくしをむねにだきました。そしてやっとのおもいでなみだでぬれためをあげ)

しかし、デラは櫛を胸に抱きました。そしてやっとの思いで涙で濡れた目をあげ

(ほほえんでこういうことができました。「わたしのかみはね、とってもはやく)

微笑んでこう言うことができました。「わたしの髪はね、とっても早く

(のびるのよ、じむ!」そしてでらはひでやかれたこねこのようにじゃんぷしてこえを)

伸びるのよ、ジム!」そしてデラは火で焼かれた小猫のようにジャンプして声を

など

(あげました。「きゃっ、そうだ!」じぶんがもらううつくしいおくりものをじむは)

あげました。「きゃっ、そうだ!」自分がもらう美しい贈り物をジムは

(まだみていないのです。でらはてのひらにおくりものをのせ、じむにおもいをこめて)

まだ見ていないのです。デラは手のひらに贈り物を乗せ、ジムに思いを込めて

(さしだしました。ききんぞくのにぶいひかりは、でらのかがやくばかりのねっしんなきもちを)

差し出しました。貴金属の鈍い光は、デラの輝くばかりの熱心な気持ちを

(はんしゃしているかのようでした。「ねえすてきじゃない?まちじゅうをさがしてみつけたのよ)

反射しているかのようでした。「ねえ素敵じゃない?町中を探して見つけたのよ

(あなたのとけいにこのくさりをつけたら、いちにちにひゃっかいでもじかんをしらべたくなるわよ。)

あなたの時計にこの鎖をつけたら、一日に百回でも時間を調べたくなるわよ。

(とけい、かしてよ。このくさりをつけたらどんなふうになるかみたいの」)

時計、貸してよ。この鎖をつけたらどんな風になるか見たいの」

(でらのこのことばにはしたがわず、じむはいすにどさりとこしをおろし、りょうてをくびの)

デラのこの言葉には従わず、ジムは椅子にどさりと腰を下ろし、両手を首の

(うしろにくんでにっこりとほほえみました。)

後ろに組んでにっこりと微笑みました。

(「ねえでら。ぼくたちのくりすますぷれぜんとは、しばらくのあいだ、どこかに)

「ねえデラ。僕達のクリスマスプレゼントは、しばらくの間、どこかに

(しまっておくことにしようよ。いますぐつかうにはじょうとうすぎるよ。くしをかうおかねを)

しまっておくことにしようよ。いますぐ使うには上等すぎるよ。櫛を買うお金を

(つくるために、ぼくはとけいをうっちゃったのさ。さあ、ちょっぷをひにかけてくれよ」)

作る為に、僕は時計を売っちゃったのさ。さあ、チョップを火にかけてくれよ」

(とうほうのけんじゃは、ごぞんじのように、かしこいひとたちでした。すばらしくかしこいひとたち)

東方の賢者は、ご存知のように、賢い人たちでした。すばらしく賢い人たち

(だったんです。かいばおけのなかにいるみこにおくりものをはこんできたのです。とうほうの)

だったんです。飼葉桶の中にいる御子に贈り物を運んできたのです。東方の

(けんじゃがくりすますぷれぜんとをおくる、というしゅうかんをかんがえだしたのですね。)

賢者がクリスマスプレゼントを贈る、という習慣を考え出したのですね。

(かれらはけんめいなひとたちでしたから、もちろんおくりものもけんめいなものでした。)

彼らは賢明な人たちでしたから、もちろん贈り物も賢明なものでした。

(たぶんおくりものがだぶったりしたときには、べつのしなとこうかんをすることができる)

たぶん贈り物がだぶったりしたときには、別の品と交換をすることができる

(とくてんもあったでしょうね。さて、わたくしはこれまで、つたないながらも、)

特典もあったでしょうね。さて、わたくしはこれまで、つたないながらも、

(あぱーとにすむふたりのおろかなこどもたちにおこった、へいぼんなものがたりをおはなして)

アパートに住む二人の愚かな子供たちに起こった、平凡な物語をお話して

(まいりました。ふたりはおろかなことに、いえのもっともすばらしいたからものをたがいのために)

まいりました。二人は愚かなことに、家の最もすばらしい宝物を互いのために

(だいなしにしてしまったのです。しかしながら、こんにちのけんじゃたちへのさいごの)

台無しにしてしまったのです。しかしながら、今日の賢者たちへの最後の

(ことばとして、こういわせていただきましょう。おくりものをするすべてのひとのなかで、)

言葉として、こう言わせていただきましょう。贈り物をするすべての人の中で、

(このふたりがもっともけんめいだったのです。おくりものをやりとりするすべてのひとのなかで、)

この二人が最も賢明だったのです。贈り物をやりとりするすべての人の中で、

(このふたりのようなひとたちこそ、もっともかしこいひとたちなのです。せかいじゅうのどこで)

この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。世界中のどこで

(あっても、このようなひとたちがさいこうのけんじゃなのです。)

あっても、このような人たちが最高の賢者なのです。

(かれらこそ、ほんとうの、とうほうのけんじゃなのです。)

彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。

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