『六月のアパート』201号室
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問題文
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(すごく、おとなしそうなじょせいでした。)
「凄く、大人しそうな女性でした。」
(はなしをするたびになかみもかんじょうもないせりふとなっていくわたしのしょうげんに、)
話をする度に中身も感情もないセリフとなっていく私の証言に、
(いったいなんのいみがあるのだろうか。)
一体何の意味があるのだろうか。
(じゃましないでほしい。)
邪魔しないで欲しい。
(いまはだいじなじきなのだ。)
今は大事な時期なのだ。
(さっそくわたしはつくえにしりょうをひろげ、ぱそこんのでんげんをいれた。)
早速私は机に資料を広げ、パソコンの電源を入れた。
(どうでもいい。)
どうでもいい。
(とびおりたかのじょとはひとことだってかいわをしたことがないし、)
飛び降りた彼女とは一言だって会話をしたことがないし、
(そもそもなまえさえおぼえていなかった。)
そもそも名前さえ覚えていなかった。
(おおきなにゅーすになったわけでも、)
大きなニュースになったわけでも、
(なにかかわったことがおきたわけでもない。)
何か変わったことが起きたわけでもない。
(ひとはしぬときにしぬ。)
人は死ぬときに死ぬ。
(いちいちかぞえていたらばかみたいじゃないか。)
いちいち数えていたら馬鹿みたいじゃないか。
(わたしのしんゆうがとおりまにさされた。)
私の親友が通り魔に刺された。
(わたしはしごとにぼっとうしていた。)
私は仕事に没頭していた。