『ここが世界の端だったら』
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問題文
(ここがせかいのはしだったら、)
ここが世界の端だったら、
(もしかしたらにげきれたのかもしれない。)
もしかしたら逃げ切れたのかもしれない。
(るりいろにそまるうみのはてにはなにもなくて、)
瑠璃色に染まる海の果てには何もなくて、
(みあげたさきにあるそらはまるであのへやのてんじょうみたいで、)
見上げた先にある空はまるであの部屋の天井みたいで、
(となりでねむるきみは、うそみたいにきれいだった。)
隣で眠る君は、嘘みたいに綺麗だった。
(こころにはおもさがある。)
心には重さがある。
(それはひとそれぞれちがって、)
それは人それぞれ違って、
(そしてぼくらはきっとおもすぎたんだ。)
そして僕らはきっと重過ぎたんだ。
(いえなかったことばや、わすれられなかったおもいでが)
言えなかった言葉や、忘れられなかった思い出が
(おくふかくにたまって、かたまって、)
奥深くに溜まって、固まって、
(じぶんでさえどうにもできなくなった。)
自分でさえどうにもできなくなった。
(すって、はいて。はいて、すって。)
吸って、吐いて。吐いて、吸って。
(ただ、こきゅうをすることだけでせいいっぱい。)
ただ、呼吸をすることだけで精一杯。
(しにたい。)
「死にたい。」
(もうこのことばさえうまれなくなってしまった。)
もうこの言葉さえ生まれなくなってしまった。
(ぼくがびょうきだとわかってからずっとさがしていたんだ。)
僕が病気だとわかってからずっと探していたんだ。
(でもぜんぜんなっとくできなくて、)
でも全然納得できなくて、
(ちがう、これじゃないってすてて、)
違う、これじゃないって捨てて、
(これでもないってなげいて、)
これでもないって嘆いて、
(けっきょくきみになにもいえないままきょうをむかえてしまった。)
結局君に何も言えないまま今日を迎えてしまった。
(たいむりみっとはすぐちかく、)
タイムリミットはすぐ近く、
(いた、もしかしたら)
いや、もしかしたら
(もうあふれてしまったのかもしれない。)
もう溢れてしまったのかもしれない。
(ぼくにはわからない、)
僕にはわからない、
(じぶんのことさえなにもわからない。)
自分のことさえ何もわからない。
(しゅうしんしょう。)
終心症。
(あるひぼくはいしゃにそうつげられた。)
ある日僕は医者にそう告げられた。
(ひとはこころのおもみを、)
人は心の重みを、
(ことばにしてはきだしたり、わすれることによってかるくしている。)
言葉にして吐き出したり、忘れることによって軽くしている。
(つぶれてしまわないように、あふれてしまわないように。)
潰れてしまわないように、溢れてしまわないように。
(でもそのさぎょうがうまくできないひとがいる。)
でもその作業が上手くできない人がいる。
(いたみになれて、くるしみやさびしさになれてしまったゆえに、)
痛みに慣れて、苦しみや寂しさに慣れてしまった故に、
(こころがあきらめてしまったんだ。)
心が諦めてしまったんだ。
(もうむりだって、なにをしてもむだだって。)
もう無理だって、何をしても無駄だって。
(けっかことばやおもいでがたまって)
結果言葉や思い出が溜まって
(こころはどんどんおもくなり、)
心はどんどん重くなり、
(ささいなきもちでさえしまうことができなくなって、)
些細な気持ちでさえ仕舞うことができなくなって、
(あらたなことばをうめなくなってしまう。)
新たな言葉を生めなくなってしまう。
(まっきとしんだんされたぼくのこころは)
末期と診断された僕の心は
(きっと、なまりみたいにおもく、しにんのようにつめたかった。)
きっと、鉛みたいに重く、死人のように冷たかった。