夢野久作 押絵の奇蹟⑤/⑲

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(それからいまひとつ、おかあさまがじゅうはちのとしのにがつにはかたいちばんといわれております)

それから今一つ、お母様が十八の年の二月に博多一番と云われております

(おおがねもちのしばちゅう(ほんとうはしばたちゅうべえ)さんというひとがじしんで)

大金持ちの柴忠(しばちゅう)(本当は柴田忠兵衛)さんという人が自身で

(おとうさまにあいにこられまして、こんなことをいいだされました。「きょうおうかがい)

お父様に会いに来られまして、こんな事を云い出されました。「今日お伺い

(いたしましたのは、わたしのうちのむすめのはつのせっくにぜひともこちらさまのおくさまの)

致しましたのは、私の家(うち)の娘の初の節句に是非ともこちら様の奥様の

(おしえをかざらしていただきたいとぞんじまして、そのことをおねがいにまいりましたのでござい)

押絵を飾らして頂きたいと存じまして、その事をお願いに参りましたので御座い

(ます。それにつきましては、もうしごにちしますととうきょうのせんりょうやくしゃでなかむら)

ます。それにつきましては、もう四五日しますと東京の千両役者で中村

(はんだゆう(あなたさまのおとうさまでございます。しつれいなことばづかいをなにとぞ)

半太夫(はんだゆう)(貴方様のお父様で御座います。失礼な言葉づかいを何卒

(おゆるしくださいませ)というのがはかたにまいりましてひょうがくざで)

おゆるし下さいませ)というのが博多に参りまして瓢楽座(ひょうがくざ)で

(とおかかんしばいをいたします。そのおめみえしばいのげいだいはあこやのことぜめで、はんだゆうが)

十日間芝居を致します。そのお目見得芝居の芸題は阿古屋の琴責めで、半太夫が

(あこやをつとめることになっておりますから、そのぶたいをごらんになって、)

阿古屋をつとめる事になっておりますから、その舞台を御覧になって、

(そのとおりのばめんをごにんぐみにつくっていただけますまいか。そのためにはしょうめんのいちばん)

その通りの場面を五人組みに作って頂けますまいか。そのためには正面の一番

(よいさじきをしょにちからせんしゅうらくまでかいきっておきますが、どうぞぞんぶんに)

よい桟敷(さじき)を初日から千秋楽まで買い切っておきますが、どうぞ存分に

(ごらんくださいませ。したじのにしきえはここにもってまいりました。このさんまいつづきですが)

御覧下さいませ。下地の錦絵はここに持って参りました。この三枚続きですが

(しばいをごらんになりましたうえでどんなにおつくりかえになりましてもかまいませぬ。)

芝居を御覧になりました上でどんなにお作りかえになりましても構いませぬ。

(またいしょうがごらんになりたければがくやへおいでになっててにとってごらんになっても)

又衣裳が御覧になりたければ楽屋へお出でになって手に取って御覧になっても

(かまいませぬ。わたしがごあんないをいたします。まことにぶしつけではございますがひようも)

構いませぬ。私が御案内を致します。まことに不躾では御座いますが費用も

(てすうもいっさいいといませぬから、どうぞおくさまのいっせいいちだいのおつもりでのちのよに)

手数も一切いといませぬから、どうぞ奥様の一世一代のおつもりで後の世に

(つたえるものをちょうだいいたしまして、わたしのむすめにあやからせていただきとうございますが、)

伝えるものを頂戴致しまして、私の娘にあやからせて頂きとう御座いますが、

(いかがでございましょうか」と、まごころこめてのおたのみでした。)

如何で御座いましょうか」と、まごころ籠めてのお頼みでした。

(しかし、げんかくなおとうさまはなかなかおゆるしになりませんでしたそうです。)

しかし、厳格なお父様はなかなかお許しになりませんでしたそうです。

など

(あこやのことぜめというしばいは、どんなすじのものかとおたずねになったり、がくやは)

阿古屋の琴責めという芝居は、どんな筋のものかとお尋ねになったり、楽屋は

(おとこでもはいっていけるものか、なぞといろいろおたずねになりましたので、)

男でも這入って行けるものか、なぞといろいろお尋ねになりましたので、

(しばちゅうさんがせつめいをされまして、しばいというものはつじがくもんといってじんぎどうとくのおしえを)

柴忠さんが説明をされまして、芝居というものは辻学問といって仁義道徳の教を

(こめたものとか、やくしゃはかわらものというけれどとうきょうのはいゆうはそうばかりではなく、)

籠めたものとか、役者は河原者というけれど東京の俳優はそうばかりではなく、

(よいやくしゃになるとれいぎのただしいりっぱなにんげんばかりで、すもうとりやなにかとはかくしきの)

よい役者になると礼儀の正しい立派な人間ばかりで、角力取りや何かとは格式の

(ちがうものとか、いろいろにことばをつくしましたので、やっと、「それではみに)

違うものとか、いろいろに言葉を尽しましたので、やっと、「それでは見に

(いこう」とおっしゃったそうです。)

行こう」と仰言ったそうです。

(それからおしばいがはじまりますと、こまものうりのおせきばあさんをよんでるすばんを)

それからお芝居が始まりますと、小間物売りのオセキ婆さんを呼んで留守番を

(させて、おばあさまとおとうさまと、おかあさまとさんにんおそろいでみっかのあいだひょうがくざへおいでに)

させて、お祖母様とお父様と、お母様と三人お揃いで三日の間瓢楽座へお出でに

(なりましたが、そのさいしょのひにはなかむらはんだゆうというかたがはおりはかまをめして、)

なりましたが、その最初の日には中村半太夫という方が羽織袴を召して、

(おとうさまたちのごけんぶつのせきにみえてごあいさつをされました。そうして、「わたしの)

お父様たちの御見物の席に見えてご挨拶をされました。そうして、「私の

(ぶたいすがたがふくおかでなだかいおくさまのおてにかかるとはいっしょうのほまれでございます。なにとぞ)

舞台姿が福岡で名高い奥様のお手にかかるとは一生の誉れで御座います。何卒

(よろしく・・・」とおっしゃって、おばあさまにはおちゃきを、おとうさまにはおたばこぼんを、)

よろしく・・・」と仰言って、お祖母様にはお茶器を、お父様にはお煙草盆を、

(また、おかあさまにはかみいれを、それぞれおみやげにくだすったそうですが、それには)

又、お母様には紙入れを、それぞれお土産に下すったそうですが、それには

(いずれもわたしのうちのじょうもんのわちがいのもようがきんとぎんとではいっておりましたので、)

いずれも私の家の定紋の輪ちがいの模様が金と銀とで入っておりましたので、

(おとうさまはびっくりなすったそうです。そうしてはんだゆうというかたのごじんぴんにたいそう)

お父様はビックリなすったそうです。そうして半太夫という方の御人品に大層

(かんしんをされまして、「ぶしならばせんごくとりじゃ」とひとにおはなしになりましたそう)

感心をされまして、「武士ならば千石取りじゃ」と人にお話になりましたそう

(です。けれども、それからしごにちめになりますとおとうさまは、「おれはもうあたまがいたく)

です。けれども、それから四五日目になりますとお父様は、「俺はもう頭が痛く

(なりそうじゃ。おかあさまももはやおあきになったそうじゃから、おれはおかあさまとふたりで)

なりそうじゃ。お母様も最早お倦きになったそうじゃから、俺はお母様と二人で

(るすばんをする。ゆるすからおまえはおせきばばとふたりでみてこい。しばちゅうのせっかくのたのみ)

留守番をする。許すからお前はオセキ婆と二人で見て来い。柴忠の折角の頼み

(じゃから」とおっしゃったそうで、それでもおかあさまはおえんりょをなすったのを、)

じゃから」と仰言ったそうで、それでもお母様はお遠慮をなすったのを、

(おむかえにきたしばちゅうさんからむりにすすめられて、あとみっかほどごらんになったそう)

お迎えに来た柴忠さんから無理にすすめられて、あと三日ほど御覧になったそう

(です。そうしていつかめをごらんになったときにざっとしたえをかいて、むいかめにいまいちど)

です。そうして五日目を御覧になった時にザッと下絵を描いて、六日目に今一度

(しばいをみてこまかいところをおなおしになってから、おしごとにかかられましたが、)

芝居を見て細かい処をお直しになってから、お仕事にかかられましたが、

(それからいっしゅうかんめにはもうあこやのことぜめのごにんぐみのにんぎょうがりっぱにできあがり)

それから一週間目にはもう阿古屋の琴責めの五人組みの人形が立派に出来上がり

(ましたそうです。そのおしえにんぎょうは、あこやのかみのけをいっぽんいっぽんにくろじゅすを)

ましたそうです。その押絵人形は、阿古屋の髪の毛を一本一本に黒襦子を

(ほごしてうえてあるばかりでなく、めのたまにはおかあさまのくふうでにかわを)

ほごして植えてあるばかりでなく、眼の球にはお母様の工夫で膠(にかわ)を

(ぬってひかるようにし、ひぢりめんのきものに、しろとしぼりのぼたんを)

塗って光るようにし、緋縮緬(ひぢりめん)の着物に、白と絞りの牡丹を

(すこしばかりうかし、そのうえにとぶきんぎんのちょうちょうをかんざしにつかうはりがねで)

少しばかり浮かし、その上に飛ぶ金銀の蝶々を花簪(かんざし)に使う針金で

(うかしてひらひらとうごくようにしておびのからくさもようをえくりこみにした、にしきえとも)

浮かしてヒラヒラと動くようにして帯の唐草模様を絵刳り込みにした、錦絵とも

(ぶたいめんともまるでちがっためもまばゆいうつくしさのなかに、あこやのにがおが、さながら)

舞台面ともまるで違った眼も眩ゆい美しさの中に、阿古屋の似顔が、さながら

(いきいきとさしうつむいているのでした。それを、ひょうがくざでひのべのにのかわりを)

生き生きとさしうつむいているのでした。それを、瓢楽座で日延べの二の替りを

(うっておいでになりましたあなたのおとうさまがごらんになりましたとき、「これは)

打っておいでになりました貴方のお父様が御覧になりました時、「これは

(おどろいた。じぶんがいちばんくしんをしている、むかしのゆうじょのからだのこなしを、どうして)

驚いた。自分が一番苦心をしている、昔の遊女の身体のこなしを、どうして

(こんなにこまかくみてとられたものであろう。このゆうじょのこなしばかりは)

こんなに細かく見て取られたものであろう。この遊女の姿態(こなし)ばかりは

(げんざいいるいちばんのにしきえかきでもえがけないので、わたしのうちのげいのなかでもいちばんむずかしい)

現在居る一番の錦絵描きでも描けないので、私の家の芸の中でも一番むずかしい

(ひみつのでんじゅになっているものを・・・あのおくさんはふしぎなひとだ」)

秘密の伝授になっているものを・・・あの奥さんは不思議な人だ」

(といってしたをまかれたということで、いまでもはかたのひとのうわさにのこっているそうで)

と云って舌を捲かれたという事で、今でも博多の人の噂に残っているそうで

(ございます。そのあこやのことぜめのごにんぐみのにんぎょうが、しばちゅうさんのうちのちいさな)

御座います。その阿古屋の琴責めの五人組の人形が、柴忠さんの家の小さな

(ほんひのきぶたいにかざられましたときのけんぶつといったら、それはたいへんだったそうで)

本檜舞台に飾られました時の見物といったら、それは大変だったそうで

(ございます。もうすまでもなくそのときはおとうさまも、おかあさまもしばちゅうさんのところへ)

御座います。申すまでもなくその時はお父様も、お母様も柴忠さんの処へ

(およばれになって、たいそうなごちそうがでましたそうですが、そのおしえをみるために)

およばれになって、大層な御馳走が出ましたそうですが、その押絵を見るために

(わざわざえんぽうからみえたごしんせきや、おしりあいのおせっくきゃくのおうたいだけでも)

わざわざ遠方から見えた御親戚や、お知り合いのお節句客の応対だけでも

(しばちゅうさんはめがまわるほど、おいそがしかったそうでございます。そうしてそんな)

柴忠さんは眼がまわるほど、お忙しかったそうで御座います。そうしてそんな

(おきゃくが、おせっくをすぎてまでも、なかなかたえそうにみえませんでしたので、)

お客が、お節句を過ぎてまでも、なかなか絶えそうに見えませんでしたので、

(しまいにはしばちゅうさんもわらいながら、こんなことをいいだされたそうです。「これは)

しまいには柴忠さんも笑いながら、こんな事を云い出されたそうです。「これは

(たまらぬ、いくらむすめのいわいだというても、こんなにきょうおおさかのたびにん)

たまらぬ、いくら娘の祝いだというても、こんなに京大阪の旅人(たびにん)

(までききつたえてみにくるようでは、いまにしんだいかぎりになりそうだ。こんなに)

まで聞き伝えて見に来るようでは、今に身代限りになりそうだ。こんなに

(たかくついたおしえがあるものじゃない。なににしてもこれはいのぐちの)

高価(たか)く付いた押絵があるものじゃない。何にしてもこれは井ノ口の

(おくさんがいっせいいちだいのせいこんをうちこまれたものだから、いっそのこと、むすめのなまえで)

奥さんが一世一代の精魂を打ち込まれた物だから、いっその事、娘の名前で

(うじがみさまにあげてしまったほうがよかろう」ということになりました。それでその)

氏神様に上げてしまった方がよかろう」という事になりました。それでその

(おしえをりっぱなびいどろばりのがくぶちにおさめて、そのうえからいまひとつかなあみでつつんだ)

押絵を立派なビイドロ張りの額縁に納めて、その上から今一つ金網で包んだ

(じょうぶなものにして、くしだじんじゃのえまどうにあげられました。そのがくぶちのなかには)

丈夫なものにして、櫛田神社の絵馬堂に上げられました。その額縁の中には

(やはりほんひのきのさしものざいくでぶたいがうきださせてありまして、たてぐまでもほんもののとおり)

やはり本檜の指物細工で舞台が浮き出させてありまして、建具までも本物の通り

(てすうをかけたひながたがつかってありましたので、そのおもかったこと、よにんとか)

手数をかけた雛形が使ってありましたので、その重かった事、四人とか

(ごにんとかでこはんにちかかって、やっとつりあげることができたそうでございます。)

五人とかで小半日かかって、やっと釣り上げる事が出来たそうで御座います。

(そのようなことで、おかあさまのひょうばんがまえにもましてたかくなりまして、それにつれて)

そのようなことで、お母様の評判が前にも倍して高くなりまして、それにつれて

(たのんでくるおしごとがまた、まえのばいももっとうえもくるようになりましたことも)

頼んで来るお仕事が又、前の倍ももっと上も来るようになりました事も

(もうすまでもありませぬ。けれども、おかあさまはそれからまもなく、そのとしの)

申すまでもありませぬ。けれども、お母様はそれから間もなく、その年の

(くれちかくにわたしをおうみになることがおわかりになりましたために、はちがつからのちにきた)

暮近くに私をお生みになる事がおわかりになりましたために、八月から後に来た

(ちゅうもんはぴたぴたとことわっておしまいになったそうです。)

注文はピタピタと断っておしまいになったそうです。

(わたしがうまれますぜんごのおばあさまやごりょうしんたちのおさわぎになりようというものは、)

私が生れます前後のお祖母様や御両親たちのお騒ぎになりようというものは、

(はたからみていると、とてもおかしくてたまらぬくらいだったそうでございます。)

はたから見ていると、とても可笑しくてたまらぬ位だったそうで御座います。

(「びじんはこをうまず」とか「きかさのおんなにはこだねがすくない」とかよくいうようで)

「美人は子を生まず」とか「気嵩の女には子種がすくない」とかよく云うようで

(ございますが、わたしのおかあさまはりょうほうをかねておいでになりましたので、おばあさまも)

御座いますが、私のお母様は両方を兼ねておいでになりましたので、お祖母様も

(このことばかりをごしんぱいなすってよくそんなぐちをおっしゃったそうです。もっとも)

この事ばかりを御心配なすってよくそんな愚痴を仰言ったそうです。もっとも

(おとうさまはそんなことについてはだまっておいでになりましたそうですが)

お父様はそんな事に就いては黙っておいでになりましたそうですが

(「さんねんこなければさる」というならわしがふくおかにもありましたのに、かんじんの)

「三年子なければ去る」という慣わしが福岡にもありましたのに、かんじんの

(おかあさまがおいえつきで、おとうさまがごようしでおいでになるので、おばあさまは、)

お母様がお家付きで、お父様が御養子でおいでになるので、お祖母様は、

(どうなさることもできなかったのでしょう。それでもおばあさまは、どんなにか)

どうなさる事も出来なかったのでしょう。それでもお祖母様は、どんなにか

(ういまごのかおをごらんになりたくておいでになったでしょう。)

初孫(ういまご)の顔を御覧になりたくておいでになったでしょう。

(おばあさまは、ですからときどきごじぶんからすすんでおかあさまをおつれになっては、)

お祖母様は、ですから時々御自分から進んでお母様をお連れになっては、

(おじぞうさまだの、かんのんさまだの、ごしんぼくなぞをおがみにおいでになったり、ごふや)

お地蔵様だの、観音様だの、御神木なぞを拝みにお出でになったり、御符や

(ごしんすいなぞをとりよせて、おかあさまにおいただかせになったり、いろいろとおくしんを)

御神水なぞを取り寄せて、お母様にお戴かせになったり、色々とお苦心を

(なすったそうです。「おまえ、きょうはかんのんさまのひだよ」とか「あしたはおじぞうさまの)

なすったそうです。「お前、きょうは観音様の日だよ」とか「明日はお地蔵様の

(なになにだよ」とかおっしゃっては、つきににさんどずつおかあさまをおだしになったそう)

何々だよ」とか仰言っては、月に二三度ずつお母様をお出しになったそう

(ですが、そのときはおかあさまもどんなにおしごとがおいそがしくとも「はい」といって)

ですが、その時はお母様もどんなにお仕事がお忙しくとも「ハイ」と云って

(おでかけになりましたそうです。おとうさまもあさばんかみさまやほとけさまにてをおあわせになる)

お出かけになりましたそうです。お父様も朝晩神様や仏様に手をお合わせになる

(ほかに、おばあさまがおすすめになるごふやごしんすいなぞも、すなおにおいただきになり)

ほかに、お祖母様がおすすめになる御符や御神水なぞも、素直にお戴きになり

(ましたそうで、けっしてめいしんなぞとはおっしゃらなかったそうです。)

ましたそうで、決して迷信なぞとは仰言らなかったそうです。

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