銀河鉄道の夜 47
九、ジョバンニの切符 19/36
(渓谷と高原 2/3)
(渓谷と高原 2/3)
そしてまったくその振子の音のたえまを、遠くの遠くの野原のはてから、かすかなかすかな旋律が糸のように流れてくるのでした。
「新世界交響楽だわ。」
「新世界交響楽だわ。」
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問題文
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(そのとききしゃはだんだんしずかになって)
そのとき汽車はだんだんしずかになって
(いくつかのしぐなるとてんてつきのあかりをすぎ)
いくつかのシグナルとてんてつ器の灯を過ぎ
(ちいさなていしゃばにとまりました。)
小さな停車場にとまりました。
(そのしょうめんのあおじろいとけいはかっきりだいにじをしめし、)
その正面の青じろい時計はかっきり第二時を示し、
(そのふりこは、かぜもなくなりきしゃもうごかず)
その振子は、風もなくなり汽車もうごかず
(しずかなしずかなのはらのなかに、かちっかちっと)
しずかなしずかな野原のなかに、カチッカチッと
(ただしくときをきざんでいくのでした。)
正しく時をきざんで行くのでした。
(そしてまったくそのふりこのおとのたえまを)
そしてまったくその振子の音のたえまを
(とおくのとおくののはらのはてから、)
遠くの遠くの野原のはてから、
(かすかなかすかなせんりつがいとのようにながれてくるのでした。)
かすかなかすかな旋律が糸のように流れてくるのでした。
(「しんせかいこうきょうがくだわ。」)
「新世界交響楽だわ。」
(むこうのざせきのあねがひとりごとのように)
むこうの座席の姉がひとりごとのように
(こっちをみながらそっといいました。)
こっちを見ながらそっといいました。
(まったくもうくるまのなかでは)
まったくもう車の中では
(あのくろふくのたけたかいせいねんもだれもみんな)
あの黒服の丈高い青年も誰もみんな
(やさしいゆめをみているのでした。)
やさしい夢をみているのでした。
((こんなしずかないいとこで)
(こんなしずかないいとこで
(ぼくはどうしてもっとゆかいになれないのだろう。)
ぼくはどうしてもっと愉快になれないのだろう。
(どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。)
どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。
(けれどもかむぱねるらなんか、あんまりひどい、)
けれどもカムパネルラなんか、あんまりひどい、
など
(ぼくといっしょにきしゃにのっていながら)
ぼくといっしょに汽車に乗っていながら
(まるであんなおんなのことばかりはなしているんだもの。)
まるであんな女の子とばかり話しているんだもの。
(ぼくはほんとうにつらい。))
ぼくはほんとうにつらい。)
(じょばんにはまたりょうてでかおをはんぶんかくすようにして)
ジョバンニはまた両手で顔を半分かくすようにして
(むこうのまどのそとをみつめていました。)
向こうの窓のそとを見つめていました。