オオカミ王ロボ 20

偕成社文庫
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問題文
(このとしおいたえいゆうは、あわれにも、じぶんのあいするつまをさがしもとめて、)
この年老いた英雄は、あわれにも、自分の愛する妻を探し求めて、
(ひとときもやめなかったのだ。)
一時もやめなかったのだ。
(わたしたちがぶらんかのからだをひきずったあとをみたとき、)
私達がブランカの体をひきずった痕を見たとき、
(もうあとさきもかんがえずにそれをおって、)
もう後先も考えずにそれを追って、
(じぶんのためにしかけられたわなにおちこんだのだ。)
自分のために仕掛けられた罠に落ち込んだのだ。
(ろぼはよっつのてつのわなによんほんのあしをがっしりとはさまれて、)
ロボは四つの鉄の罠に四本の足をがっしりと挟まれて、
(もうどうすることもできなくなっていた。)
もうどうすることもできなくなっていた。
(まわりにはかずかぎりないあしあとがみだれていたが、)
周りには数限りない足跡が乱れていたが、
(これは、このとらえられたおうをわらってはずかしめるために、)
これは、この捕らえられた王を笑って辱めるために、
(ぼくじょうのうしたちがあつまってきたのだった。)
牧場の牛たちが集まってきたのだった。
(そのくせうしたちは、ろぼのてのとどくところにちかよるゆうきはなかったのだ。)
そのくせ牛たちは、ロボの手の届くところに近寄る勇気はなかったのだ。
(ふつかふたばんここにいたろぼは、いまはもうすっかりもがきつかれていた。)
二日二晩ここにいたロボは、今はもうすっかりもがき疲れていた。
(だが、わたしがちかづくと、たてがみをさかだておきなおった。)
だが、私が近づくと、たてがみを逆立て起き直った。
(そしてうなりごえをあげた。)
そして唸り声をあげた。
(ひくい、はらのそこにひびくようなこえが、これをさいごとたにのくうきをふるわす。)
低い、腹の底に響くような声が、これを最後と谷の空気をふるわす。
(たすけをもとめて、いちだんのしゅりょうがそのぶかをよびあつめているのだ。)
助けを求めて、一団の首領がその部下を呼び集めているのだ。
(だが、こたえるものはなく、)
だが、応えるものはなく、
(ろぼはただひとり、おいつめられたどたんばにたたねばならなかった。)
ロボは唯一人、追い詰められた土壇場に立たねばならなかった。
(ぜんりょくをあげてふりもがき、わたしにとびかかろうとしてひっしのぎょうそうであれくるった。)
全力を上げて振りもがき、私に飛びかかろうとして必死の形相で荒れ狂った。
(しかし、すべてはむだだった。)
しかし、全ては無駄だった。
(どのわなもひゃくさんじゅうきろいじょうのちからがあるあしかせで、びくともしない。)
どの罠も百三十キロ以上の力がある足枷で、びくともしない。
(しかもおおきなてつのあごは、それぞれによんほんのあしをおさえて、)
しかも大きな鉄の顎は、それぞれに四本の足を抑えて、
(なさけようしゃもなくしほうからしめつけている。)
情け容赦もなく四方から締め付けている。
(そのうえこれに、おもいまるたとくさりがからみついているのだから、)
その上これに、重い丸太と鎖が絡みついているのだから、
(さすがのろぼもちからのふるいようがなかった。)
さすがのロボも力のふるい様がなかった。
(まっしろいぞうげのようなはで、どんなにこのむごいくさりにかじりついたことか。)
真っ白い象牙のような歯で、どんなにこの酷い鎖にかじりついたことか。
(わたしが、らいふるのさきでさわろうとしたとき、ろぼがじゅうしんにかみついたきずは、)
私が、ライフルの先で触ろうとしたとき、ロボが銃身に噛み付いた傷は、
(いまでもはっきりとそのままのこっている。)
今でもはっきりとそのまま残っている。
(めはにくしみといかりでみどりいろのひかりをはなち、)
目は憎しみと怒りで緑色の光を放ち、
(おおきなあごはわたしとふるえるうまにかかろうとし、おとをたててそらをかんだ。)
大きな顎は私と震える馬にかかろうとし、音を立てて空をかんだ。
(だが、うえとあがきでちをうしない、つかれきっていたろぼは、)
だが、飢えとあがきで血を失い、疲れ切っていたロボは、
(やがてちからもつきてちにくずおれた。)
やがて力も尽きて地にくずおれた。