オオカミ王ロボ 22 / 終

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プレイ回数816難易度(4.4) 1876打 長文
シートン動物記
アーネスト・トムソン・シートン作
偕成社文庫

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(こうまがきょうこくのみちをくだって、いわのむこうにすべてがきえるまで、)

子馬が峡谷の道を下って、岩の向こうにすべてが消えるまで、

(かれはそうしてじっとみつめていた。)

彼はそうしてじっと見つめていた。

(ゆっくりとあるいてぶじぼくじょうにつくと、)

ゆっくりと歩いて無事牧場につくと、

(くびわをはめ、くさちのくいにじょうぶなくさりでつないでから、つなをほどいてやった。)

首輪をはめ、草地の杭に丈夫な鎖でつないでから、綱をほどいてやった。

(そしてはじめてわたしは、このろぼをつくづくとながめたのである。)

そして初めて私は、このロボをつくづくと眺めたのである。

(ながめてみてようやくわかったのだが、いまのよのえいゆうとかぼうくんのはなしになると、)

眺めてみてようやくわかったのだが、今の世の英雄とか暴君の話になると、

(せけんのうわさはじつにしんようできないものであった。)

世間の噂は実に信用出来ないものであった。

(くびのまわりにきんいろのわがあるなどというのは、うそだった。)

首の周りに金色の輪があるなどというのは、嘘だった。

(かたには、あくまとどうめいしたしるしのさかさじゅうじがあるというのも、でたらめだった。)

肩には、悪魔と同盟した印の逆さ十字があるというのも、でたらめだった。

(ただ、いっぽうのしりにおおきなきずあとがあった。)

ただ、一方の尻に大きな傷跡があった。

(うわさによると、これは、たなりーのおおかみりょうけんのりーだーだった、)

噂によると、これは、タナリーのオオカミ猟犬のリーダーだった、

(じゅのーがかんだきばのあと・・・)

ジュノーが噛んだ牙の痕・・・

(このいぬがたにまのすなのうえに、たたきころされるちょくぜんにのこしたきばのあとだという。)

この犬が谷間の砂の上に、叩き殺される直前に残した牙の痕だという。

(わたしはにくとみずをそばにおいてやったが、ろぼはみむきもしなかった。)

私は肉と水をそばに置いてやったが、ロボは見向きもしなかった。

(きいろいりょうがんをすえて、わたしのうしろのたにのいりぐちをはるかにこえ、)

黄色い両眼をすえて、私の後ろの谷の入口を遥かに越え、

(とおくひろがるへいげん・・・かれのへいげんのほうをみていた。)

遠く広がる平原・・・彼の平原の方を見ていた。

(さわっても、みうごきひとつしなかった。)

触っても、身動き一つしなかった。

(たいようがおちても、まだうごかずみすえていた。)

太陽が落ちても、まだ動かず見据えていた。

(よるがきたらぶかをよびあつめるのだろうとおもい、)

夜が来たら部下を呼び集めるのだろうと思い、

(じつはわたしはそのじゅんびをしておいたのだが、ろぼはひとこえもあげなかった。)

実は私はその準備をしておいたのだが、ロボは一声もあげなかった。

など

(だが、かんがえてみればそれもとうぜんである。)

だが、考えてみればそれも当然である。

(あのおいつめられてこまったときに、いちどよんでうらぎられたのだから、)

あの追い詰められて困った時に、一度呼んで裏切られたのだから、

(いまさらたのむわけもなかったのだ。)

今更頼むわけもなかったのだ。

(ちからをうしなったらいおん、じゆうをうばわれたわし、つまをなくしたはとは、)

力を失ったライオン、自由を奪われたワシ、妻をなくしたハトは、

(すべてむねのいたみにたえかねてしぬという。)

すべて胸の痛みに耐えかねて死ぬという。

(いま、ろぼのうえにはこのみっつのくるしみがいちどにやってきたのだ。)

今、ロボの上にはこの三つの苦しみが一度にやってきたのだ。

(いくらおそれをしらぬぞくのかしらだといっても、)

いくら恐れを知らぬ賊の頭だといっても、

(これにへいぜんとしてたえていられるものだろうか。)

これに平然として耐えていられるものだろうか。

(わたしがしっていることはただひとつ・・・)

私が知っていることは唯一つ・・・

(よるがあけたときろぼは、さくやとおなじやすらかなしせいで、)

夜が明けたときロボは、昨夜と同じ安らかな姿勢で、

(よこたわっていたということである。)

横たわっていたということである。

(からだにはきずひとつなかったけれども、たましいはもうそこにはなかった・・・)

体には傷一つなかったけれども、魂はもうそこにはなかった・・・

(ろうおおかみおうはいのちたえていたのである。)

老オオカミ王は命絶えていたのである。

(わたしはろぼのくびからくさりをはずし、かうぼーいにてつだってもらってこやへはこんだ。)

私はロボの首から鎖を外し、カウボーイに手伝ってもらって小屋へ運んだ。

(そこにはぶらんかのなきがらがある。)

そこにはブランカの亡骸がある。

(そのとなりに、このおおかみをならべてやったとき、かうぼーいはいった。)

その隣に、このオオカミを並べてやったとき、カウボーイは言った。

(「どうだな。さぞこいしかったろうが、おまえら、これでいっしょになれたぞ。」)

「どうだな。さぞ恋しかったろうが、お前ら、これで一緒になれたぞ。」

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