オオカミ王ロボ 17

偕成社文庫
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問題文
(ぶらんかがあわれなさいごをとげるあいだ、それからわれわれがいえじにむかうあいだも、)
ブランカがあわれな最期をとげるあいだ、それから我々が家路に向かう間も、
(とおいだいちをさまようろぼのさけびごえがながれつづけた。)
遠い台地をさまようロボの叫び声が流れ続けた。
(きっとぶらんかをさがしていたのだろう。)
きっとブランカを探していたのだろう。
(ろぼはけっしてぶらんかをみすてたのではなかった。)
ロボはけっしてブランカを見捨てたのではなかった。
(ただ、どうしてもすくえないとしっていたものだから、)
ただ、どうしても救えないと知っていたものだから、
(ちかづくわれわれをめにして、どうにもならぬだいにのてんせいのような、)
近づく我々を目にして、どうにもならぬ第二の天性のような、
(てっぽうへのおそれがあたまをもたげたのである。)
鉄砲への恐れが頭をもたげたのである。
(このひいちにち、ぶらんかをさがしてさまようろぼの、あわれななきごえがきこえた。)
この日一日、ブランカを探してさまようロボの、あわれな鳴き声がきこえた。
(しまいに、わたしはかうぼーいのひとりにこういったものである。)
しまいに、わたしはカウボーイの一人にこう言ったものである。
(「ぶらんかがあいつのかみさんだったことが、これでよくわかったよ。」)
「ブランカがあいつのかみさんだったことが、これでよくわかったよ。」
(ひがおちてから、ろぼはいっかのすみかがあったきょうこくにもどるらしく、)
日が落ちてから、ロボは一家の住処があった峡谷に戻るらしく、
(こえはしだいにちかよってきた。)
声は次第に近寄ってきた。
(そのこえにはもう、あからさまなかなしみがあふれていた。)
その声にはもう、あからさまな悲しみが溢れていた。
(きのうまでのひとをひとともおもわぬほえこえはきえて、)
昨日までの人を人とも思わぬ吠え声は消えて、
(ながい、すすりなくようなこえでうったえているのだった。)
長い、すすり泣くような声で訴えているのだった。
(まるで、「ぶらんか、ぶらんか。」と、よびつづけているようだった。)
まるで、「ブランカ、ブランカ。」と、呼び続けているようだった。
(すっかりよるになったとき、)
すっかり夜になったとき、
(どうやらろぼは、ぶらんかがとらえられたところにちかづいたようだった。)
どうやらロボは、ブランカが捉えられたところに近づいたようだった。
(やがてあしあとをみつけたのだろう。)
やがて足跡を見つけたのだろう。
(ころされたばしょにたどりついたときの、むねがはりさけそうななきごえは、)
殺された場所にたどり着いたときの、胸が張り裂けそうな鳴き声は、
(きくほうもいたたまれぬおもいにさせられた。)
聞く方もいたたまれぬ思いにさせられた。
(わたしは、おおかみがこんなにかなしむのとはそうぞうもしていなかった。)
私は、オオカミがこんなに悲しむのとは想像もしていなかった。
(いたってしんけいのにぶいかうぼーいたちでさえ、このこえをききつけて、)
いたって神経の鈍いカウボーイたちでさえ、この声を聞きつけて、
(「おおかみがこんなぶざまなまねをするのは、きいたことがないな。」)
「オオカミがこんな無様なまねをするのは、きいたことがないな。」
(といったほどである。)
といったほどである。
(そのばしょでなにがあったかを、しったにちがいない。)
その場所でなにがあったかを、知ったに違いない。
(ころされたところにはぶらんかのちがしみついていたのだから。)
殺されたところにはブランカの血が染み付いていたのだから。