オオカミ王ロボ 21
偕成社文庫
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問題文
(なにかわたしはこうかいににたものをかんじた。)
なにか私は後悔に似たものを感じた。
(たくさんのどうぶつたちがこのおおかみのてからうけとったものを、)
たくさんの動物達がこのオオカミの手から受け取ったものを、
(いまこのおおかみにもわけてやろうとしているにすぎなかったのだが。)
今このオオカミにも分けてやろうとしているに過ぎなかったのだが。
(「てんかいちのむほうものめ。)
「天下一の無法者め。
(おい、なぐりこみのおおおやぶん。)
おい、殴り込みの大親分。
(ずいぶんかってなまねをしてくれたが、そろそろねんぐのおさめどきだ。)
ずいぶん勝手な真似をしてくれたが、そろそろ年貢の納め時だ。
(おまえさんももうすぐ、くされにくのかたまりになるんだぞ。まあ、うんめいとあきらめるんだな。」)
お前さんももうすぐ、腐れ肉の塊になるんだぞ。まあ、運命と諦めるんだな。」
(わたしはそういってから、なげなわをふり、くうをきってろぼのくびにとばした。)
私はそう言ってから、投げ縄をふり、空を切ってロボの首に飛ばした。
(しかし、そうすぐかたづけるというわけにはいかなかった。)
しかし、そうすぐ片付けるというわけにはいかなかった。
(ろぼのほうでもこのままいってしまうきはなかったらしく、)
ロボの方でもこのままいってしまう気はなかったらしく、
(やわらかいなわのわがくびにおちるよりいっしゅんはやく、ぱくりとひとかみくらいついた。)
柔らかい縄の輪が首に落ちるより一瞬早く、ぱくりと一噛み食らいついた。
(すると、かたいふといなわはたちまちふたつになって、そのあしもとにおちた。)
すると、硬い太い縄はたちまち二つになって、その足元に落ちた。
(むろん、わたしはさいごのしゅだんとしてらいふるをつかうこともできたが、)
むろん、私は最後の手段としてライフルを使うこともできたが、
(このろぼのすてきなけがわにきずをつけたくなかった。)
このロボの素敵な毛皮に傷をつけたくなかった。
(そこでうまをとばしてこやにかえり、)
そこで馬をとばして小屋に帰り、
(あたらしいなげなわといっしょにかうぼーいをひとりつれてきた。)
新しい投げ縄と一緒にカウボーイを一人連れてきた。
(ふたりでまず、ぼうきれをなげつけ、ろぼがそれにくらいつくと、)
二人でまず、棒切を投げつけ、ロボがそれに食らいつくと、
(まだはなさないうちにりょうほうからなわをとばしてくびにまきつけた。)
まだ離さないうちに両方から縄を飛ばして首に巻き付けた。
(だが、ろぼのたけだけしいめからひかりがきえないうちに、わたしはさけんだのである。)
だが、ロボの猛々しい目から光が消えないうちに、私は叫んだのである。
(「まて。ころしていかん。いけどりにして、こやまでつれていこうじゃないか。」)
「待て。殺していかん。生け捕りにして、小屋まで連れて行こうじゃないか。」
(ろぼはもうすっかりよわっていたので、)
ロボはもうすっかり弱っていたので、
(じょうぶなぼうをくちにおしこむことはかんたんだった。)
丈夫な棒を口に押し込むことは簡単だった。
(きばのうしろにかませると、あごをふといつなでからげ、これをぼうにしばりつけた。)
牙の後ろに噛ませると、顎を太い綱でからげ、これを棒に縛り付けた。
(つなとぼうとでがんじがらめになったわけで、もうかみつくしんぱいはなくなった。)
綱と棒とでがんじがらめになったわけで、もう噛み付く心配はなくなった。
(いや、あごがしばられるとどうじに、ろぼはもうはむかうことをすっかりやめ、)
いや、顎が縛られると同時に、ロボはもう歯向かうことをすっかりやめ、
(こえさえたてず、しずかにわたしたちをみあげていた。)
声さえたてず、静かに私達を見上げていた。
(それはちょうど、こういっているかのようだった。)
それはちょうど、こう言っているかのようだった。
(「ふむ。とうとうおれをつかまえおったか。まあ、すきなようにするがよかろう。」)
「ふむ。とうとう俺を捕まえおったか。まあ、好きなようにするがよかろう。」
(そのあとは、わたしたちのことはわすれてしまったように、ふりむきもしなかった。)
その後は、私達のことは忘れてしまったように、振り向きもしなかった。
(あしをしっかりとしばったが、ろぼはうめきもせず、うなりもせず、)
足をしっかりと縛ったが、ロボはうめきもせず、唸りもせず、
(めさえふりむけなかった。)
目さえ振り向けなかった。
(わたしたちがちからをあわせて、やっとうまにかつぎあげたときには、)
私達が力を合わせて、やっと馬に担ぎ上げたときには、
(ろぼのいきは、まるでねむっているようにしずかだった。)
ロボの息は、まるで眠っているように静かだった。
(だがめは、ふたたびかがやきをとりもどしていたのである。)
だが目は、再び輝きを取り戻していたのである。
(すみきったそのめは、わたしをみむきもせず、)
澄みきったその目は、私を見向きもせず、
(はるかにうねりつづくとおいだいち・・・いまはないかれのおうこく、)
遥かにうねり続く遠い台地・・・今はない彼の王国、
(あのおとにきこえたはいかのいちだんも、もうちりぢりにくずれさったかれのおうこくに、)
あの音にきこえた配下の一団も、もう散り散りに崩れ去った彼の王国に、
(じっとそそがれていた。)
じっと注がれていた。