「こころ」1-8 夏目漱石
(上)先生と私
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | おーすぁま | 8338 | 神 | 8.7 | 95.8% | 134.2 | 1169 | 50 | 25 | 2026/09/21 |
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問題文
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(ぼちのくぎりめに、おおきないちょうがいっぽんそらをかくすようにたっていた。)
墓地の区切り目に、大きな銀杏が一本空を隠すように立っていた。
(そのしたへきたとき、せんせいはたかいこずえをみあげて、)
その下へ来た時、先生は高い梢を見上げて、
(「もうすこしすると、きれいですよ。このきがすっかりこうようして、)
「もう少しすると、綺麗ですよ。この木がすっかり黄葉して、
(ここいらのじめんはきんいろのおちばでうずまるようになります」といった。)
ここいらの地面は金色の落葉で埋まるようになります」といった。
(せんせいはつきにいちどずつはかならずこのきのしたをとおるのであった。)
先生は月に一度ずつは必ずこの木の下を通るのであった。
(むこうのほうででこぼこのじめんをならしてしんぼちをつくっているおとこが、)
向うの方で凸凹の地面をならして新墓地を作っている男が、
(くわのてをやすめてわたくしたちをみていた。わたくしたちはそこからひだりへきれて)
鍬の手を休めて私たちを見ていた。私たちはそこから左へ切れて
(すぐかいどうへでた。)
すぐ街道へ出た。
(これからどこへいくというあてのないわたくしは、ただせんせいのあるくほうへあるいていった。)
これからどこへ行くという目的のない私は、ただ先生の歩く方へ歩いて行った。
(せんせいはいつもよりくちかずをきかなかった。それでもわたくしはさほどのきゅうくつを)
先生はいつもより口数を利かなかった。それでも私はさほどの窮屈を
(かんじなかったので、ぶらぶらいっしょにあるいていった。)
感じなかったので、ぶらぶらいっしょに歩いて行った。
(「すぐおたくへおかえりですか」)
「すぐお宅へお帰りですか」
(「ええべつによるところもありませんから」)
「ええ別に寄る所もありませんから」
(ふたりはまただまってみなみのほうへさかをおりた。)
二人はまた黙って南の方へ坂を下りた。
(「せんせいのおたくのぼちはあすこにあるんですか」)
「先生のお宅の墓地はあすこにあるんですか」
(とわたくしがまたくちをききだした。)
と私がまた口を利き出した。
(「いいえ」)
「いいえ」
(「どなたのおはかがあるんですか。ーーごしんるいのおはかですか」)
「どなたのお墓があるんですか。ーーご親類のお墓ですか」
(「いいえ」)
「いいえ」
(せんせいはこれいじょうになにもこたえなかった。わたくしもそのはなしはそれぎりにしてきりあげた。)
先生はこれ以上に何も答えなかった。私もその話はそれぎりにして切り上げた。
など
(するといっちょうほどあるいたあとで、せんせいがふいにそこへもどってきた。)
すると一町ほど歩いた後で、先生が不意にそこへ戻って来た。
(「あすこにはわたしのともだちのはかがあるんです」)
「あすこには私の友達の墓があるんです」
(「おともだちのおはかへまいげつおまいりをなさるんですか」)
「お友達のお墓へ毎月お参りをなさるんですか」
(「そうです」)
「そうです」
(せんせいはそのひこれいがいをかたらなかった。)
先生はその日これ以外を語らなかった。