ここから先は異世界です。

(そこしれぬしずけさにつれさられて)

底知れぬ静けさに連れ去られて、

(かえりのでんしゃでゆれるきしねんりょ)

還りの電車で揺れる希死念慮、

(かげがかげをよびおこすよるのみち)

影が影を呼び起こす夜の道、

(あとからいこいこじしょうがひびいた)

後からいこいこ時鐘が響いた。

(あまごもりしたくてさ)

雨隠りしたくてさ、

(こうしゅうでんわにはいってしまったよ)

公衆電話に入ってしまったよ、

(せかいをことにするゆえんだと)

世界を異にする所以だと、

(しりもしなかった)

知りもしなかった。

(あやしいこのばしょで)

異しいこの場所で、

(ほどけていくげんじつ)

解けて逝く現実、

(がちゃんときれるおと)

ガチャン！と切れる音、

(さけぶこえさえのみこまれ)

叫ぶ声さえ飲み込まれ、

(むすんでひらいててをうって)

結んで開いて手を打って、

(まよいこめばもうもどれぬ)

迷い込めばもう戻れぬ。

(いぶんをもほうしあくいがおりなして)

異聞を模倣し悪意が織り成して、

(ふみこえりゃとりこまれいちぶになる)

踏み越えりゃ取り込まれ一部に成る、

(かげとかげとがとけあうきょぎのみち)

影と影とが溶け合う虚偽の道、

(やなぎのねかたでぼくはないていた)

柳の根方で僕は泣いていた。

(うなるけいひつとこてき)

唸る警蹕と鼓笛、

(ゆらりひがんばなのあかいろが)

ゆらり彼岸花の赤色が、

(いかさまなしぐなるにいいよられ)

如何様なシグナルに言い寄られ、

(こおどりする)

小躍りする。

(かなしいこのかこで)

哀しい子の過去で、

(ゆがんでいくげんそう)

歪んで逝く幻想、

(がちゃんとわれるまど)

ガチャン！と割れる窓、

(かれるこえさえのみこまれ)

嗄れる声さえ飲み込まれ、

(いぎょうのかいぶつになった)

異形の怪物になった。

(いぎょうのかいぶつになった)

異形の怪物になった。

(どうかあなたもごじあいください)

どうか、貴方もご自愛ください。

(ろあくてきねたみのひとびとや)

露悪的嫉みの人々や、

(ひがいもうそうしゃの)

被害妄想者の、

(みさかいなきてきいともうげんなどには)

見境なき敵意と妄言などには、

(ぜったいにみみをかたむけないように)

絶対に耳を傾けないように。

(あまごもりしたくてさ)

雨隠りしたくてさ、

(こうしゅうでんわにはいってしまったよ)

公衆電話に入ってしまったよ、

(せかいをことにするゆえんだと)

世界を異にする所以だと、

(しりもしなかった)

知りもしなかった。

(あやしいこのばしょで)

異しいこの場所で、

(ほどけていくげんじつ)

解けて逝く現実、

(がちゃんときれるおと)

ガチャン！と切れる音、

(さけぶこえさえのみこまれ)

叫ぶ声さえ飲み込まれ、

(やがて)

軈て？:し＊。

(かなしいこのかこで)

哀しい子の過去で、

(ゆがんでいくげんそう)

歪んで逝く幻想、

(がちゃんとわれるまど)

ガチャン！と割れる窓、

(たいへんおきのどくですが)

大変お気の毒ですが、

(でぐちはどこにもありません)

出口はどこにもありません。

(ここからさきはいせかいです)

ここから先は異世界です。