未 本編 -35-
cicciさんのアカウント
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7833 | 神 | 7.9 | 98.5% | 396.0 | 3149 | 47 | 62 | 2025/11/15 |
| 2 | Jyo | 5882 | A+ | 6.0 | 97.8% | 523.6 | 3149 | 69 | 62 | 2025/11/15 |
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問題文
(「わかりました。それではしつれいします」)
「わかりました。それでは失礼します」
(なにごともなかったかのようにあいさつをしてでんわをきったししょうだったが、)
なにごともなかったかのように挨拶をして電話を切った師匠だったが、
(そのかおをみたしゅんかん、ぼくはなにかぞくりとするものをかんじた。)
その顔を見た瞬間、僕は何かぞくりとするものを感じた。
(うつむいたままこうかくをあげているそのうすらわらいのようなひょうじょうに、)
俯いたまま口角を上げているその薄ら笑いのような表情に、
(ちりちりとしゅういのくうきがあおくもえるようなさっかくをおぼえたのだ。)
ちりちりと周囲の空気が青く燃えるような錯覚をおぼえたのだ。
(「あ~あ。できすぎだ。ぜんぶうまっちゃったよ」)
「あ〜あ。でき過ぎだ。全部埋まっちゃったよ」
(ぱずるの、さいごのぴーすまで。)
パズルの、最後のピースまで。
(そうつぶやいてししょうはゆっくりとかおをあげた。)
そう呟いて師匠はゆっくりと顔を上げた。
(きりさめのようなこまかいあまつぶが、りょかんのやねをおともなくたたいている。)
霧雨のような細い雨粒が、旅館の屋根を音もなく叩いている。
(そとはもうくらい。まだばんのろくじになっていなかったが、あまぐもがそらをおおい、)
外はもう暗い。まだ晩の六時になっていなかったが、雨雲が空を覆い、
(ゆうやけのざんさいももうどこにもなかった。)
夕焼けの残滓ももうどこにもなかった。
(ひがおちてから、ますますひえこみがはげしい。ここいっしゅんではいちばんのさむさだろう。)
日が落ちてから、ますます冷え込みが激しい。ここ一瞬では一番の寒さだろう。
(ぼくはふるえながらりょううでをかかえると、さんさくしていたなかにわからたてもののなかにもどった。)
僕は震えながら両腕を抱えると、散策していた中庭から建物の中に戻った。
(りょかんのなかも、きのうよりもほんのりとはださむさをかんじた。きゃくがいないのに、)
旅館の中も、昨日よりもほんのりと肌寒さを感じた。客がいないのに、
(だんぼうのせっていおんどをおとしているらしい。きゃくにそうとうするぼくとししょうはいるのだが、)
暖房の設定温度を落としているらしい。客に相当する僕と師匠はいるのだが、
(かんすけさんあたりが「あいつらはきゃくじゃねえんだ」とむりやりおんどを)
勘介さんあたりが「あいつらは客じゃねえんだ」と無理やり温度を
(さげたのかもしれない。)
下げたのかも知れない。
(いちかいのふろあのおくにむかうと、えんかいじょうにもつかわれるおおひろまのまえに)
一階のフロアの奥に向かうと、宴会場にも使われる大広間の前に
(ぜんいんがあつまっていた。)
全員が集まっていた。
(おかみのちよこさん、ばんとうのかんすけさんとなかいのひろこさんのおやこ。)
女将の千代子さん、番頭の勘介さんと仲居の広子さんの親子。
(おかみのむすめのかえで。そしてさっきかえでをばいくをおくってきたばかりの)
女将の娘の楓。そしてさっき楓をバイクを送ってきたばかりの
(わかみやじんじゃのじなんぼう、かずお。)
若宮神社の次男坊、和雄。
(このごにんに、ぼくとししょうをくわえたごうけいななにんが)
この五人に、僕と師匠を加えた合計七人が
(いまこのりょかんにいるすべてのひとかんだった。)
今この旅館にいるすべての人間だった。
(「なにがはじまるんです」)
「なにが始まるんです」
(かずおがぼくにといかけてくる。でーとはそれなりにうまくいったらしい。)
和雄が僕に問い掛けてくる。デートはそれなりに上手くいったらしい。
(きげんがよさそうだ。かえでのほうも、かずおのさくりゃくをしってかしらずか、)
機嫌が良さそうだ。楓の方も、和雄の策略を知ってか知らずか、
(まずまずたのしかったようだ。ひょうじょうがやわらかい。)
まずまず楽しかったようだ。表情が柔らかい。
(「なぞときだとほんにんはいってましたが」)
「謎解きだと本人は言ってましたが」
(そうこたえて、ほかのひととおなじようにとじられたままのふすまをみつめる。)
そう答えて、他の人と同じように閉じられたままの襖を見つめる。
(なかではししょうが「じゅんび」とやらをしているらしい。)
中では師匠が「準備」とやらをしているらしい。
(ぼくもさいしょだけてつだったので、なかがどうなっているのかだいたいは)
僕も最初だけ手伝ったので、中がどうなっているのか大体は
(わかっているのだが、なにをしようとしているのかまではわからなかった。)
分かっているのだが、なにをしようとしているのかまでは分からなかった。
(「だいじょうぶでしょうか」)
「大丈夫でしょうか」
(おかみはとまどったひょうじょうをうかべておちつかないようすだった。)
女将は戸惑った表情を浮かべて落ち着かない様子だった。
(かんすけさんはむっすりとおしだまってうでぐみをしている。)
勘介さんはムッスリと押し黙って腕組みをしている。
(ひろこさんとかえではかおをよせあってなにごとかはなしをしていた。)
広子さんと楓は顔を寄せ合って何ごとか話をしていた。
(またうでどけいをみた。)
また腕時計を見た。
(ろくじまでもうすこしだ。くれむっつをすぎると、そこからはぼくらのよくしる)
六時までもう少しだ。暮れ六つを過ぎると、そこからは僕らのよく知る
(このよのことわりがすこしかわってしまう。)
この世の理が少し変わってしまう。
(なにがおこるかわからない、ひとのよのきょうかいのそとなのだ。)
なにが起こるか分からない、人の世の境界の外なのだ。
(とくに、ときのかねがきこえるこのとちでは。)
特に、時の鐘が聞こえるこの土地では。
(ぼくはじむしょでのししょうとのやりとりのことをおもいうかべた。)
僕は事務所での師匠とのやりとりのことを思い浮かべた。
(ししょうはたしかにおかみがはんにんだといった。あれはどういうことなのだろうか。)
師匠は確かに女将が犯人だと言った。あれはどういうことなのだろうか。
(ゆうれいはほんものだ。そうぐうしたぼくにはわかる。にんげんのいたずらなんかじゃない。)
幽霊は本物だ。遭遇した僕には分かる。人間のイタズラなんかじゃない。
(なのに、おかみがこのゆうれいそうどうのはんにんだというのか。)
なのに、女将がこの幽霊騒動の犯人だというのか。
(かんがえてもよくわからない。あるいは、なにかゆうれいのでるようになった)
考えてもよく分からない。あるいは、なにか幽霊の出るようになった
(げんいんがあり、そのかぎをおかみがにぎっているということか。)
原因があり、その鍵を女将が握っているということか。
(そっととなりにいるおかみのよこがおをぬすみみる。)
そっと隣にいる女将の横顔を盗み見る。
(むすめのかえでとよくにている。きれいなひとだ。おっととしにわかれているそうだが、)
娘の楓とよく似ている。綺麗な人だ。夫と死に別れているそうだが、
(ひとりみになってからいいよるおとこのひとりやふたりはいただろう。)
独り身になってから言い寄る男の一人や二人はいただろう。
(そのさそいをことわり、おんなでひとつでりょかんをきりもりしながらこどもをそだててきたのだ。)
その誘いを断り、女手一つで旅館を切り盛りしながら子どもを育ててきたのだ。
(そのきゃしゃにみえるしんたいに、どれほどのかくごがつまっていることか。)
その華奢に見える身体に、どれほどの覚悟が詰まっていることか。
(かくごか。)
覚悟か。
(ふいに、さかんやをよんだというはなしをおもいだした。ぼくとししょうがおんせんめぐりから)
ふいに、左官屋を呼んだという話を思い出した。僕と師匠が温泉めぐりから
(かえってきたとき、おかみはさかんやとだいよくじょうのほうでうちあわせをしていた。)
帰ってきたとき、女将は左官屋と大浴場の方で打ち合わせをしていた。
(よくじょうのかべをなおしたいらしい。)
浴場の壁を直したいらしい。
(かべ・・・・・)
壁・・・・・
(かべにしたいをぬりこめるはなしがあったな。)
壁に死体を塗り込める話があったな。
(いやなそうぞうがうかんでくる。ぼくはあたまをふってれいせいさをとりもどそうとした。)
いやな想像が浮かんでくる。僕は頭を振って冷静さを取り戻そうとした。
(そうしていると、ぼくらのめのまえで、とざされていたおおひろまのふすまが)
そうしていると、僕らの目の前で、閉ざされていた大広間の襖が
(ゆっくりとひらいた。)
ゆっくりと開いた。