太宰治 「桜桃」 8(終)

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問題文
(もう、しごとどころではない。)
もう、仕事どころではない。
(じさつのことばかりかんがえている。)
自殺のことばかり考えている。
(そうして、さけをのむばしょへまっすぐにいく。)
そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く。
(「いらっしゃい」)
「いらっしゃい」
(「のもう。きょうはまた、ばかにきれいなしまを、」)
「飲もう。きょうはまた、ばかに綺麗な縞を、……」
(「わるくないでしょう あなたのすくしまだとおもっていたの」)
「わるくないでしょう? あなたの好く縞だと思っていたの」
(「きょうは、ふうふげんかでね、いんにこもってやりきれねえんだ。)
「きょうは、夫婦喧嘩でね、陰にこもってやりきれねえんだ。
(のもう。こんやはとまるぜ。だんぜんとまる」)
飲もう。今夜は泊るぜ。だんぜん泊る」
(こどもよりおやがだいじ、とおもいたい。)
子供より親が大事、と思いたい。
(こどもよりも、そのおやのほうがよわいのだ。)
子供よりも、その親のほうが弱いのだ。
(おうとうがでた。)
桜桃が出た。
(わたしのいえでは、こどもたちに、ぜいたくなものをたべさせない。)
私の家では、子供たちに、贅沢なものを食べさせない。
(こどもたちは、おうとうなど、みたこともないかもしれない。)
子供達は、桜桃など、見た事も無いかもしれない。
(たべさせたら、よろこぶだろう。)
食べさせたら、よろこぶだろう。
(ちちがもってかえったら、よろこぶだろう。)
父が持って帰ったら、よろこぶだろう。
(つるをいとでつないで、くびにかけると、おうとうは、)
蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、
(さんごのくびかざりのようにみえるだろう。)
珊瑚の首飾りのように見えるだろう。
(しかし、ちちは、おおざらにもられたおうとうを、)
しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、
(きわめてまずそうにたべてはたねをはき、たべてはたねをはき、たべてはたねをはき、)
極めて不味そうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、
(そうしてこころのなかできょせいみたいにはくことばは、こどもよりもおやがだいじ。)
そうして心の中で虚勢みたいに吐く言葉は、子供よりも親が大事。