新古今和歌集3
100首から12問ランダム
意味がよくわからなくても響く言葉の美しさ
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(たかきやにのぼりてみればけぶりたつたみのかまどはにぎはひにけり
)
高き屋にのぼりて見れば煙たつ民の竈は賑はひにけり
(はつはるのはつねのきょうのたまははきてにとるからにゆらぐたまのを
)
初春の初子の今日の玉箒手に取るからに揺らぐ玉の緒
(ねのひしてしめつるのべのひめこまつひかでやちよのかげをまたまし
)
子の日して標めつる野辺の姫小松引かでや千代の蔭を待たまし
(きみがよのとしのかずをばしろたへのはまのまさごとだれかしきけむ)
君が代の年の数をば白妙の浜の真砂と誰か敷きけむ
(わかなおふるのべといふのべをきみがためよろづよしめてつまむとぞおもふ)
若菜生ふる野辺といふ野辺を君がため万世標めて摘まむとぞ思ふ
(ゆふだすきちとせをかけてあしひきのやまあいのいろはかはらざりけり)
木綿襷千年をかけてあしひきの山藍の色は変はらざりけり
(いのりつつなほながつきのきくのはないづれのあきかうえてみざらむ)
祈りつつなほ長月の菊の花いづれの秋か植えて見ざらむ
(かみなづきもみぢもしらぬときわぎによろづよかかれみねのしらくも)
神無月紅葉もしらぬ常磐木に万代かかれ嶺の白雲
(やまかぜはふけどふかねどしらなみのよするいわねはひさしかりけり)
山風は吹けど吹かねど白波の寄する岩根はひさしかりけり
(くもりなくちとせにすめるみづのおもにやどれるつきのかげものどけし)
曇りなく千年にすめる水の面にやどれる月の影ものどけし
(よろづよをまつのをやまのかげしげみきみをぞいのるときわかきわに)
よろづ代を松の尾山のかげ茂み君をぞ祈る常磐堅磐に
(ときわなるまつにかかれるこけなればとしのをながきしるべとぞおもふ)
常磐なる松に懸かかれる苔なれば年の緒長きしるべとぞ思ふ
(あめのしためぐむくさきのめもはるにかぎりもしらぬみよのすえずえ)
天の下芽ぐむ草木の芽も張るに限りもしらぬ御代の末々
(おしなべてこのめもはるのあさみどりまつにぞちよのいろもこもれる)
おしなべて木の芽も春の浅緑松にぞ千代の色もこもれる
(ぬれてほすたまぐしのはのつゆじもにあまてるひかりいくよへぬらむ)
濡れて干す玉串の葉の露霜に天照る光幾代経ぬらむ
(しきしまややまとしまねもかみよよりきみがためとやかためおきけむ
)
敷島や大和島根も神代より君がためとや固めおきけむ
(もしほぐさかくともつきじきみがよのかずによみおくわかのうらなみ)
藻塩草かくとも尽きじ君が代の数によみおく和歌の浦波
(たかさごのまつもむかしになりぬべしなほゆくすえはあきのよのつき
)
高砂の松も昔になりぬべしなほ行く末は秋の夜の月
(うれしさやかたしくそでにつつむらむきょうまちえたるうぢのはしひめ)
嬉しさやかたしく袖につつむらむ今日待ちえたる宇治の橋姫
(としへたるうぢのはしもりこととはむいくよになりぬみづのみなかみ
)
年経たる宇治の橋守りこと問はむ幾代になりぬ水の水上
など
(ときわなるきびのなかやまおしなべてちとせをまつのふかきいろかな
)
常磐なる吉備の中山おしなべて千年を松の深き色かな
(かすがやまみやこのみなみしかぞおもふきたのふぢなみはるにあへとは
)
春日山都の南鹿ぞ思ふ北の藤浪春にあへとは
(あかねさすあさひのさとのひかげくさとよのあかりのかざしなるべし)
あかねさ朝日の里の日陰草豊の明りのかざしなるべし
(くもりなきかがみのやまのつきをみてあきらけきよをそらにしるかな)
曇りなき鏡の山の月を見て明けき代を空にしるかな
(すえのつゆもとのしづくやよのなかのおくれさきだつためしなるらむ)
末の露本の雫や世の中の後れ先立つためしなるらむ
(あはれなりわがみのはてやあさみどりつひにはのべのかすみとおもへば
)
あはれなり我が身の果や浅緑つひにはの野辺の霞と思へば
(さくらちるはるのすえにはなりにけりあままもしらぬながめせしまに
)
桜散る春の末にはなりにけり雨間も知らぬながめせしまに
(はなさくらまたさかりにてちりにけむなげきのもとをおもひこそやれ)
花桜まだ盛りにて散りにけむ嘆きのもとをおもひこそやれ
(はなみむとうえけむひともなきやどのさくらはこぞのはるぞさかまし
)
花見むと植ゑけむ人もなき宿の桜は去年の春ぞ咲かまし
(だれもみなはなのみやこにちりはててひとりしぐるるあきのやまざと)
誰もみな花の都に散り果ててひとり時雨るる秋の山里
(なくしかのこえにめざめてしのぶかなみはてぬゆめのあきのおもひを)
鳴く鹿の声に目覚めて偲ぶかな見果てぬ夢の秋の思ひを
(よもすがらつまとふしかのなくなへにこはぎがはらのつゆぞこぼるる
)
夜もすがら妻問ふ鹿の鳴くなへに小萩が原の露ぞこぼるる
(おやまだのいほちかくなくしかのねにおどろかされておどろかすかな
)
小山田の庵近く鳴く鹿の音に驚かされて驚かすかな
(すぎてゆくあきのかたみにさおじかのおのがなくねもおしくやあるらむ)
過ぎてゆく秋の形見にさ雄鹿のおのが鳴く音も惜しくやあるらむ
(あきたもるかりいほつくりわがをればころもでさむしつゆぞおきける)
秋田守る仮庵作り我が居れば衣手寒し露ぞおきける
(ほととぎすなくさみだれにうえしたをかりがねさむみあきぞくれぬる
)
ほととぎす鳴く五月雨に植えし田を雁が音寒み秋ぞ暮れぬる
(あきさればかりのはかぜにしもふりてさむきよなよなしぐれさへふる)
秋されば雁の羽風に霜降りて寒き夜な夜な時雨さへ降る
(くさばにはたまとみえつつわびひとのそでのなみだのあきのしらつゆ)
草葉には玉と見えつつわび人の袖の涙の秋の白露
(かりてほすやまだのいねはそでひぢてうえしさなへとみえずもあるかな)
刈りて干す山田の稲は袖ひぢて植ゑし早苗と見えずもあるかな
(あきといへばちぎりおきてやむすぶらむあさぢがはらのけさのしらつゆ
)
秋といへば契りおきてや結ぶらむ浅茅が原の今朝の白露
(おぼつかなのにもやまにもしらつゆのなにごとをかはおもひおくらむ)
おぼつかな野にも山にも白露の何事をかは思ひ置くらむ
(つゆしげみのべをわけつつからころもぬれてぞかへるはなのしづくに)
露しげみ野辺を分けつつ唐衣濡れてぞかへる花の雫に
(つゆはそでにものおもふころはさぞなおくかならずあきのならひならねど
)
露は袖に物思ふころはさぞな置くかならず秋のならひならねど
(のはらよりつゆのゆかりをたづねきてわがころもてにあきかぜぞふく)
野原より露のゆかりをたづね来て我が衣手に秋風ぞ吹く
(むしのねもながきよあかぬふるさとになほおもひそふまつかぜぞふく
)
虫の音も長き夜明かぬ故郷になほ思ひ添ふ松風ぞ吹く
(あともなきにわのあさぢにむすぼほれつゆのそこなるまつむしのこえ)
跡もなき庭の浅茅に結ぼほれ露の底なる松虫の声
(ころもうつおとはまくらにすがわらやふしみのゆめをいくよのこしつ)
衣打つ音は枕に菅原や伏見の夢を幾代残しつ
(ころもうつねやまのいおのしばしばもしらぬゆめぢにむすぶたまくら
)
衣打つね山の庵のしばしばも知らぬ夢路に結ぶ手枕
(まどろまでながめよとてのすさびかなあさのさごろもつきにうつこえ)
まどろまで眺めよとてのすさびかな麻の狭衣月に打つ声
(さとはあれてつきやあらぬとうらみてもだれあさじふにころもうつらむ
)
里は荒れて月やあらぬと恨みても誰浅茅生に衣打つらむ
(あきとだにわすれむとおもふつきかげをさもあやにくにうつころもかな)
秋とだに忘れむと思ふ月影をさもあやにくに打つ衣かな
(ちたびうつきぬたのおとにゆめさめてものおもふそでのつゆぞくだくる)
千たび打つ砧の音に夢醒めて物思ふ袖の露ぞ砕くる
(ふけにけりやまのはちかくつきさえてとおちのさとにころもうつこえ)
更けけにけり山の端近く月冴えて十市の里に衣打つ声
(あきはつるさよふけがたのつきみればそでものこらずつゆぞおきける
)
秋果つる小夜更けがたの月見れば袖もの残らず露ぞ置きける
(ひとりぬるやまどりのおのしだりおにしもおきまよふとこのつきかげ)
ひとり寝る山鳥の尾のしだり尾に霜置きまよふ床の月影
(ひとめみしのべのけしきはうらかれてつゆのよすがにやどるつきかな
)
ひとめ見し野辺の景色はうら枯れて露のよすがに宿る月かな
(あきのよはころもさむしろかさねてもつきのひかりにしくものぞなき
)
秋の夜は衣さむしろ重ねても月の光にしくものぞなき
(あきのよははやながつきになりにけりことわりなりやねざめせらるる)
秋の夜ははや長月になりにけりことわりなりや寝醒めせらるる
(さびしさはみやまのあきのあさぐもりきりにしをるるまきのしたつゆ
)
寂しさは深山の秋の朝曇り霧にしをるる真木の下露
(あけぼのやかはせのなみのたかせぶねくだすかひとのそでのあきぎり)
曙や川瀬の波の高瀬舟くだすか人の袖の秋霧
(ふもとをばうぢのかはぎりたちこめてくもいにみゆるあさひやまかな)
麓をば宇治の川霧たちこめて雲居に見ゆる朝日山かな
(よこぐものかぜにわかるるしののめにやまとびこゆるはつかりのこえ)
横雲の風に別かるる東雲に山飛び越ゆる初雁の声
(しらくもをつばさにかけてゆくかりのかどたのおものともしたふなり
)
白雲を翼にかけて行く雁の門田の面の友慕ふなり
(おほえやまかたぶくつきのかげさえてとばたのおもにおつるかりがね)
大江山かたぶく月の影冴えて鳥羽田の面に落つる雁がね
(しもをまつまがきのきくのよひのまにおきまよふいろはやまのはのつき)
霜を待つ籬の菊の宵の間に置きまよふ色は山の端の月
(あきをへてあはれもつゆもふかくさのさととふものはうづらなりけり)
秋を経てあはれも露も深草の里訪ふものは鶉なりけり
(たつたやまあらしやみねによわるらむわたらぬみづもにしきたえけり)
龍田山嵐や嶺に弱るらむ渡らぬ水も錦たえけり
(みちとおしほどもはるかにへだたれりおもひおこせよわれもわすれじ
)
道遠しほども遥かに隔たれり思ひ起こせよ我も忘れじ
(おもふことみにあまるまでなるたきのしばしよどむをなにうらむらむ)
思ふこと身に余るまで鳴滝のしばし淀むをなに恨むらむ
(かみかぜやたまぐしのはをとりかざしうちとのみやにきみをこそいのれ
)
神風や玉串の葉をとりかざし内外の宮に君をこそ祈れ
(いすずがわそらやまだきにあきのこえしたついはねのまつのゆふかぜ)
五十鈴川空やまだきに秋の声下つ岩根の松の夕風
(きみをいのるこころのいろをひととはばただすのみやのあけのたまがき
)
君を祈る心の色を人問はば糺の宮の朱の玉垣
(きょうまつるかみのこころやなびくらむしでになみたつさほのかはかぜ)
今日祭る神の心やなびくらむ紙垂に波立つ佐保の川風
(かすがののおどろのみちのうもれみづすえだにかみのしるしあらはせ)
春日野のおどろの道の埋もれ水すえだに神のしるしあらはせ
(よひよひにきみをあはれとおもひつつひとにはいはでねをのみぞなく)
宵々に君をあはれと思ひつつ人には言はで音をのみぞ泣く
(ことのはのうつろふだにもあるものをいとどしぐれのふりまさるらむ)
言の葉の移ろふだにもあるものをいとど時雨の降りまさるらむ
(ふくかぜにつけてもとはむささがにのかよひしみちはそらにたゆとも)
吹く風につけても訪はむささがにの通ひし道は空に絶ゆとも
(くずのはにあらぬわがみもあきかぜのふくにつけつつうらみつるかな)
葛の葉にあらぬ我が身も秋風の吹くにつけつつうらみつるかな
(しもさやぐのべのくさはにあらねどもなどかひとめのかれまさるらむ)
霜さやぐ野辺の草葉にあらねどもなどか人目のかれまさるらむ
(あさぢおふるのべやかるらむやまがつのかきほのくさはいろもかはらず)
浅茅生ふる野辺や枯るらむ山がつの垣ほの草は色も変はらず
(かすむらむほどをもしらずしぐれつつすぎにしあきのもみぢをぞみる)
霞むらむほどをも知らず時雨つつ過ぎにし秋の紅葉をぞ見る
(いまこむとたのめつつふることのはぞときわにみゆるもみじなりける
)
今来むとたのめつつふる言の葉ぞ常磐に見ゆる紅葉なりける
(はるさめのふりしくころかあをやぎのいとみだれつつひとぞこひしき)
春雨の降りしくころか青柳のいと乱れつつ人ぞ恋ひしき
(あをやぎのいとみだれたるこのごろはひとすぢにしもおもひよられし
)
青柳のいと乱れたるこのごろは一筋にしも思ひよられし
(なむあみだほとけのみてにかくるいとのおわりみだれぬこころともがな
)
南無阿弥陀仏のみ手にかくる糸の終わり乱れぬ心ともがな
(じゃくまくのこけのいわとのしづけきになみだのあめのふらぬひぞなき)
寂寞の苔の岩戸のしづけきに涙の雨の降らぬ日ぞなき
(のりのふねさしてゆくみぞもろもろのかみもほとけもわれをみそなへ)
法の舟さしてゆく身ぞ諸々の神も仏もわれをみそなへ
(われだにもまづごくらくにうまれなばしるもしらぬもみなむかへてむ
)
我だにもまづ極楽に生まれなば知るも知らぬもみな迎へてむ
(わたつうみのそこよりきつるほどもなくこのみながらにみをぞきわむる)
わたつ海の底より来つるほどもなくこの身ながらに身をぞ極むる
(おくやまにひとりうきよはさとりにきつねなきいろをかぜにながめて)
奥山にひとり憂き世はさとりにき常なき色を風に眺めて
(これやこのうきよのほかのはるならむはなのとぼそのあけぼののそら
)
これやこの憂き世のほかの春ならむ花のとぼその曙の空
(むらさきのくもぢにさそふことのねにうきよをはらふみねのまつかぜ
)
紫の雲路に誘ふ琴の音に憂き世をはらふ嶺の松風
(いづくにもわがのりならぬのりやあるとそらふくかぜにとへどこたへぬ)
いづくにも我が法ならぬ法やあると空吹く風に問へど答へぬ
(わしのやまきょうきくのりのみちならでかへらぬやどにゆくひとぞなき
)
鷲の山今日聞く法の道ならでかへらぬ宿に行く人ぞなき
(おしなべてむなしきそらとおもひしにふぢさきぬればむらさきのくも)
おしなべて空しき空と思ひしに藤咲きぬれば紫の雲
(いにしへのしかなくのべのいほりにもこころのつきはくもらざりけむ
)
いにしへの鹿鳴く野辺の庵にも心の月は曇らざりけむ
(あひみてもみねにわかるるしらくものかかるこのよのいとはしきかな
)
逢ひ見ても嶺に分かるる白雲のかかるこの世のいとはしきかな
(あさみどりはなもひとつにかすみつつおぼろにみゆるはるのよのつき
)
浅緑花もひとつに霞つつおぼろに見ゆる春の夜の月
(のべのつゆはいろもなくてやこぼれつるそでよりすぐるおぎのうはかぜ)
野辺の露は色もなくてやこぼれつる袖より過ぐる荻の上風
(いまこむといふことのはもかれゆくによなよなつゆのなににおくらむ)
今来むといふ言の葉もかれゆくに夜な夜な露の何におくらむ