夢野久作 ドン
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | てんぷり | 5870 | A+ | 6.0 | 97.3% | 300.5 | 1813 | 49 | 37 | 2024/10/29 |
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問題文
(たいそうあたたかくなりました。)
たいそうあたたかくなりました。
(ねこがひさしぶりにあたたかくなったのでえんがわにでてみると、)
猫が久し振りにあたたかくなったので縁側に出て見ると、
(えんがわのはちのなかにいるきんぎょがご、ろっぴきちらちらしています。これはしめた、)
縁側の鉢の中にいる金魚が五、六匹チラチラしています。これは占めた、
(どうかしてとってたべてやろうとおもってじっとはちのなかをねらいました。)
どうかして取って食べてやろうと思ってジッと鉢の中を狙いました。
(いぬがこれをみつけて、これはうまいとおもいました。)
犬がこれを見つけて、これはうまいと思いました。
(ふだんからにくらしいとおもうねこがきょうはまったくきがつかずにいる。)
ふだんから憎らしいと思う猫が今日は全く気がつかずにいる。
(こんどこそはひっとらえてひどいめにあわせてやろうと、)
今度こそは引っ捕えてひどい目に合わせて遣ろうと、
(ねこにきのつかぬようにそっとうしろからしのびよりました。)
猫に気のつかぬようにそっとうしろから忍び寄りました。
(にかいのまどからぼっちゃんがこれをみつけて、)
二階の窓から坊ちゃんがこれを見つけて、
(あのにくらしいいぬがまたねこをいじめてやろうとしている。)
あの憎らしい犬が又猫をいじめてやろうとしている。
(きょうこそはかんべんしないぞと、)
今日こそは勘弁しないぞと、
(くうきじゅうにばらだまをこめていぬのおしりのところをじっとねらいました。)
空気銃にバラ玉を込めて犬のお尻の処をジット狙いました。
(そのときおとうさまがこれをみつけて、またぼうやがいたずらをしている。)
その時お父さまがこれを見つけて、又坊やがいたずらをしている。
(よそのいぬにけがをさせてはたいへんだ。よしよしつかまえてこらしてやろうと、)
よその犬に怪我をさせては大変だ。よしよし捕まえて懲(こら)して遣ろうと、
(ぬきあしさしあしうしろからちかよっておいでになりました。)
ぬき足さし足うしろから近寄ってお出でになりました。
(へやのすみでぬいものをしていらっしたおかあさまはおとうさまのようすにきがついて、)
室(へや)の隅で縫い物をしていらっしたお母様はお父様の様子に気がついて、
(どうしたのかとおもってまどのそとをみると、ねこはきんぎょをねらい、)
どうしたのかと思って窓の外を見ると、猫は金魚をねらい、
(いぬはねこのすぐうしろにちかより、ぼっちゃんはいぬのおしりをねらってひきがねをひこうとし、)
犬は猫のすぐ後に近寄り、坊ちゃんは犬のお尻を狙って引き金を引こうとし、
(おとうさまはぼっちゃんのえりをつかまえようとしておられます。)
お父様は坊ちゃんの襟を捕まえようとしておられます。
(うっかりするときんぎょもねこもいぬもぼっちゃんもみんなひどいめにあいそうです。)
うっかりすると金魚も猫も犬も坊ちゃんもみんなひどい目に合いそうです。
(おかあさまはどうしてよいやらわからなくなりました。)
お母様はどうしてよいやらわからなくなりました。
(そのときにすぐきんじょのほうだいでみみもさけるくらいおおきなどんがなりました。)
その時にすぐ近所の砲台で耳も裂ける位大きなドンが鳴りました。
(きんぎょはおどろいていしのしたへにげこみました。)
金魚は驚いて石の下へ逃げ込みました。
(ねこはがっかりしてうしろをふりかえると、)
猫はガッカリしてうしろをふり返ると、
(いぬがすぐあしもとにいたのでおどろいていえのなかへにげこみました。)
犬がすぐ足もとにいたので驚いて家の中へ逃げ込みました。
(いぬはしまったとおもってえんがわにとびあがると、)
犬はしまったと思って縁側に飛び上ると、
(くうきじゅうのだんがんがしっぽのさきをかすったのでおどろいてにげていきました。)
空気銃の弾丸が尻尾のさきをカスッたので驚いて逃げて行きました。
(ぼっちゃんはがっかりしてうしろをみますと、)
坊ちゃんはガッカリしてうしろを見ますと、
(おとうさまがこわいかおをしてたっておられたので、)
お父様が怖い顔をして立っておられたので、
(「あれ。かんにんしてちょうだい」)
「あれ。堪忍して頂戴」
(というなりにくうきじゅうをなげだしてにげていきました。)
と言うなりに空気銃を投げ出して逃げて行きました。
(「あははははは」)
「アハハハハハ」
(とおとうさまはおわらいになりました。)
とお父様はお笑いになりました。
(おかあさまはほっとしました。)
お母様はホッとしました。
(それからまもなくきんぎょはえをなげてもらいました。)
それから間もなく金魚は餌(え)を投げて貰いました。
(ねこもいぬもごはんをいただきました。)
猫も犬も御飯をいただきました。
(そのときおとうさまもおかあさまもぼっちゃんもたのしいおひるのごはんをたべていました。)
その時お父様もお母様も坊ちゃんも楽しいお昼の御飯を食べていました。