パンドラの牢獄
歌詞・作曲・ストーリー/奏音69
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歌詞(問題文)
(れきしをかえるのはいつも、だれかがいったひとつのことば。)
歴史を変えるのはいつも、誰かが言ったひとつの【言葉】。
(せかいがよるになるはじまりは、このだーけすとーりー。)
世界が夜になるはじまりは、この最悪の物語[ダーケストーリー]。
(さうろはとほうにくれた。)
少年[サウロ]は途方に暮れた。
(きょうもあいつらにいじめられてしまったのだ。)
今日もあいつらに虐められてしまったのだ。
(「はやくかえりたい・・・・・・」)
「早く帰りたい……」
(さうろはなきながら、だれもいないろうごくをみがきつづけた__。)
サウロは泣きながら、誰もいない牢獄を磨き続けた__。
(かれいなこのだるかに、ぼくのいばしょはどこにもない。)
華麗なこの街[ダルカ]に、僕の居場所はどこにもない。
(ことばをかわすともだちもいない。)
【言葉】を交わす友達もいない。
(ひとりにげだそうにも、ぼくにはそんなゆうきもない。)
ひとり逃げ出そうにも、僕にはそんな勇気もない。
(おねがい、だれかぼくをみつけてくれよ。)
お願い、誰か僕を見つけてくれよ。
(みしらぬちかろう・・・・・・よびごえがこだまする。)
見知らぬ地下牢……呼び声がこだまする。
(「そこにいるの・・・・・・?」)
「そこにいるの……?」
(だれなのかしりたい。そのすがたをみたい。)
誰なのか知りたい。その姿を見たい。
(みせられたさうろは、もうひきかえせない。)
魅せられたサウロは、もう引き返せない。
(うるわしくすんだあおいめ。けがれをしらぬくろいかみ。)
麗しく澄んだ青い眼。穢れを知らぬ黎[くろ]い髪。
(てんしがぼくにほほえみかける。)
天使が僕に微笑みかける。
(「わたしが、ねがいをかなえてあげる」)
「私が、願いを叶えてあげる」
(かれにははじめてのこと。だれかとことばをかわすのは。)
彼には初めてのこと。誰かと【言葉】を交わすのは。
(せかいをぬりつぶすはじまりは、ちいさなこいでした。)
世界を塗り潰すはじまりは、小さな恋でした。
(そのてんし、いりすはひとりぼっちだった。)
その天使、イリスはひとりぼっちだった。
(なぜこんなちかろうにいるのか、それはどうだっていい。)
なぜこんな地下牢にいるのか、それはどうだっていい。
(こどくなさうろにとって、いりすはゆいいつのりかいしゃなのだ。)
孤独なサウロにとって、イリスは唯一の理解者なのだ。
(そしてかれは、よごとそのろうごくをおとずれる。)
そして彼は、夜ごとその牢獄を訪れる。
(ぼくのどんなねがいも、ふしぎとかなえてくれる。)
僕のどんな願いも、不思議と叶えてくれる。
(かのじょは、きっとほんとうにてんしなんだろう)
彼女は、きっと本当に天使なんだろう
(なのに、あいつら。ぼくにあくまがついてるとけりつけた。)
なのに、あいつら。僕に悪魔が憑いてると蹴りつけた。
(「ちがう・・・・・・!」)
「違う……!」
(ぼくにとってむしろことばをききもせず、)
僕にとってむしろ【言葉】を聞きもせず、
(あざわらうおまえらがあくまにみえる・・・・・・!)
嘲笑うお前らが悪魔に見える……!
(きずだらけのそのこころ。なみだにぬれるそのりょうてが、)
傷だらけのその心。涙に濡れるその両手が、
(きんじられたろうごくをあけてしまう。)
禁じられた牢獄を開けてしまう。
(「ここから、ふたりでにげだそうよ」)
「ここから、ふたりで逃げ出そうよ」
(かれにははじめてのこと。あいでなにもみえなくなるのは。)
彼には初めてのこと。愛で何も見えなくなるのは。
(せかいはぼくにとってのろうごくだ。こわれてしまえばいい。)
世界は僕にとっての牢獄だ。壊れてしまえばいい。
(すがたのちがうものたちが、あいしあうのはむずかしい。)
姿形[すがた]の違う者たちが、恋愛[あい]し合うのは難しい。
(ごぜん0じ。やくそくのじかんに、いりすはあらわれなかった。)
午前0時。約束の時間に、イリスは現れなかった。
(いへんにきづいたのは、そのとき。)
異変に気付いたのは、その時。
(だるかからさんたんたるこえがきこえてくるのだ。)
街[ダルカ]から惨憺たる声が聞こえてくるのだ。
(くらやみにふるえるこころをおして、さうろはまちのほうがくへはしった。)
暗闇に震える心を押して、サウロは街の方角へ走った。
(ほんとうはわかっている。じぶんがいったいなにをときはなってしまったのか。)
本当は分かっている。自分が一体何を解き放ってしまったのか。
(それでもさうろは、あのてんしを__。)
それでもサウロは、あの天使を__。
(ことばをしんじていたかった。)
【言葉】を信じていたかった。
(やっとあえた。ねぇ、かおをみせて。てんしのようにほほえんで。)
やっと会えた。ねぇ、顔を見せて。天使のように微笑んで。
(「・・・・・・いりす?」)
「……イリス?」
(いや・・・・・・そのすがた、もうかのじょではない。)
いや……その姿、もう彼女ではない。
(あぁまさか。つきがてらす、てんしのすがお。)
あぁまさか。月が照らす、天使の素顔。
(きみは__)
君は__
(「ヴぁんひーる・・・・・・!」)
「夜の悪魔[ヴァンヒール]……!」
(それは、おぞましいあかいめ。あぁ、ちにうえたしろいきば。)
それは、悍ましい紅い眼。あぁ、血に飢えた皓[しろ]い牙。
(あくまがぼくにほほえみかける。)
悪魔が僕に微笑みかける。
(きみだけをあいしてたのに、いりす・・・・・・!)
君だけを愛してたのに、イリス……!
(・・・・・・ほんとうにあいしているわ、さうろ。だからせかいをこわしてあげるわ。)
……本当に愛しているわ、サウロ。だから世界を壊してあげるわ。
(ただ、あなたにはわたしのあいのかたちが、)
ただ、あなたには私の愛の手段[かたち]が、
(”あくい”にみえるだけ。)
”悪意”に映[みえ]るだけ。
(あくまのおんながあいをかわすしゅだんは、ただひとつ。)
悪魔の女が愛を交配[かわ]す手段は、ただひとつ。
(こころからあいしたおとこを、くいころすことである。)
心から愛した男を、喰い殺す事である。
(ろうごくをあけてはなたれたのは、まさしく”あい”でした。)
牢獄を開けて放たれたのは、まさしく”悪意[あい]”でした。
(いちやにして、しゅとだるかはおちた。)
一夜にして、首都ダルカは堕ちた。
(たったひとりのあくまのことばによって。)
たったひとりの悪魔の【言葉】によって。
(かのおうこくみんすとらは、これから50ねんあまりつづくあくまのしはい__)
かの王国ミンストラは、これから50年余り続く悪魔の支配__
(”くろいじだい”をむかえるのである。)
”黒い時代”を迎えるのである。
(やがていりすは、ひとりのおとこのこをうむ。)
やがてイリスは、ひとりの男の子を産む。
(あいするわがこに”あくい”というひにくをこめて、)
愛する我が子に”悪意”という皮肉を込めて、
(”まりす”となづけた。)
”マリス[Malice]”と名付けた。