元気です

(だれもこっちをむいてはくれません)

誰もこっちを向いてはくれません

(いちねんめのはるたちつくすわたし)

一年目の春立ち尽くす私

(みちゆくひとびとはひびをおいかけ)

道行く人々は日々を追いかけ

(きょういちにちでもたしかであれとねがう)

今日一日でも確かであれと願う

(わずかにのぞいたあめあがりのそらをみて)

わずかにのぞいた雨上がりの空を見て

(えがおをつくってどうですかとといかける)

笑顔を作ってどうですかと問いかける

(いろんなことがありあいさえみうしなう)

色んなことがあり愛さえ見失う

(それでもだれかとふれあえば)

それでも誰かと触れ合えば

(そうだげんきですよとこたえよう)

そうだ元気ですよと答えよう

(かぜよはこべよとおいひとへのこのたより)

風よ運べよ遠い人へのこの便り

(にねんめのなつなみだともらいみず)

二年目の夏涙ともらい水

(しあわせのいろはひにやけたはだのいろ)

幸福の色は陽に焼けた肌の色

(くちびるにうかんだことばはしおのあじ)

唇に浮かんだ言葉は潮の味

(であいやわかれになれてはきたけれど)

出会いや別れに慣れてはきたけれど

(ひとりのおもさがだれにもつたわらず)

一人の重さが誰にも伝わらず

(どこかへたびだてばふりかえりはしない)

どこかへ旅立てばふり返りはしない

(それでもこのまちにこころをしずめたい)

それでもこの町に心をしずめたい

(そうだげんきですよとこたえたい)

そうだ元気ですよと答えたい

(ゆうぐれどきにはおもいがかけめぐり)

夕暮れ時には想いがかけめぐり

(さんどめのあきになにかがゆれている)

三度目の秋に何かが揺れている

(じかんをとめてもすぎゆくものたちは)

時間をとめても過ぎ行くものたちは

(はるかなうなばらにただよいゆめとちる)

はるかな海原にただよい夢と散る

(かすかにきこえたやさしさのうたごえは)

かすかに聞こえたやさしさの歌声は

(ともやかぞくのてまねきほどなつかしく)

友や家族の手招きほどなつかしく

(このはにうずもれてきせつにみをまかす)

木の葉にうずもれて季節に身を任す

(それでもわたしはわたしであるために)

それでも私は私であるために

(そうだげんきですよとこたえたい)

そうだ元気ですよと答えたい

(じゆうでありたいこころのままがいい)

自由でありたい心のままがいい

(よねんめのふゆさむさをこばむまい)

四年目の冬寒さを拒むまい

(どれだけあるいたかかんがえるよりも)

どれだけ歩いたか考えるよりも

(しるべなきあしたにむかってすすみたい)

しるべ無き明日に向かって進みたい

(あなたのじんせいがいくつものたびをへて)

あなたの人生がいくつもの旅を経て

(かえるひくればわらってむかえたい)

帰る日来れば笑って迎えたい

(わたしもいままたふなでのときです)

私も今また船出の時です

(ことばをえらんでわたすより)

言葉を選んで渡すより

(そうだげんきですよとこたえよう)

そうだ元気ですよと答えよう