生と死を別つ境界の古井戸
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歌詞(問題文)
(「とれーくはいと」)
『トレークハイト』
(「おや、きみもおちてしまったのかい?)
「おや、君も落ちてしまったのかい?
(しょたいめんのはずなのに、このきみょうなしんきんかんはいったいどこからやってくるんだろうね・・・。)
初対面の筈なのに、この奇妙な親近感は一体何処からやってくるんだろうね…。
(まぁいい。きみはなぜ、せいとしをわかつこのきょうかいをこえてしまったのか。)
まぁいい。君は何故、生と死を別つこの境界を越えてしまったのか。
(さぁ、うたってごらん・・・」)
さぁ、唄ってごらん…」
(ひがのぼりあああせまみれすいじせんたくすべてわたしのしごと)
陽が昇り 嗚呼汗塗れ 炊事洗濯全て私の仕事
(ああいじわるなははのくちぐせ)
嗚呼 意地悪な 寡婦の口癖
(「おいだされたいのかい?このぐずっ!」)
「追い出されたいのかい?この愚図っ!」
(なんていうけれど)
なんて言うけれど――
(わたしはきょうもふぁてぃがんばっているよ!)
私は今日もお父さん頑張っているよ!
(ひがおちてああごみまみれすいじせんたくすべておしつけてきた)
陽が落ちて 嗚呼塵まみれ 炊事洗濯全て押し付けてきた
(ああしょうわるないもうとのくちぐせ)
嗚呼 性悪な妹の口癖
(「いいつけられたいのかい?このぐずっ!」)
「言いつけられたいのかい?この愚図っ!」
(なんていうけれど)
なんて言うけれど――
(わたしはあすもふぁてぃがんばってみるよ!)
私は明日もお父さん頑張ってみるよ!
(「ちちはふなのりだったのに、なぜかいどにおちてしんだらしい。)
「父は船乗りだったのに、何故か井戸に落ちて死んだらしい。
(だからわたしは、あまりいどがすきではない。)
だから私は、あまり井戸が好きではない。
(それでもははは、ようしゃなどしないのだ・・・・・・。」)
それでも継母は、容赦などしないのだ……。」
(いどのそばで、いとをつむぐ、ゆびさきはもう・・・・・・)
井戸の傍で、糸を紡ぐ、指先はもう……
(ああ、すりきれてあかいちをだして、あかくいとまきをそめあげたから)
嗚呼、擦り切れて緋い血を出して、紅く糸巻きを染め上げたから
(あらいながそうといどをのぞきこんだら、みずにこがれるうおのようにてからとびだして、)
洗い流そうと井戸を覗き込んだら、水に焦がれる魚のように手から飛び出して
(そのいとまきは、いどのそこにしずんだ。)
その糸巻きは、井戸の底に沈んだ。
(ひれんになげくろーれらい、まさにそんないきおいで)
悲恋に嘆く乙女、正にそんな勢いで――
(なきながらかえったわたしにようしゃなく、はははいいはなった)
泣きながら帰った私に容赦なく、継母は言い放った――
(「うぇぇぇん・・・ただいまぁ・・・」)
「うぇぇぇん…ただいまぁ…」
(「このぐずっ!もぐってでもとってきなっ!じゃなきゃばんめしはぬきさっ!」)
「この愚図っ!潜ってでも取ってきなっ!じゃなきゃ晩飯はぬきさっ!」
(みちいそぐせなかに、よいやみがせまっていた・・・・・・)
道急ぐ背中に、宵闇が迫っていた……
(「どうしよっ、ふぁてぃ!さいあく、そっちにいきます!せいっ!」)
「どうしよっ、お父さん!最悪、そっちに行きます!セイッ!」
(「なるほど、きみもなかなかすこやかにひさんなこだねぇ。)
「成る程、君も中々健やかに悲惨な子だねぇ。
(ふくしゅうにまよいがあるのなら、じかんをあげよう。)
復讐に迷いがあるのなら、時間を上げよう。
(このきょうかいのふるいどのなかで、もうしばし、うらみについてかんがえてみるといい」)
この境界の古井戸の中で、もうしばし、憾みについて考えてみるといい」
(めざめればきれいなそうげん。いくせんのはながさきほこる。)
目覚めれば綺麗な草原。幾千の花が咲き誇る。
(いどへいたるいどのなかで、いどをだいたいどにあって、)
異土へ至る井戸の中で、衝動を抱いた男に遇って、
(かれのしきでうらみをうたった。わたしは)
彼の指揮で憾みを唄った。私は――
(しんじゃったの?てんごくなの?きのせいなの?わからないわ。)
死んじゃったの?天国なの?気のせいなの?分からないわ。
(だいじょうぶ!でもわたしはがんばるよ!ふぁてぃ、いつだって!)
大丈夫!でも私は頑張るよ!お父さん、何時だって!
(「こまっちゃった。あたしを、ひっぱりだしてぇ。ひっぱりだしてぇ。)
「こまっちゃった。あたしを、ひっぱりだしてぇ。ひっぱりだしてぇ。
(もう、とっくのむかしにやけてるんだよぅ」)
もう、とっくのむかしにやけてるんだよぅ」
(「まじでぇ?」)
「マジでぇ?」
(「こまっちゃった。ぼくを、ゆすぶってぇ。ゆすぶってぇ。)
「こまっちゃった。ぼくを、ゆすぶってぇ。ゆすぶってぇ。
(もう、みんなじゅくしきってるんだよぅ」)
もう、みんなじゅくしきってるんだよぅ」
(「わお!」)
「わお!」
(しゃべるぱんのねがいをきいてしゃべるでぜんぶかきだしてあげたわ)
喋るパンの願いを聞いて シャベルで全部掻き出してあげたわ
(いえい)
イエイ!
(そして)
そして――
(ひとつのこらずみがおちるまでりんごのきをゆらし)
ひとつ残らず実が落ちるまで林檎の木を揺らし
(そのご)
その後――
(ちらばるりんごをつみあげるだけのかんたんなおしごと)
散らばる林檎を積み上げるだけの簡単なお仕事
(ふぅー!)
フゥー!
(ばーすしゅびどぅびどぅびどぅー)
バース しゅびどぅびどぅびどぅー
(ぎたーれくらヴぃーあ!)
ギターレ クラヴィーア!
(だんけしぇーん!!)
ダンケシェーン!!
(「げんきのいいこだね・・・」)
「元気のいい娘だね…」
(「きゃー!」)
「キャー!」
(「ほっほっほっほーっほっほっほ!)
「ほっほっほっほーっほっほっほ!
(こわがらなくてもいいのよ?」)
怖がらなくてもいいのよ?」
(「あっ!あなたはひょっとしてあのおとぎばなしによくでてくる、ほれおばさん!?」)
「あっ!貴女はひょっとしてあのおとぎ話によく出てくる、ホレおばさん!?」
(「まぁ、くちのわるいこね。おばさんじゃなくて、おねえさんとおよびなさい」)
「まぁ、口の悪い娘ね。おばさんじゃなくて、お姉さんとお呼びなさい」
(「かたちあるものはいつかかならずくずれ、いのちあるものはいずれしをむかえるのさ。)
「形あるモノはいつか必ず崩れ、命あるモノはいずれ死を迎えるのさ。
(これまで、よくがんばったね。おまえはつよいこだね。)
これまで、よく頑張ったね。お前は強い娘だね。
(でもこれからは、わたしのもとではたらくなら、きっとしあわせになれるわ!」)
でもこれからは、私の元で働くなら、きっと幸せになれるわ!」
(「うんっ、わたしがんばるっ!」)
「うんっ、私頑張るっ!」
(ああきれいにまいちるはねぶとん)
嗚呼 綺麗に舞い散る羽毛ぶとん
(ふるうのがあらたなわたしのしごと)
振るうのが新たな私の仕事
(ああちじょうにまいおちるゆきのはな)
嗚呼 地上に舞い落ちる雪の花
(ふるうのはあらたかなわたしのしわざ)
降るうのは灼かな私の仕業
(「きみが、もしふゆにあいたくなったら、わたしにいってねぇん」)
「君が、もし冬に逢いたくなったら、私に言ってねぇん」
(「あいたっ!」)
「あいたっ!」
(「これ!ちょうしにのるんじゃありませんっ!)
「これ!調子に乗るんじゃありませんっ!
(けれどまぁ、あなたもきょうまでかげひなたなくよくはたらいてくれたわ。)
けれどまぁ、貴女も今日まで陰日向なくよく働いてくれたわ。
(ききょうのねがい、とくべつにかなえてあげましょう。ほれ!」)
帰郷の願い、特別にかなえてあげましょう。ホレ!」
(おおきなもんがひらくときんのあめがふってきて)
大きな門が開くと 黄金の雨が降ってきて
(あっというまにぜんしんおおった・・・・・・)
あっという間に全身覆った……
(「それはきみのはたらきにたいするほうしゅうだ。)
「それは君の働きに対する報酬だ。
(まぁ、えんりょなくもらっておきたまえ。)
まぁ、遠慮なく貰っておき給え。
(もっとも、きみのきんむたいどがふまじめだったばあい、)
もっとも、君の勤務態度が不真面目だった場合、
(べつのものがふってきていたのかもしれないがね・・・」)
別のものが降ってきていたのかもしれないがね…」
(「きっけりきー!うちの、きんのおじょうさまのおかえりだよぅ」)
「キッケリキー!うちの、黄金のお嬢様のお帰りだよぅ」
(「ただいまぁーっ!」)
「ただいまぁーっ!」
(ひがかわりああきんまみれすいじせんたくすべてやらなくていい!)
日が替わり 嗚呼黄金塗れ 炊事洗濯全てやらなくて良い!
(ああていのうなははのいれぢえ)
嗚呼 低能な継母の入れ知恵
(「あなたももらっておいでちーちゃん!」)
「貴女も貰っておいでちーちゃん!」
(「うん、あたいがんばる・・・」)
「うん、あたいがんばる…」
(なんていうけれど)
なんて言うけれど――
(やれるものならどうぞがんばっておいで!)
やれるものならどうぞ頑張っておいで!
(「さぁ、ふくしゅうげきのはじまりだ!」)
「さぁ、復讐劇の始まりだ!」
(「きっけりきー!うちの、ばっちぃおじょうさまのおかえりだよぅ」)
「キッケリキー!うちの、バッチィお嬢様のお帰りだよぅ」
(ひがすぎてああちゃんまみれ)
日が過ぎて 嗚呼瀝青塗れ
(ほらたいだなたいどがあなたのつみよじごうじとくだわねぇ)
ほら 怠惰な態度が貴女の罪よ自業自得だわねぇ――
(これからはあなたもひっしにがんばってみなよ!)
これからは貴女も必死に頑張ってみなよ!
(「やだ!とれない!とれないよ!やだやだやだとって!とってよむってぃ!」)
「やだ!取れない!取れないよ!やだやだやだ取って!取ってよお母さん!」
(「ああ、かわいそうに・・・」)
「ああ、可哀想に…」
(「あら、いいじゃない。おにあいよ、ちびちゃん!あははははっ!」)
「あら、いいじゃない。お似合いよ、チビちゃん!あははははっ!」
(「やだーっ!!」)
「やだーっ!!」
(「あははははっ・・・」)
「あははははっ…」
(「こんかいはずいぶんとかわいいふくしゅうだったねぇ」)
「今回は随分とかわいい復讐だったねぇ」
(「あら、いっしょうちゃんまみれなんておんなのこにとってはしぬよりつらいばつだわ!)
「アラ、一生瀝青塗レナンテ女ノ子ニトッテハ死ヌヨリ辛イ罰ダワ!
(あっはははは!」)
アッハハハハ!」