幽霊船の秘密3 海野十三

投稿者chiroプレイ回数818
難易度(5.0) 4131打 長文 長文モード可タグ長文 小説 タイピング文庫 海野十三
SOS信号受けて貨物船が向かった先には船がなく…
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 はーちゃん 6540 S+ 6.6 98.5% 623.0 4136 61 61 2021/11/22

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問題文

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((どうもへんだ!)さえきせんちょうは、こくびをかしげた。 「おいきょくちょう、こんどは、)

(どうも変だ!)佐伯船長は、小首をかしげた。 「おい局長、こんどは、

(しんごうのほうこうをはかってみなかったかね」 「はあ、はかりました。ほうこうはだいたいおなじに)

信号の方向を測ってみなかったかね」 「はあ、測りました。方向は大体同じに

(でましたが、まえにはかったときほどめいりょうではありません。そのてんからいっても、)

出ましたが、前に測ったときほど明瞭ではありません。その点からいっても、

(たしかにほんせんはそうなんちてんにちかづいているにちがいないのですがーー」 「そうか)

たしかに本船は遭難地点に近づいているにちがいないのですが――」 「そうか

(じゃきっとそのへんになにかあるにちがいない。もっとねんいりにさがしてみよう」)

じゃきっとそのへんに何かあるにちがいない。もっと念入りに探してみよう」

(そういってせんちょうは、かんぱんではたらいているせんいんたちに、めいれいをだした。)

そういって船長は、甲板で働いている船員たちに、命令を出した。

(「おい、みはりいんをあと5めいふやして、かいめんをよくしらべてみろ」 わじままるは、)

「おい、見張員をあと五名ふやして、海面をよくしらべてみろ」  和島丸は、

(そくりょくをおとした。そのかわりへさきをぐるぐるまわしながら、そのへんいったいのかいめんを)

速力をおとした。そのかわり舳をぐるぐるまわしながら、その辺一帶の海面を

(ねんいりにたんしょうとうでそうしゃした。 だが、かんじんのそうなんせんのすがたはどこにもみえない。)

念入りに探照灯で掃射した。  だが、肝腎の遭難船の姿はどこにも見えない。

(そうなんせんのはへんか、あるいはあぶらとか、つんでいたにもつなどがひょうりゅうしていないかと)

遭難船の破片か、あるいは油とか、積んでいた荷物などが漂流していないかと

(きをつけたが、ふしぎにも、それすらめにはいらないのであった。)

気をつけたが、ふしぎにも、それすら眼に入らないのであった。

(さえきせんちょうをはじめ、せんいんたちが、すっかりいらだちのぜっちょうにたっしたときの)

佐伯船長をはじめ、船員たちが、すっかりいらだちの絶頂に達したときの

(ことであった。へさきから、くらいかいめんをじっとにらんでいたせんいんのひとりが、)

ことであった。舳から、暗い海面をじっと睨んでいた船員の一人が、

(とつぜんおおごえをあげた。 「おーい、あれをみろ。へんなものがういているぞ」)

とつぜん大声をあげた。 「おーい、あれを見ろ。へんなものが浮いているぞ」

(たんしょうとうは、さっそくそのほうへむけられた。 なるほどへんなものが、)

探照灯は、さっそくその方へむけられた。  なるほどへんなものが、

(なみにゆられながら、ぷかぷかういている。 もくへんをいげたにくみあわせた)

波にゆられながら、ぷかぷか浮いている。  木片を井桁にくみあわせた

(いかだのようなものであった。そのうえになにがはいっているのかはこがのっている。 )

筏のようなものであった。そのうえになにが入っているのか函がのっている。

(そのときせんいんは、へさきにかけつけていた。 「おい、ぼーとをおろして、)

そのとき船員は、舳にかけつけていた。 「おい、ボートをおろして、

(あれをひろってこい」 まちかまえていたれんちゅうは、さっそくぼーとを、どんと)

あれを拾ってこい」  待ちかまえていた連中は、早速ボートを、どんと

(かいじょうにおろした。 ぼーとはやのように、あやしいひょうりゅうぶつのほうへちかづいた。)

海上に下ろした。  ボートは矢のように、怪しい漂流物の方へ近づいた。

など

(そしてくもなくそのうかぶいかだを、ろっぷのさきにむすびつけた。 そしてぼーとは)

そして苦もなくその浮かぶ筏を、ロップの先に結びつけた。  そしてボートは

(ふたたびほんせんへかえってきた。 せんいんはまたちからをあわせ、ぼーとをひきあげるやら)

再び本船へかえってきた。  船員はまた力をあわせ、ボートをひきあげるやら

(そのあやしいいかだをひっぱりあげるやら、ひとしきりいさましいかけごえにつれ、)

その怪しい筏をひっぱりあげるやら、ひとしきり勇しい懸けごえにつれ、

(せんじょうはせんそうのようなありさまだった。はこをせおったいかだは、せんちょうのまえにおかれた。)

船上は戦争のような有様だった。函を背負った筏は、船長の前に置かれた。

(「これはいったいなんだろう。いいからこのはこをあけてみろ!」 せんちょうは、)

「これは一体なんだろう。いいからこの函を開けてみろ!」  船長は、

(けつぜんとめいれいをだした。はこはみかんばこぐらいのおおきさで、そのうえにちいさいはしらが)

決然と命令をだした。函は蜜柑函ぐらいの大きさで、その上に小さい柱が

(でていた。ふたをとってみると、いがいにもなかからこがたのむでんきかいがでてきた。)

出ていた。蓋をとってみると、意外にも中から小型の無電器械がでてきた。

(「おや、むでんきかいじゃないか」 とせんいんはつぶやいたが、はこのなかにはさらに)

「おや、無電器械じゃないか」  と船員は呟いたが、函の中にはさらに

(おどろくべきものがはいっていた。せんちょうはじめせんいんたちがあっとさけんで)

おどろくべきものが入っていた。船長はじめ船員たちが呀っと叫んで

(まっさおになるようなものがはいっていたのだ。いったいそれはなんであろうか!)

真蒼になるようなものが入っていたのだ。一体それはなんであろうか!

(くろりぼんのはなわ そのおどろくべきしなものは、あぶらがみにつつまれてはこのすみに)

【黒リボンの花輪】  そのおどろくべき品物は、油紙につつまれて函の隅に

(あったので、はじめはきがつかなかったのだ。 さえきせんちょうがつとてをのばして)

あったので、はじめは気がつかなかったのだ。  佐伯船長がつと手をのばして

(あぶらがみにつつまれたものをもちあげたとき、まっていたようにあぶらがみはばらりととけ)

油紙につつまれたものをもちあげたとき、待っていたように油紙はばらりととけ

(そのなかからぽとんとしたにおちたものはいっこのちいさなはなわであった。)

その中からぽとんと下におちたものは一個の小さな花輪であった。

(そのはなわは、ちかごろりゅうこうの、かんそうしたはなをあつめてつくってあるもので、)

その花輪は、ちかごろ流行の、乾燥した花をあつめてつくってあるもので、

(いろはたしょうあせていたが、それでもけっこううつくしいのでめをたのしませたし、)

色は多少あせていたが、それでも結構うつくしいので眼を楽しませたし、

(そのうえいつまでおいても、けっしてしぼまないから、べんりなこともあった。)

そのうえいつまでおいても、けっして萎まないから、便利なこともあった。

(「ああ、はなわだ!」 と、せんいんたちは、そのほうにいっせいにめをむけたが、)

「ああ、花輪だ!」  と、船員たちは、その方に一せいに眼をむけたが、

(とたんにだれのかおも、さっとあおくなった。 「なんだ、そのはなわにはくろいりぼんが)

とたんに誰の顔も、さっと青くなった。 「なんだ、その花輪には黒いリボンが

(むすんであるじゃないか。えんぎでもない!」 くろいりぼんは、おそうしきの)

むすんであるじゃないか。縁起でもない!」  黒いリボンは、お葬式の

(ときにだけつかうふきつなものだった。そのふきつなくろりぼんがはなわにむすびつけて)

ときにだけつかう不吉なものだった。その不吉な黒リボンが花輪にむすびつけて

(あるのだから、さえきせんちょういかいちどうがいやなかおをしたのもむりではない。)

あるのだから、佐伯船長以下一同がいやな顔をしたのも無理ではない。

(「ほう、まだなにかかいたものがつけてある」 さえきせんちょうは、はこのそこに、)

「ほう、まだなにか書いたものがつけてある」  佐伯船長は、函の底に、

(いちまいのかーどがおちているのをつまみあげた。 みると、そとにはみょうなじたいの)

一枚のカードがおちているのをつまみあげた。  見ると、そとには妙な字体の

(えいごでもって、 「このはなわを、やがてかいていにえいえんのねむりにつかんとする)

英語でもって、 「コノ花輪ヲ、ヤガテ海底ニ永遠ノ眠リニツカントスル

(きせんのりくみのいちどうにていす」 とかいてある。なんというひどいもんくだろう。)

貴船乗組ノ一同ニ呈ス」  と書いてある。なんというひどい文句だろう。

(これをよむと、おまえのふねにのっているものは、みんなかいていにしずんでしまうぞという)

これを読むと、お前の船にのっている者は、みんな海底に沈んでしまうぞという

(いみにとれる。 「け、けしからん」)

意味にとれる。 「け、けしからん」

(みていたせんいんたちは、こぶしをかためて、おこりだした。 だが、さすがに)

見ていた船員たちは、拳をかためて、怒りだした。  だが、さすがに

(さえきせんちょうは、おこるよりもまえに、わじままるのきけんをかんづいた。 「おい、みんな。)

佐伯船長は、怒るよりも前に、和島丸の危険を感づいた。 「おい、みんな。

(これはそうなんのまえぶれにきまった。おまえたちは、すぐぶしょにつけ。おいじむちょうどらを)

これは遭難の前触れに決った。お前たちは、すぐ部署につけ。おい事務長銅羅を

(ならして、そういんはいちにつけとでんたつしろ」 せんちょうのこえは、かんばしっていた。)

ならして、総員配置につけと伝達しろ」  船長のこえは、疳ばしっていた。

(さあたいへんである。せんちょうのことばがほんとうだとすると、もうすぐなにごとか)

さあたいへんである。船長の言葉が本当だとすると、もうすぐなにごとか

(さいなんがこのわじままるのうえにくるらしい。おりもおり、このまっくらなよなかだと)

災難がこの和島丸のうえにくるらしい。折も折、このまっくらな夜中だと

(いうのに、なんということだろう。 「さあ、かんぱんへかけあがれ」)

いうのに、なんということだろう。 「さあ、甲板へかけあがれ」

(「おい、こっちはきかんしつへいそぐんだ」 せんいんたちは、きときのあいだを)

「おい、こっちは機関室へいそぐんだ」  船員たちは、樹と樹の間を

(とびまわるさるのぐんのようにすばしこくせんないをかけまわる。 「たんしょうとうやむろのそとに)

とびまわる猿の群のようにすばしこく船内をかけまわる。 「探照灯や室の外に

(もれるあかりをけせ。もくひょうとなるといけない」 せんちょうは、つづいてだい2の)

もれる明かりを消せ。目標となるといけない」  船長は、つづいて第二の

(ごうれいをかけた。 たんしょうとうはけされた。まどは、くろいぬのでふさがれた。)

号令をかけた。  探照灯は消された。窓は、黒い布でふさがれた。

(たちどころにとうかかんせいができあがった。やれやれとおもったおりしも、ふねのそこに)

たちどころに灯火管制ができあがった。やれやれと思った折しも、船の底に

(あたって、ごとんと、ぶきみなものおとがして、せんたいははげしくゆれた。)

あたって、ごとんと、ぶきみな物音がして、船体ははげしく揺れた。

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