古事記上巻・速須佐之男命1

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古事記上巻・速須佐之男命の読み下し文
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1 奈良の子 3408 D 3.6 94.6% 353.5 1277 72 21 2024/11/20

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(かれ、ここにはやすさのをのみこといひしく、しからばあまてらすおほみかみにまをしてまからむといひて、)

故、ここに速須佐之男命言ひしく、然らば天照大御神に謂して罷らむといひて、

(すなはちあめにまいのぼるとき、やまかはことごとにとよみ、くにつちみなゆりき。)

すなはち天に参上る時、山川悉に動み、国土皆震りき。

(ここにあまてらすおほみかみききおどろきてのたりたまひしく、)

ここに天照大御神聞き驚きて詔りたまひしく、

(あがなせのみことののぼりくるゆえは、かならずよきこころならじ。)

我が汝弟の命の上り来る由は、必ず善き心ならじ。

(あがくにをうばはむとおもふにこそあれとのりたまひて、)

我が国を奪はむと欲ふにこそあれとのたまひて、

(すなはちみかみをほどきて、みみづらにまきて、すなはちひだりみぎのみみづらにも、)

すなはち御髪を解きて、御角髪に纏きて、すなはち左右の御角髪にも、

(またひだりみぎのみてにもおのおのやさかのまがたまのいつほのみすまるのたまをまきもちて、)

また左右の御手にも各八尺の勾璁の五百箇の御統の珠を纏き持ちて、

(そびらにはちのりのゆぎをおひ、ひらにはいほのりのゆぎをつけ、)

背には千入の靫を負ひ、ひらには五百入の靫を附け、

(またいつのたかともをとりおばして、ゆはらふりたてて、)

また稜威の竹鞆を取り佩はして、弓腹振り立てて、

(かたにははむかももにふみなづみ、あはゆきなすくえはららかして、)

堅庭は向股に踏みなづみ、沫雪如す蹶散かして、

(いつのをたけびふみたてびてまちとひたまひしく、なにしかものぼりきつゆととひたまひき。)

稜威の男建踏み建びて待ち問ひたまひしく、何故上り来つると問ひたまひき。

(ここにはやすさのをのみこと、こたへまをししく、あはきたなきこころなし。ただおほみかみのみこともちて、)

ここに速須佐之男命、答へ白ししく、僕は邪き心無し。ただ大御神の命もちて、

(あがなきいさちることをとひたまへり。かれ、まをしつらく)

僕が哭きいさちる事を問ひたまへり。故、白しつらく

(あはははのくににゆかむとおもひてなくなりとまをしつ。)

僕は妣の国に往かむと欲ひて哭くなりとまをしつ。

(ここにおほみかみのたりたまひしく、いましはこのくににあるべからずとのりたまひて、)

ここに大御神詔りたまひしく、汝はこの国に在るべからずとのりたまひて、

(かむやらひやらひたまへり。)

神逐らひ逐らひたまへり。

(かれ、まかりゆかむさまをまをさむとおもひてこそまいのぼりつれ。ことごころなしとまをしき。)

故、罷り往かむ状を謂さむと以為ひてこそ参上りつれ。異心無しとまをしき。

(ここにあまてらすおほみかみのたりたまひしく、)

ここに天照大御神詔りたまひしく、

(しからばいましのこころきよくあかきはいかにしてしらむとのりたまひき。)

然らば汝の心清く明きは何して知らむとのりたまひき。

(ここにはやすさのをのみことこたへまをししく、)

ここに速須佐之男命答へ白ししく、

など

(おのおのちかひてこうまむとまをしき。)

各誓ひて子生まむとまをしき。

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