我慢の使い方(力の正位置)

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投稿者投稿者死神の嫁いいね1お気に入り登録
プレイ回数428難易度(4.9) 3403打 長文 長文モードのみ
タロットカードを題材にした、オリジナル小説です
9枚目のカード、力の正位置との話です。
面白いと思ってもらえたり、カードのことを知っていただけると嬉しいです!

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問題文

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(「うぅ~・・・・・・!」)

「うぅ~・・・・・・!」

(このひのわたしは、あらゆることにたいしてそうとうがまんしていた。)

この日の私は、あらゆる事に対して相当我慢していた。

(それがついにげんかいをむかえたようで、いまもうれつにむしゃくしゃしている。)

それが遂に限界を迎えたようで、今猛烈にむしゃくしゃしている。

(「あるじさま、どうかしたの?)

「主様、どうかしたの?

(わたしでよければきくから、おちついたらはなしてほしいな」)

私で良ければ聞くから、落ち着いたら話して欲しいな」

(そんなわたしをやさしくなだめ、せなかまでさすってくれるかのじょは)

そんな私を優しく宥め、背中まで摩ってくれる彼女は

(どこまでもかんだいなこころをもちあわせているにちがいない。)

何処までも寛大な心を持ち合わせているに違いない。

(かのじょのなは「ちから」のせいいち、かーどばんごうは8で)

彼女の名は『力』の正位置、カード番号は8で

(おもないみは「にんたいりょく・おもいやり・こんとろーる」など。)

主な意味は『忍耐力・思いやり・コントロール』など。

(「ちから」ときくときんにくしつなじんぶつであったり、けんりょくしゃなどをそうぞうするが)

『力』と聞くと筋肉質な人物であったり、権力者などを想像するが

(かのじょのようしは、ようじょ。)

彼女の容姿は、幼女。

(はなしかたこそおちついているが、しぐさなどにあいらしさがあるため)

話し方こそ落ち着いているが、仕草などに愛らしさがある為

(したしみやすくはなしやすいじんぶつである。)

親しみやすく話しやすい人物である。

(そんなかのじょのかたわらには、ひゃくじゅうのおうことらいおんがいる。)

そんな彼女の傍らには、百獣の王ことライオンがいる。

(どうみてもあぶないくみあわせであるが、らいおんはかのじょになついており、)

どう見ても危ない組み合わせであるが、ライオンは彼女に懐いており、

(さいきんではおおきなねこにみえなくもないとおもいはじめている。)

最近では大きな猫に見えなくもないと思い始めている。

(が、やはりおそろしいのでけいかいしんはぬけないままだが。)

が、やはり恐ろしいので警戒心は抜けないままだが。

(「ちからさん、こんにちは。じつはね・・・・・・」)

「力さん、こんにちは。実はね・・・・・・」

(わたしはいまのむねのしんきょうをすべてはなした。)

私は今の胸の心境を全て話した。

(ほとんどがぐちだったにもかかわらず、かのじょはいやなかおひとつせずきいてくれた。)

殆どが愚痴だったにも関わらず、彼女は嫌な顔一つせず聞いてくれた。

など

(かたわらのらいおんはねこのようにおなかをみせてごろごろし)

傍らのライオンは猫のようにお腹を見せてゴロゴロし

(おそるおそるてをのばしてふれるときもちよさそうにめをほそめていた。)

恐る恐る手を伸ばして触れると気持ち良さそうに目を細めていた。

(「あるじさま、どうしてそんなきもちになったかわかる?」)

「主様、どうしてそんな気持ちになったか分かる?」

(「うーん・・・・・・やっぱりわたしがまだまだこどもだからかなぁ。)

「うーん・・・・・・やっぱり私がまだまだ子供だからかなぁ。

(こんなことくらいでがまんできなくなっちゃうんだから)

こんな事くらいで我慢出来なくなっちゃうんだから

(もっとしっかりしないとね」)

もっとしっかりしないとね」

(「・・・・・・やっぱり、わかってない。)

「・・・・・・やっぱり、分かってない。

(あるじさまはがまんできることがおとなで、がまんできないのがこどもだとおもってる。)

主様は我慢出来る事が大人で、我慢出来ないのが子供だと思ってる。

(でもそれはまちがい、がまんのつかいかたをまちがってる」)

でもそれは間違い、我慢の使い方を間違ってる」

(「がまんの・・・・・・つかいかた?」)

「我慢の・・・・・・使い方?」

(「がまんはじぶんをおしつぶすこういじゃない。)

「我慢は自分を押し潰す行為じゃない。

(じぶんのいけんをふりかえるときにつかうものだもの。)

自分の意見を振り返る時に使うものだもの。

(おもったとおりにはつげんするより、いいかたをかくにんしてからはつげんしたり)

思った通りに発言するより、言い方を確認してから発言したり

(あいてのことをおもっておぶらーとにつつんだりするでしょう?」)

相手のことを思ってオブラートに包んだりするでしょう?」

(ちからさんいわく、がまんはじぶんとのたいわのさいにつかうものであって)

力さん曰く、我慢は自分との対話の際に使うものであって

(じぶんのいにはんすることにたいしてつかうことではないのだという。)

自分の意に反することに対して使うことではないのだという。

(かんがえをすぐにかたちにしたいとおもうきもちへのすとっぱーが、がまんなのだ。)

考えを直ぐに形にしたいと思う気持ちへのストッパーが、我慢なのだ。

(すべてはじぶんのためにつながるおこないでなければ、がまんのいきをこえてしまう。)

全ては自分の為に繋がる行いで無ければ、我慢の域を超えてしまう。

(こんかいのわたしもじしんのもつがまんのりょういきのはんいがいにいたったため)

今回の私も自身の持つ我慢の領域の範囲外に至った為

(むしゃくしゃしたきもちになってしまったのだろう。)

むしゃくしゃした気持ちになってしまったのだろう。

(「ただしいがまんのつかいかたをしれば、ためこんだりしなくてよくなるわ。)

「正しい我慢の使い方を知れば、溜め込んだりしなくて良くなるわ。

(ほんとうにじぶんがつたえたいことを、ひとがわかるかたちでつたえてほしいなっておもう。)

本当に自分が伝えたい事を、人が分かる形で伝えて欲しいなって思う。

(ちからはつかいかたによって、きょうきにもなるしたてにもなるけど)

力は使い方によって、凶器にもなるし盾にもなるけど

(つかいかたをまちがってしまったらみをほろぼしてしまうもの・・・・・・」)

使い方を間違ってしまったら身を滅ぼしてしまうもの・・・・・・」

(「けんりょくとかもそうだけど、けんりょくしゃのつかいかたしだいでおおはばにかわってしまうものね。)

「権力とかもそうだけど、権力者の使い方次第で大幅に変わってしまうものね。

(いあつしてしたがわせたり、きにいらなければぼうりょくをふるったり)

威圧して従わせたり、気に入らなければ暴力を振るったり

(まちがったつかいかたをしているひとがほとんどなんだね」)

間違った使い方をしている人が殆どなんだね」

(「ちからはつかいかたにきまりがないから、むずかしいの。)

「力は使い方に決まりがないから、難しいの。

(つねにそのひとのためになることにつかわれたいっておもってはいるけど)

常にその人の為になることに使われたいって思ってはいるけど

(ひとをきずつけるためとかしたがわせるためとかにつかわれるのは)

人を傷つける為とか従わせる為とかに使われるのは

(よいきもちにならないから・・・・・・」)

良い気持ちにならないから・・・・・・」

(かのじょはそういってかなしそうにらいおんのあたまをなでた。)

彼女はそう言って悲しそうにライオンの頭を撫でた。

(らいおんはそんなかのじょをみつめ、くちをひらいた。)

ライオンはそんな彼女を見つめ、口を開いた。

(「ちからをつかうものは、つねにせきにんをもちあわせなければなりたたない。)

「力を使うものは、常に責任を持ち合わせなければ成り立たない。

(それをよのものはみてみぬふりをし、しりしよくにめがくらんでいる。)

それを世の者は見て見ぬ振りをし、私利私欲に目が眩んでいる。

(なんとおろかしい」)

何と愚かしい」

(「・・・・・・え、らいおんさんってしゃべれるの?」)

「・・・・・・え、ライオンさんって喋れるの?」

(「はなせるよ。らいおんさんはひゃくじゅうのおうとしてくんりんしているけど)

「話せるよ。ライオンさんは百獣の王として君臨しているけど

(おうってけんりょくのかたまりでしょう?)

王って権力の塊でしょう?

(おうがくずれたらしたのものにしめしがつかなくなるし、しぜんかいがくずれてしまう。)

王が崩れたら下のものに示しが付かなくなるし、自然界が崩れてしまう。

(だからつねにせきにんをかんじながらすごしているんだって」)

だから常に責任を感じながら過ごしているんだって」

(「そっか、おにいさんもそんなこといってたな。)

「そっか、お兄さんもそんな事言ってたな。

(うえにたつものはかくごがひつようだって。)

上に立つ者は覚悟が必要だって。

(なにごともしんちょうにいかないといけないのね」)

何事も慎重にいかないといけないのね」

(がまんとは、われまんしんせず。)

我慢とは、我慢心せず。

(じぶんだけがただしいとおもわず、いちどじしんとむきあうことがじゅうよう。)

自分だけが正しいと思わず、一度自身と向き合う事が重要。

(それがほんらいのがまんなのだと、かのじょといっぴきはせつなそうにつぶやくのであった。)

それが本来の我慢なのだと、彼女と一匹は切なそうに呟くのであった。

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