見えない案内人(隠者の正位置)

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プレイ回数608難易度(4.7) 1588打 長文 長文モードのみ
タロットカードを題材にした、オリジナル小説です
10枚目のカード、隠者の正位置との話です。
面白いと思ってもらえたり、カードのことを知っていただけると嬉しいです!

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問題文

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(「おじいちゃん、いる?」)

「おじいちゃん、いる?」

(「おぉまごか、わしになにかようじゃったか?」)

「おぉ孫か、わしに何か用じゃったか?」

(「ようはないんだけど・・・・・・なんとなくあいたくなっちゃって」)

「用はないんだけど・・・・・・何となく会いたくなっちゃって」

(「おぉーそうであったか!)

「おぉーそうであったか!

(いまおかしをもってきてやろう。どっこいしょ・・・・・・」)

今お菓子を持ってきてやろう。どっこいしょ・・・・・・」

(ここにくると、りょうしんのじっかにかえってきたまごのようなきぶんになる。)

ここに来ると、両親の実家に帰ってきた孫のような気分になる。

(それはかれがくりだすふんいきがおおいにかんけいしているのだとわかる。)

それは彼が繰り出す雰囲気が大いに関係しているのだと分かる。

(かれのなは「いんじゃ」のせいいち、かーどばんごうは「9」で)

彼の名は『隠者』の正位置、カード番号は『9』で

(みためもそうだがかなりのしょろうである。)

見た目もそうだがかなりの初老である。

(おもないみは「みちびき・たすけあい・しんじつにめをむける」で)

主な意味は『導き・助け合い・真実に目を向ける』で

(ひとがらのよいおじいちゃんだ。)

人柄の良いおじいちゃんだ。

(「おじいちゃん、なにかてつだおうか?」)

「おじいちゃん、何か手伝おうか?」

(「かまわんかまわん、すわっておれ!)

「構わん構わん、座っておれ!

(ほれ、このかしがおちゃとよくあうんじゃよ」)

ほれ、この菓子がお茶とよく合うんじゃよ♪」

(「ありがとうおじいちゃん。ほんとだ、たしかにおちゃとあうね!」)

「ありがとうおじいちゃん。ほんとだ、確かにお茶と合うね!」

(「ほっほっほ、さすがはわしのまごじゃ。このよさがわかるとはのぅ!)

「ほっほっほ、流石はわしの孫じゃ。この良さが分かるとはのぅ!

(たいはんのものはおちゃなどたしなまぬ。)

大半の者はお茶など嗜まぬ。

(このかくされたよさになかなかきづかずそんをしておるのじゃ」)

この隠された良さになかなか気付かず損をしておるのじゃ」

(「たしかにそうかもしれないね。)

「確かにそうかもしれないね。

(ふだんみえないところには、いがいといいものがあったりするからね。)

普段見えないところには、意外といいものがあったりするからね。

など

(そうかんがえると、わたしなにもみえていないのかもしれない・・・・・・)

そう考えると、私何も見えていないのかもしれない・・・・・・

(いつもおじいちゃんにおしえてもらってばっかりだし、まだまだだなぁ」)

いつもおじいちゃんに教えてもらってばっかりだし、まだまだだなぁ」

(いんじゃはかげからひかりをてらし、みえていないみちをしめすあんないにんのようなそんざいだ。)

隠者は陰から光を照らし、見えていない道を示す案内人のような存在だ。

(だれよりもおおくのみちをしり、そのすすみかたやかいひほうほうをしる。)

誰よりも多くの道を知り、その進み方や回避方法を知る。

(ただ、すぐにてをかさずきゅうちにいたったときにのみあらわれ、みちびき)

ただ、すぐに手を貸さず窮地に至った時にのみ現れ、導き

(さいどはなれていく。)

再度離れていく。

(あくまでもあんないにんとしてのつとめをはたすだけの、こころづよいみかただ。)

あくまでも案内人としての務めを果たすだけの、心強い味方だ。

(「よいよい、まごよ。そなたはたしゃのことばにみみをかたむけておる。)

「良い良い、孫よ。そなたは他者の言葉に耳を傾けておる。

(かたむけることができるだけでもじゅうぶんじゃ。)

傾けることが出来るだけでも充分じゃ。

(じゃがな、すべてのことばをうのみにしてはならぬぞ。)

じゃがな、全ての言葉を鵜呑みにしてはならぬぞ。

(ことばはまやかしにすぎぬ、しんじつをことばでかたれるとはおもわぬほうがよい」)

言葉はまやかしに過ぎぬ、真実を言葉で語れるとは思わぬほうが良い」

(「わかった・・・・・・きもにめいじておく」)

「分かった・・・・・・肝に銘じておく」

(「ほっほっほ、よいこじゃ。ほれ、くらいはなしはおしまいじゃ!)

「ほっほっほ、良い子じゃ。ほれ、暗い話はおしまいじゃ!

(いまはこのじかんをたのしもうぞ」)

今はこの時間を楽しもうぞ」

(だれよりもふかいやみをしるあんないにんのめは、あたたかいひかりがともっていた。)

誰よりも深い闇を知る案内人の目は、暖かい光が灯っていた。

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