三四郎

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プレイ回数1.7万難易度(4.0) 1454打 長文 かな
夏目漱石
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 sai 7966 8.3 96.1% 175.1 1454 59 31 2024/10/28
2 ゆうりん 6458 S 6.5 98.0% 227.3 1497 29 31 2024/10/17
3 てんぷり 5607 A 5.7 98.0% 250.9 1436 29 31 2024/10/18
4 novo 5370 B++ 5.5 97.2% 262.9 1453 41 31 2024/10/15
5 饅頭餅美 5285 B++ 5.4 96.9% 266.2 1453 46 31 2024/10/29

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問題文

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(うとうととしてめがさめるとおんなはいつのまにか、)

うとうととして目がさめると女はいつのまにか、

(となりのじいさんとはなしをはじめている。)

隣のじいさんと話を始めている。

(このじいさんはたしかにまえのまえのえきからのったいなかものである。)

このじいさんはたしかに前の前の駅から乗ったいなか者である。

(はっしゃまぎわにとんきょうなこえをだしてかけこんできて、)

発車まぎわに頓狂な声を出して駆け込んで来て、

(いきなりはだをぬいだとおもったらせなかにおきゅうのあとがいっぱいあったので、)

いきなり肌をぬいだと思ったら背中にお灸のあとがいっぱいあったので、

(さんしろうのきおくにのこっている。)

三四郎の記憶に残っている。

(じいさんがあせをふいて、はだをいれて、おんなのとなりにこしをかけたまで)

じいさんが汗をふいて、肌を入れて、女の隣に腰をかけたまで

(よくちゅういしてみていたくらいである。)

よく注意して見ていたくらいである。

(おんなとはきょうとからのあいのりである。)

女とは京都からの相乗りである。

(のったときからさんしろうのめについた。)

乗った時から三四郎の目についた。

(だいいちいろがくろい。)

第一色が黒い。

(さんしろうはきゅうしゅうからさんようせんにうつって、だんだんきょうおおさかへちかづいてくるうちに、)

三四郎は九州から山陽線に移って、だんだん京大阪へ近づいて来るうちに、

(おんなのいろがしだいにしろくなるので)

女の色が次第に白くなるので

(いつのまにかこきょうをとおのくようなあわれをかんじていた。)

いつのまにか故郷を遠のくような哀れを感じていた。

(それでこのおんながしゃしつにはいってきたときは、)

それでこの女が車室にはいって来た時は、

(なんとなくいせいのみかたをえたこころもちがした。)

なんとなく異性の味方を得た心持ちがした。

(このおんなのいろはじっさいきゅうしゅういろであった。)

この女の色はじっさい九州色であった。

(みわたのおみつさんとおなじいろである。)

三輪田のお光さんと同じ色である。

(くにをたつまぎわまでは、おみつさんは、うるさいおんなであった。)

国を立つまぎわまでは、お光さんは、うるさい女であった。

(そばをはなれるのがおおいにありがたかった。)

そばを離れるのが大いにありがたかった。

など

(けれども、こうしてみると、おみつさんのようなのもけっしてわるくはない。)

けれども、こうしてみると、お光さんのようなのもけっして悪くはない。

(ただかおだちからいうと、このおんなのほうがよほどじょうとうである。)

ただ顔だちからいうと、この女のほうがよほど上等である。

(くちにしまりがある。めがはっきりしている。)

口に締まりがある。目がはっきりしている。

(ひたいがおみつさんのようにだだっぴろくない。)

額がお光さんのようにだだっ広くない。

(なんとなくいいこころもちにできあがっている。)

なんとなくいい心持ちにできあがっている。

(それでさんしろうはごふんにいちどぐらいはめをあげておんなのほうをみていた。)

それで三四郎は五分に一度ぐらいは目を上げて女の方を見ていた。

(ときどきはおんなとじぶんのめがゆきあたることもあった。)

時々は女と自分の目がゆきあたることもあった。

(じいさんがおんなのとなりへこしをかけたときなどは、)

じいさんが女の隣へ腰をかけた時などは、

(もっともちゅういして、できるだけながいあいだ、おんなのようすをみていた。)

もっとも注意して、できるだけ長いあいだ、女の様子を見ていた。

(そのときおんなはにこりとわらって、さあおかけといってじいさんにせきをゆずっていた。)

その時女はにこりと笑って、さあおかけと言ってじいさんに席を譲っていた。

(それからしばらくして、さんしろうはねむくなってねてしまったのである。)

それからしばらくして、三四郎は眠くなって寝てしまったのである。

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夏目漱石

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