【タイピング文庫】太宰治「走れメロス2」
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問題文
(それでも、めいめいきもちをひきたて、せまいいえのなかでむんむんむしあつい)
それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中でむんむん蒸し暑い
(のもこらえ、ようきにうたをうたい、てをうった。めろすも、まんめんに)
のも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。メロスも、満面に
(きしょくをたたえ、しばらくは、おうとのあのやくそくをさえわすれていた。)
喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。
(しゅくえんは、よるにはいっていよいよみだれはなやかになり、ひとびとは、そとのごううをまったく)
祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く
(きにしなくなった。めろすは、いっしょうこのままここにいたい、とおもった。)
気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。
(このよいひとたちとしょうがいくらしていきたいとねがったが、いまは、じぶんのからだで、)
この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、
(じぶんのものではない。ままならぬことである。めろすは、わがみにむちうち、)
自分のものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、わが身に鞭打ち、
(ついにしゅっぱつをけついした。あすのにちぼつまでには、まだじゅうぶんのときがある。)
ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。
(ちょっとひとねむりして、それからすぐにしゅっぱつしよう、とかんがえた。そのころには、)
ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、
(あめもこぶりになっていよう。すこしでもながくこのいえにぐずぐずとどまって)
雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまって
(いたかった。めろすほどのおとこにも、やはりみれんのじょうというものはある。)
いたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。
(こよいぼうぜん、かんきによっているらしいはなよめにちかより、おめでとう。わたしはつかれて)
今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、「おめでとう。私は疲れて
(しまったから、ちょっとごめんこうむってねむりたい。めがさめたら、すぐにしに)
しまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に
(でかける。たいせつなようじがあるのだ。わたしがいなくても、もうおまえには)
出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには
(やさしいていしゅがあるのだから、けっしてさびしいことはない。おまえのあにの、)
優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、
(いちばんきらいなものは、ひとをうたがうことと、それから、うそをつくことだ。おまえも、)
一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、
(それは、しっているね。ていしゅとのあいだに、どんなひみつでもつくってはならぬ。)
それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。
(おまえにいいたいのは、それだけだ。おまえのあには、たぶんえらいおとこなのだから、)
おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、
(おまえもそのほこりをもっていろ。はなよめは、ゆめみごこちでうなずいた。めろすは、)
おまえもその誇りを持っていろ。」花嫁は、夢見心地で首肯いた。メロスは、
(それからはなむこのかたをたたいて、したくのないのはおたがいさまさ。わたしのいえにも、)
それから花婿の肩をたたいて、 「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、
(たからといっては、いもうととひつじだけだ。ほかには、なにもない。ぜんぶあげよう。もうひとつ、)
宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、
(めろすのおとうとになったことをほこってくれ。はなむこはもみてして、てれていた)
メロスの弟になったことを誇ってくれ。」花婿は揉み手して、てれていた
(めろすはわらってむらびとたちにもえしゃくして、えんせきからたちさり、ひつじこやにもぐり)
メロスは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり
(こんで、しんだようにふかくねむった。めがさめたのはあくるひのはくめいのころである。)
込んで、死んだように深く眠った。眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。
(めろすははねおき、なむさん、ねすごしたか、いや、まだまだだいじょうぶ、これから)
メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これから
(すぐにしゅっぱつすれば、やくそくのこくげんまでにはじゅうぶんまにあう。きょうはぜひとも、)
すぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、
(あのおうに、ひとのしんじつのそんするところをみせてやろう。そうしてわらってはりつけのだいに)
あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に
(のぼってやる。めろすは、ゆうゆうとみじたくをはじめた。あめも、いくぶんこぶりに)
上ってやる。メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りに
(なっているようすである。みじたくはできた。さて、めろすは、ぶるんとりょううでを)
なっている様子である。身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を
(おおきくふって、うちゅう、やのごとくはしりでた。わたしは、こよい、ころされる。ころされるために)
大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。私は、今宵、殺される。殺される為に
(はしるのだ。みがわりのともをすくうためにはしるのだ。おうのかんねいじゃちをうちやぶるために)
走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に
(はしるのだ。はしらなければならぬ。そうして、わたしはころされる。わかいときからめいよを)
走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を
(まもれ。さらば、ふるさと。わかいめろすは、つらかった。いくどか、たちどまりそう)
守れ。さらば、ふるさと。若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそう
(になった。えい、えいとおおごえあげてじしんをしかりながらはしった。むらをでて、)
になった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、
(のをよこぎり、もりをくぐりぬけ、となりむらについたころには、あめもやみ、ひはたかく)
野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く
(のぼって、そろそろあつくなってきた。めろすはひたいのあせをこぶしではらい、ここまで)
昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまで
(くればだいじょうぶ、もはやこきょうへのみれんはない。いもうとたちは、きっとよいふうふに)
来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦に
(なるだろう。わたしには、いま、なんのきがかりもないはずだ。まっすぐにおうじょうに)
なるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に
(いきつけば、それでよいのだ。そんなにいそぐひつようもない。ゆっくりあるこう、)
行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、
(ともちまえののんきさをとりかえし、すきなこうたをいいこえでうたいだした。)
と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。
(ぶらぶらあるいてにりゆきさんりゆき、そろそろぜんりていのなかばにとうたつしたころ、)
ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、
(ふってわいたさいなん、めろすのあしは、はたと、とまった。みよ、ぜんぽうのかわを。)
降って湧いた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。
(きのうのごううでやまのすいげんちははんらんし、だくりゅうとうとうとかりゅうにあつまり、もうせいいっきょに)
きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に
(はしをはかいし、どうどうとひびきをあげるげきりゅうが、このはみじんにはしげたをはねとばし)
橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばし
(ていた。かれはぼうぜんと、たちすくんだ。あちこちとながめまわし、また、こえをかぎりに)
ていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに
(よびたててみたが、けいしゅうはのこらずなみにさらわれてかげなく、わたもりのすがたもみえない。)
呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。
(ながれはいよいよふくれのぼり、うみのようになっている。めろすはかわぎしにうずくまり)
流れはいよいよふくれ上り、海のようになっている。メロスは川岸にうずくまり
(おとこなきになきながらぜうすにてをあげてあいがんした。ああ、しずめたまえ、)
男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮めたまえ、
(あれくるうながれを!ときはこくこくにすぎていきます。たいようもすでにまひるじです。)
荒れ狂う流れを!時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。
(あれがしずんでしまわぬうちに、おうじょうにいきつくことができなかったら、あのよい)
あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い
(ともだちが、わたしのためにしぬのです。だくりゅうは、めろすのさけびをせせらわらうごとく、)
友達が、私のために死ぬのです。」濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、
(ますますはげしくおどりくるう。なみはなみをのみ、まき、あおりたて、そうしてときは、)
ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、
(こくいっこくときえていく。いまはめろすもかくごした。およぎきるよりほかにない。ああ、)
刻一刻と消えて行く。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、
(かみがみもしょうらんあれ!だくりゅうにもまけぬあいとまことのいだいなちからを、いまこそはっきしてみせる)
神々も照覧あれ!濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる
(めろすは、ざんぶとながれにとびこみ、ひゃっぴきのだいじゃのようにのたうちあれくるう)
メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う
(なみをあいてに、ひっしのとうそうをかいしした。まんしんのちからをうでにこめて、おしよせうずまき)
浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き
(ひきずるながれを、なんのこれしきとかきわけかきわけ、めくらめっぽう)
引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう
(ししふんじんのひとのこのすがたには、かみもあわれとおもったか、ついにれんびんをたれてくれた。)
獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。
(おしながされつつも、みごと、たいがんのじゅもくのみきに、すがりつくことができたのである。)
押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。
(ありがたい。めろすはうまのようにおおきなどうぶるいをひとつして、すぐにまたさきを)
ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを
(いそいだ。いっこくといえども、むだにはできない。ひはすでににしにかたむきかけている。)
急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。
(ぜいぜいあらいこきゅうをしながらとうげをのぼり、のぼりきって、ほっとしたとき、)
ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、
(とつぜん、めのまえにいったいのさんぞくがおどりでた。まて。)
突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。「待て。」
(なにをするのだ。わたしはひのしずまぬうちにおうじょうへいかなければならぬ。はなせ。)
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
(どっこいはなさぬ。もちものぜんぶをおいていけ。わたしにはいのちのほかには)
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」「私にはいのちの他には
(なにもない。その、たったひとつのいのちも、これからおうにくれてやるのだ。)
何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
(その、いのちがほしいのだ。さては、おうのめいれいで、ここでわたしをまちぶせ)
「その、いのちが欲しいのだ。」「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せ
(していたのだな。さんぞくたちは、ものもいわずいっせいにこんぼうをふりあげた。)
していたのだな。」山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。
(めろすはひょいと、からだをおりまげ、あすかのごとくみぢかのひとりにおそいかかり、)
メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、
(そのこんぼうをうばいとって、きのどくだがせいぎのためだ!ともうぜんいちげき、)
その棍棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、
(たちまち、さんにんをなぐりたおし、のこるもののひるむすきに、さっさとはしってとうげをくだった。)
たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。
(いっきにとうげをかけおりたが、さすがにひろうし、おりからごごのしゃくねつのたいようが)
一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽が
(まともにかっとてってきて、めろすはいくどとなくめまいをかんじ、これではならぬ、)
まともにかっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、
(ときをとりなおしては、よろよろにさんぽあるいて、ついに、がくりとひざをおった。)
と気を取り直しては、よろよろ二三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。
(たちのぼることができぬのだ。てんをあおいで、くやしなきになきだした。ああ、あ、)
立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、
(だくりゅうをおよぎきり、さんぞくをさんにんもうちたおしいだてん、ここまでとっぱしてきためろすよ)
濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ
(しんのゆうしゃ、めろすよ。いま、ここで、つかれきってうごけなくなるとはなさけない。)
真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。
(あいするともは、おまえをしんじたばかりに、やがてころされなければならぬ。おまえは)
愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは
(きだいのふしんのにんげん、まさしくおうのおもうつぼだぞ、とじぶんをしかってみるのだが、)
稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、
(ぜんしんなえて、もはやいもむしほどにもぜんしんかなわぬ。ろぼうのそうげんにごろりと)
全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと
(ねころがった。しんたいひろうすれば、せいしんもともにやられる。もう、どうでもいい)
寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいい
(という、ゆうしゃにふにあいなふてくされたこんじょうが、こころのすみにすくった。)
という、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。
(わたしは、これほどどりょくしたのだ。やくそくをやぶるこころは、みじんもなかった。かみもしょうらん、)
私はこれほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、
(わたしはせいいっぱいにつとめてきたのだ。うごけなくなるまではしってきたのだ。わたしはふしんの)
私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の
(とではない。ああ、できることならわたしのむねをたちわって、しんくのしんぞうをおめに)
徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に
(かけたい。あいとしんじつのけつえきだけでうごいているこのしんぞうをみせてやりたい。)
掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。
(けれどもわたしは、このだいじなときに、せいもこんもつきたのだ。わたしは、よくよくふこうな)
けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な
(おとこだ。わたしは、きっとわらわれる。わたしのいっかもわらわれる。わたしはともをあざむいた。ちゅうとで)
男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で
(たおれるのは、はじめからなにもしないのとおなじことだ。ああ、もう、どうでもいい。)
倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。
(これが、わたしのさだまったうんめいなのかもしれない。せりぬんてぃうすよ、ゆるしてくれ。)
これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、許してくれ。
(きみは、いつでもわたしをしんじた。わたしもきみを、あざむかなかった。わたしたちは、ほんとうによい)
君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い
(ともとともであったのだ。いちどだって、くらいぎわくのくもを、おたがいむねにやどしたことは)
友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは
(なかった。いまだって、きみはわたしをむしんにまっているだろう。ああ、まっている)
無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っている
(だろう。ありがとうせりぬんてぃうす。よくもわたしをしんじてくれた。それをおもえば)
だろう。ありがとうセリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば
(たまらない。ともととものあいだのしんじつは、このよでいちばんほこるべきたからなのだからな。)
たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。