アダプテッド

(みたされなさになまえをつけたらはからずともこうふくとよばれた)

満たされなさに名前を付けたら　図らずとも幸福と呼ばれた

(しゅぎしゅちょうそううつしゃーまにずむだんぼーるはうすきょじゅうさるとる)

主義主張　躁鬱シャーマニズム　段ボールハウス居住サルトル

(ろせんばすさびたしゃたいけいねんれっかするしこうよくじょうのじじょう)

路線バス　錆びた車体　経年劣化する思考　欲情の二乗

(むぎわらぼうしをかけたけいとらしょげつむりょうじょしあなぷらうと)

麦藁帽子を掛けた軽トラ　初月無料　女子アナ　プラウト

(あだぷてっど)

アダプテッド

(たちぐいそばかみおろしにてしょくしういんどうずびんせんよはなさけ)

立ち食い蕎麦　神降ろしにて食し　ウインドウズ　便箋　世は情け

(かだいひょうかかしょうひょうかきるゆーちゅうぶらりんぶんこしてぃーらいと)

過大評価　過小評価　キルユー　宙ぶらりん　文庫　シティーライト

(であいとわかれきっぷきりそびれほすぴすよこたわりしゅうまついりょう)

出会いと別れ切符切りそびれ　ホスピス横たわり終末医療

(わずらったふじのやまい、せいしゅんあのなつのしっぽつかみたい)

患った不治の病、青春　あの夏の尻尾掴みたい

(あだぷてっど)

アダプテッド

(もりのよぶこえをきいたぼくはしんだ)

森の呼ぶ声を聞いた　僕は死んだ

(まなつにあのこをだいたいちや)

真夏にあの子を抱いた一夜

(きらめくほしぞらはぼくらをかんつうしてっただんこんあまのがわはそうしょう)

きらめく星空は　僕らを貫通してった弾痕　天の川は創傷

(せかいにふたりだけかんねんだけになってこうかくをあげたなつぜっしょうぜっしょう)

世界に二人だけ　観念だけになって　口角を上げた夏　絶唱　絶唱

(しゃようしゃでちゅうしょくついぞおうとなんだかんだあっていま、すいしたい)

社用車で昼食ついぞ嘔吐　なんだかんだあって今、水死体

(しんぺんせいりななつめのよるにてつどうしょうかくちずさみいこう)

身辺整理　七つ目の夜に　鉄道唱歌　口ずさみ行こう

(ほれたはれたのひぜにものごいになむあみだぶつぎょせんゆめちがえ)

惚れた腫れたの日銭物乞いに　南無阿弥陀仏　漁船　夢違え

(しぬにはひろすぎるかいていではただよっているただよっていあだぷてっど)

死ぬには広すぎる海底では　ただよっている　ただ酔っていアダプテッド

(ゆうやみかなたがもえたぼくはしんだ あのこがせかいをかえたいちや)

夕闇彼方が燃えた　僕は死んだ あの子が世界を変えた一夜

(きらめくほしぞらはぼくらをかんつうしてっただんこんあまのがわはそうしょう)

きらめく星空は　僕らを貫通してった弾痕　天の川は創傷

(せかいにふたりだけかんねんだけになってこうかくをあげたなつぜっしょうぜっしょう)

世界に二人だけ　観念だけになって　口角を上げた夏　絶唱　絶唱

(こうこうともえたるあさやけのてらすまどべに)

煌々と燃えたる朝焼けの　照らす窓辺に

(ふるしんぶんふるざっしふるじぶんふるじぶん)

古新聞　古雑誌　古自分　古自分

(こけむすせいにくしさしててつがくたちんぼとおりゃんせ)

苔むす生に串さして　哲学たちんぼとおりゃんせ

(とおりゃんせとおりゃんせわらうものがいとおかし)

とおりゃんせとおりゃんせ笑う者がいとおかし

(あなたがいればしんでもいいかしんだらどうかそうだんしようそうしよう)

あなたがいれば死んでもいいか　死んだらどうか　相談しようそうしよう

(きらめくほしぞらはぼくらをかんつうしてっただんこんあまのがわはそうしょう)

きらめく星空は　僕らを貫通してった弾痕　天の川は創傷

(せかいにふたりだけかんねんだけになってこうかくをあげたなつぜっしょうぜっしょう)

世界に二人だけ　観念だけになって　口角を上げた夏　絶唱　絶唱

(あだぷてっど)

アダプテッド