人間失格【太宰治】13

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投稿者投稿者ひきにーと。いいね1お気に入り登録
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第二の手記6です
また、学校の~という事になった」までです。
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1 kkk 3650 D+ 3.8 94.7% 848.4 3277 180 52 2024/03/27

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問題文

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(またがっこうのずがのじかんにもじぶんはあのおばけしきしゅほうはひめて)

また、学校の図画の時間にも、自分はあの「お化け式手法」は秘めて、

(いままでどおりのうつくしいものをうつくしくかくしきのぼんようなたっちでかいていました)

いままでどおりの美しいものを美しく画く式の凡庸なタッチで画いていました。

(じぶんはたけいちにだけはまえからじぶんのいたみやすいしんけいをへいきでみせていましたし)

自分は竹一にだけは、前から自分の傷み易い神経を平気で見せていましたし、

(こんどのじがぞうもあんしんしてたけいちにみせたいへんほめられさらににまいさんまいと)

こんどの自画像も安心して竹一に見せ、たいへんほめられ、さらに二枚三枚と、

(おばけのえをかきつづけたけいちからもうひとつのおまえは)

お化けの絵を画きつづけ、竹一からもう一つの、「お前は、

(えらいえかきになるというよげんをえたのでしたほれられるというよげんと)

偉い絵画きになる。」という予言を得たのでした。惚れられるという予言と、

(えらいえかきになるというよげんと)

偉い絵画きになるという予言と、

(このふたつのよげんをばかのたけいちによってひたいにこくいんせられてやがて)

この二つの予言を馬鹿の竹一に依って額に刻印せられて、やがて、

(じぶんはとうきょうへでてきましたじぶんはびじゅつがっこうにはいりたかったのですが)

自分は東京へ出て来ました。自分は、美術学校にはいりたかったのですが、

(ちちはまえからじぶんをこうとうがっこうにいれてすえはかんりにするつもりで)

父は、前から自分を高等学校にいれて、末は官吏にするつもりで、

(じぶんにもそれをいいわたしてあったのでよねんからうけてみよといわれたので)

自分にもそれを言い渡してあったので、四年から受けて見よ、と言われたので、

(じぶんもさくらとうみのちゅうがくはもういいかげんあきていましたしごねんにしんきゅうせず)

自分も桜と海の中学はもういい加減あきていましたし、五年に進級せず、

(よねんしゅうりょうのままでとうきょうのこうとうがっこうにじゅけんしてごうかくし)

四年修了のままで、東京の高等学校に受験して合格し、

(すぐにりょうせいかつにはいりましたがそのふけつとそぼうにへきえきして)

すぐに寮生活にはいりましたが、その不潔と粗暴に辟易して、

(どうけどころではなくいしゃにはいしんじゅんのしんだんしょをかいてもらいりょうからでて)

道化どころではなく、医者に肺浸潤の診断書を書いてもらい、寮から出て、

(うえださくらぎちょうのちちのべっそうにうつりましたじぶんにはだんたいせいかつというものが)

上田桜木町の父の別荘に移りました。自分には、団体生活というものが、

(どうしてもできませんそれにまたせいしゅんのかんげきだとか)

どうしても出来ません。それにまた、青春の感激だとか、

(わこうどのほこりだとかいうことばはきいてさむけがしてきてとてもあの)

若人の誇りだとかいう言葉は、聞いて寒気がして来て、とても、あの、

(はいすくーるすぴりっととかいうものにはついていけなかったのです)

ハイスクール・スピリットとかいうものには、ついて行けなかったのです。

(きょうしつもりょうもゆがめられたせいよくのはきだめみたいなきさえして)

教室も寮も、ゆがめられた性慾の、はきだめみたいな気さえして、

など

(じぶんのかんぺきにちかいおどうけもそこではなんのやくにもたちませんでした)

自分の完璧に近いお道化も、そこでは何の役にも立ちませんでした。

(ちちはぎかいのないときは)

父は議会の無い時は、

(つきにいっしゅうかんかにしゅうかんしかそのいえにたいざいしていませんでしたのでちちのるすのときは)

月に一週間か二週間しかその家に滞在していませんでしたので、父の留守の時は

(かなりひろいそのいえにべっそうばんのろうふうふとじぶんとさんにんだけでじぶんは)

かなり広いその家に、別荘番の老夫婦と自分と三人だけで、自分は、

(ちょいちょいがっこうをやすんでさりとてとうきょうけんぶつなどをするきもおこらず)

ちょいちょい学校を休んで、さりとて東京見物などをする気も起らず

(じぶんはとうとうめいじじんぐうもくすのきまさしげのどうぞうも)

(自分はとうとう、明治神宮も、楠木正成の銅像も、

(しじゅうしちしのはかもみずにおわりそうですいえでいちにちじゅうほんをよんだり)

四十七士の墓も見ずに終わりそうです)家で一日中、本を読んだり、

(えをかいたりしていましたちちがじょうきょうしてくるとじぶんは)

絵をかいたりしていました。父が上京して来ると、自分は、

(まいあさそそくさととうこうするのでしたがしかしほんごうせんだぎまちのようがか)

毎朝そそくさと登校するのでしたが、しかし、本郷千駄木町の洋画家、

(やすだしんたろうしのがじゅくにいきさんじかんもよじかんも)

安田新太郎氏の画塾に行き、三時間も四時間も、

(でっさんのれんしゅうをしていることもあったのですこうとうがっこうのりょうからぬけたら)

デッサンの練習をしていることもあったのです。高等学校の寮から脱けたら、

(がっこうのじゅぎょうにでてもじぶんはまるでちょうこうせいみたいなとくべつのいちにいるような)

学校の授業に出ても、自分はまるで聴講生みたいな特別の位置にいるような、

(それはじぶんのひがみかもしれなかったのですが)

それは自分のひがみかも知れなかったのですが、

(なんともじぶんじしんでしらじらしいきもちがしてきていっそうがっこうへいくのが)

なんとも自分自身で白々しい気持がして来て、いっそう学校へ行くのが、

(おっくうになったのでしたじぶんにはしょうがっこうちゅうがっこうこうとうがっこうをつうじて)

おっくうになったのでした。自分には、小学校、中学校、高等学校を通じて、

(ついにあいこうしんというものがりかいできずにおわりましたこうかなどというものも)

ついに愛校心というものが理解できずに終りました。校歌などというものも、

(いちどもおぼえようとしたことがありませんじぶんはやがてがじゅくで)

いちども覚えようとしたことがありません。自分は、やがて画塾で、

(あるががくせいからさけとたばこといんばいふとしちやとさよくしそうとをしらされました)

或る画学生から、酒と煙草と淫売婦と質屋と左翼思想とを知らされました。

(みょうなとりあわせでしたがしかしそれはじじつでしたそのががくせいは)

妙な取合せでしたが、しかし、それは事実でした。その画学生は、

(ほりきまさおといってとうきょうのしたまちにうまれじぶんよりむっつねんちょうしゃで)

堀木正雄といって、東京の下町に生れ、自分より六つ年長者で、

(しりつのびじゅつがっこうをそつぎょうしていえにあとりえがないのでこのがじゅくにかよい)

私立の美術学校を卒業して、家にアトリエが無いので、この画塾に通い、

(ようがのべんきょうをつづけているのだそうですごえんかしてくれないか)

洋画の勉強をつづけているのだそうです。「五円、貸してくれないか」

(おたがいただかおをみしっているだけで)

お互いただ顔を見知っているだけで、

(それまでひとこともはなしあったことがなかったのですじぶんは)

それまで一言も話合った事が無かったのです。自分は、

(へどもどしてごえんさしだしましたよしのもうおれが)

へどもどして五円差し出しました。「よし、飲もう。おれが、

(おまえにおごるんだよかちごじゃのうじぶんはきょひしきれずそのがじゅくのちかくの)

お前におごるんだ。よかチゴじゃのう」自分は拒否し切れず、その画塾の近くの

(ほうらいちょうのかふえにひっぱっていかれたのがかれとのこうゆうのはじまりでした)

蓬莱町のカフエに引っ張って行かれたのが、彼との交友のはじまりでした。

(まえからおまえにめをつけていたんだそれそれそのはにかむようなびしょう)

「前から、お前に眼をつけていたんだ。それそれ、そのはにかむような微笑、

(それがみこみのあるびじゅつかとくゆうのひょうじょうなんだおちかづきのしるしにかんぱい)

それが見込みのある美術家特有の表情なんだ。お近づきのしるしに、乾杯!

(きぬさんこいつはびだんしだろうほれちゃいけないぜ)

キヌさん、こいつは美男子だろう?惚れちゃいけないぜ。

(こいつがじゅくへきたおかげでざんねんながらおれは)

こいつが塾へ来たおかげで、残念ながらおれは、

(だいにばんのびだんしということになった)

第二番の美男子という事になった」

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