薔薇獄乙女

(ひょうのようにうつくしくわたしきかざるはやみのけがわ)

豹のように美しくわたし　着飾るは闇の毛皮

(たにまのゆりふみつけても)

谷間の百合　踏みつけても

(あなたのばしょにむかうため)

あなたの場所に向かうため

(きばをたてるかにくのあまさはむすばぬみのふじつのゆめ)

牙を立てる果肉の甘さは　結ばぬ実の不実の夢

(まじわりましょう)

交わりましょう

(にげてるのかおってるのかわからなくなるまで)

逃げてるのか追ってるのか　わからなくなるまで

(わたしをみてもっとふかく)

わたしを視て　もっと深く

(おぼれみだれみつじごく)

溺れ乱れ蜜地獄

(ましょくのつめふしょくのほねきしむおとひびかせ)

魔蝕の爪　腐蝕の骨　軋む音響かせ

(これがあいかにくしみなのかこたえはひつようですか)

これが愛か憎しみなのか　答えは必要ですか

(ああつかまれたしんぞうはあなたのこおりのような)

ああ掴まれた心臓は　あなたの氷のような

(ゆびのなかでいきかえるわ)

指の中で生き返るわ

(かなしみだけかいならしてもよそおうはちょうのびしょう)

哀しみだけ飼い慣らしても　粧(よそお)うは蝶の微笑

(あしくびゆわくきれいなくさりならくのとびらにつながり)

足首結わく綺麗な鎖　奈落の扉につながり

(したでなぞるかぎあなのさきはちのあじにしげるこみち)

舌でなぞる鍵孔の先は　血の味に茂る小径

(すすめますか)

進めますか

(だいてるのかだかれるのかわからなくなるほど)

抱いてるのか抱かれるのか　わからなくなるほど

(あなたをみるまわすうでは)

あなたを視る　回す腕は

(さいてちってばらじごく)

咲いて散って薔薇地獄

(ふじょうのつきふらんのよるかけてはまたみちる)

不浄の月　腐爛の夜　欠けてはまた満ちる

(これがこいでもうらぎりでもしかばねはおんなじでしょう)

これが恋でも裏切りでも　屍は同じでしょう

(ああてにしつくしたものからそのめにいろあせるなら)

ああ手にしつくしたものから　その目に色褪せるなら

(なんどだってうまれかわる)

何度だって生まれ変わる

(にげてるのかおってるのかわからなくなるまで)

逃げてるのか追ってるのか　わからなくなるまで

(わたしをみてもっととらえて)

わたしを視て　もっと捕らえて

(もえてぐれんばらじごく)

燃えて紅蓮薔薇地獄

(いきたいのかおちたいのかもうわからないけど)

いきたいのか堕ちたいのか　もうわからないけど

(これがあいでくるしみならばしゅうえんがほしいですね)

これが愛で苦しみならば　終焉が欲しいですね

(ああうばいとってそのこころろうにかわりゆくわたしの)

ああ奪い取ってその心　ロウに変わりゆくわたしの

(からだのおくとじこめるわ)

からだの奥　閉じ込めるわ