「こころ」1-28 夏目漱石

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(上)先生と私
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ヤス 7869 8.2 96.1% 253.0 2075 84 38 2024/05/23
2 BEASTななせ 7104 7.3 96.2% 284.2 2101 82 38 2024/05/21
3 まめぞう 6305 S 6.5 95.9% 317.0 2087 88 38 2024/04/21
4 逆立ち 6036 A++ 6.1 98.3% 337.1 2070 35 38 2024/05/25
5 すもさん 5797 A+ 6.0 95.4% 350.0 2131 102 38 2024/05/25

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問題文

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(「そのくらいせんせいにちゅうじつなあなたがきゅうにいなくなったら、)

「そのくらい先生に忠実なあなたが急にいなくなったら、

(せんせいはどうなるんでしょう。)

先生はどうなるんでしょう。

(よのなかのどっちをむいてもおもしろそうでないせんせいは、あなたがきゅうにいなくなったら)

世の中のどっちを向いても面白そうでない先生は、あなたが急にいなくなったら

(あとでどうなるでしょう。)

後でどうなるでしょう。

(せんせいからみてじゃない。あなたからみてですよ。)

先生から見てじゃない。あなたから見てですよ。

(あなたからみて、せんせいはこうふくになるでしょうか、ふこうになるでしょうか」)

あなたから見て、先生は幸福になるでしょうか、不幸になるでしょうか」

(「そりゃわたしからみればわかっています。)

「そりゃ私から見れば分っています。

((せんせいはそうおもっていないかもしれませんが)。)

(先生はそう思っていないかも知れませんが)。

(せんせいはわたしをはなれればふこうになるだけです。あるいはいきていられないかも)

先生は私を離れれば不幸になるだけです。あるいは生きていられないかも

(しれませんよ。そういうと、おのぼれになるようですが、)

知れませんよ。そういうと、己惚れになるようですが、

(わたしはいませんせいをにんげんとしてできるだけこうふくにしているんだとしんじていますわ。)

私は今先生を人間としてできるだけ幸福にしているんだと信じていますわ。

(どんなひとがあってもわたしほどせんせいをこうふくにできるものはないとまで)

どんな人があっても私ほど先生を幸福にできるものはないとまで

(おもいこんでいますわ。それだからこうしておちついていられるんです」)

思い込んでいますわ。それだからこうして落ち付いていられるんです」

(「そのしんねんがせんせいのこころによくうつるはずだとわたくしはおもいますが」)

「その信念が先生の心に好く映るはずだと私は思いますが」

(「それはべつもんだいですわ」)

「それは別問題ですわ」

(「やっぱりせんせいからきらわれているとおっしゃるんですか」)

「やっぱり先生から嫌われているとおっしゃるんですか」

(「わたしはきらわれているとはおもいません。きらわれるわけがないんですもの。)

「私は嫌われているとは思いません。嫌われる訳がないんですもの。

(しかしせんせいはせけんがきらいなんでしょう。)

しかし先生は世間が嫌いなんでしょう。

(せけんというよりちかごろではにんげんがきらいになっているんでしょう。)

世間というより近頃では人間が嫌いになっているんでしょう。

(だからそのにんげんのいちにんとして、わたしもすかれるはずがないじゃありませんか」)

だからその人間の一人として、私も好かれるはずがないじゃありませんか」

など

(おくさんのきらわれているといういみがやっとわたくしにのみこめた。)

奥さんの嫌われているという意味がやっと私に呑み込めた。

(わたくしはおくさんのりかいりょくにかんしんした。)

私は奥さんの理解力に感心した。

(おくさんのたいどがきゅうしきのにほんのおんならしくないところも)

奥さんの態度が旧式の日本の女らしくないところも

(わたくしのちゅういにいっしゅのしげきをあたえた。)

私の注意に一種の刺激を与えた。

(それでおくさんはそのころはやりはじめたいわゆるあたらしいことばなどは)

それで奥さんはその頃流行り始めたいわゆる新しい言葉などは

(ほとんどつかわなかった。)

ほとんど使わなかった。

(わたくしはおんなというものにふかいつきあいをしたけいけんのないうかつなせいねんであった。)

私は女というものに深い交際をした経験のない迂闊な青年であった。

(おとことしてのわたくしは、いせいにたいするほんのうから、どうけいのもくてきぶつとして)

男としての私は、異性に対する本能から、憧憬の目的物として

(つねにおんなをゆめみていた。)

常に女を夢みていた。

(けれどもそれはなつかしいはるのくもをながめるようなこころもちで、)

けれどもそれは懐かしい春の雲を眺めるような心持で、

(ただばくぜんとゆめみていたにすぎなかった。)

ただ漠然と夢みていたに過ぎなかった。

(だからじっさいおんなのまえへでると、わたくしのかんじょうがとつぜんかわることがときどきあった。)

だから実際女の前へ出ると、私の感情が突然変る事が時々あった。

(わたくしはじぶんのまえにあらわれたおんなのためにひきつけられるかわりに、)

私は自分の前に現れた女のために引き付けられる代りに、

(そのばにのぞんでかえってへんなはんぱつりょくをかんじた。)

その場に臨んでかえって変な反撥力を感じた。

(おくさんにたいしたわたくしにはそんなきがまるででなかった。)

奥さんに対した私にはそんな気がまるで出なかった。

(ふつうなんにょのあいだによこたわるしそうのふへいきんというかんがえもほとんどおこらなかった。)

普通男女の間に横たわる思想の不平均という考えもほとんど起らなかった。

(わたくしはおくさんのおんなであるということをわすれた。)

私は奥さんの女であるという事を忘れた。

(わたくしはただせいじつなるせんせいのひひょうかおよびどうじょうかとしておくさんをながめた。)

私はただ誠実なる先生の批評家および同情家として奥さんを眺めた。

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