緋のエチュード 3

背景
投稿者投稿者水銀いいね0お気に入り登録
プレイ回数1113難易度(4.7) 4630打 長文
タグ小説 文学
シャーロックホームズシリーズ第一弾

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(わたしはかれのねっしんさにあっとうされてこういった。)

私は彼の熱心さに圧倒されてこう言った。

(「きょねんふらんくふぉーとでふぉんびすちょふじけんがあった。)

「去年フランクフォートでフォン・ビスチョフ事件があった。

(このしけんがそんざいしていれば、)

この試験が存在していれば、

(かれはまちがいなくこうしゅけいになっていただろう。)

彼は間違いなく絞首刑になっていただろう。

(それからぶらっどふぉーどのまんそん、そしてあくみょうだかいみゅーらー、)

それからブラッドフォードのマンソン、そして悪名高いミューラー、

(それにもんぺりえのるふぇーぶる、そしてにゅーおりんずのさむそん。)

それにモンペリエのルフェーブル、そしてニューオリンズのサムソン。

(このけんさほうほうがきめてになったはずのじけんを)

この検査方法が決め手になったはずの事件を

(いくらでもあげることができる」)

いくらでも挙げることが出来る」

(「きみははんざいのいきじびきだな」すたんふぉーどはわらっていった。)

「君は犯罪の生き字引だな」スタンフォードは笑って言った。

(「このじゃんるのしんぶんをそうかんできるかもしれんな。)

「このジャンルの新聞を創刊できるかもしれんな。

(「けいさつきゅうぶん」とでもなづけたらどうだ」)

『警察旧聞』とでも名づけたらどうだ」

(「それができたらおもしろいよみものになるだろうな」)

「それが出来たら面白い読み物になるだろうな」

(しゃーろっくほーむずはゆびのさしきずに)

シャーロックホームズは指の刺し傷に

(ちいさなばんそうこうをはりながらいった。「ちゅういをしなければ」)

小さなバンソウコウを貼りながら言った。「注意をしなければ」

(かれはえがおでわたしのほうをふりかえりながらつづけた。)

彼は笑顔で私の方を振り返りながら続けた。

(「たりょうのどくぶつをあつかうのでね」かれはそうはなしながらてをさしだしたので、)

「多量の毒物を扱うのでね」彼はそう話しながら手を差し出したので、

(そこらじゅうににたようなばんそうこうがはりつけられ、)

そこら中に似たようなバンソウコウが貼りつけられ、

(つよいさんでへんしょくしているぶぶんがあるのが、めにはいった。)

強い酸で変色している部分があるのが、目に入った。

(「じつははなしがあってきた」)

「じつは話があって来た」

(すたんふぉーどはせのたかいさんぼんあしのまるいすにこしをかけ、)

スタンフォードは背の高い三本足の丸椅子に腰を掛け、

など

(もうひとつのいすをあしでわたしのほうにおしだしながらいった。)

もう一つの椅子を足で私の方に押し出しながら言った。

(「こちらのゆうじんはすむところをさがしている。)

「こちらの友人は住むところを探している。

(そしてきみはやちんをしぇあするあいてがいないとこぼしていた。)

そして君は家賃をシェアする相手がいないとこぼしていた。

(そこで、ふたりをひきあわせるのがいいとおもったんだ」)

そこで、二人を引き合わせるのがいいと思ったんだ」

(ほーむずはわたしとあいべやになるのにのりきになったようにみえた。)

ホームズは私と相部屋になるのに乗り気になったように見えた。

(「べーかーがいにめをつけているへやがある」かれはいった。)

「ベーカー街に目をつけている部屋がある」彼は言った。

(「ふたりならぴったりだ。つよいたばこのにおいはきにならないか?」)

「二人ならぴったりだ。強い煙草の臭いは気にならないか?」

(「じぶんでもずっとかいぐんたばこをすっている」わたしはこたえた。)

「自分でもずっと海軍煙草を吸っている」私は答えた。

(「それはよかった。ぼくはふつうあちこちにかがくやくひんをおいていて、)

「それはよかった。僕は普通あちこちに化学薬品を置いていて、

(ときどきじっけんをする。それではこまるだろうか?」)

ときどき実験をする。それでは困るだろうか?」

(「ぜんぜんもんだいない」)

「全然問題ない」

(「そうだな・・・ぼくのけってんはほかにどんなものがあったかな?)

「そうだな・・・・僕の欠点は他にどんなものがあったかな?

(ぼくはときどき、ふさぎこみ、なんにちもくちをきかないことがある。)

僕はときどき、ふさぎ込み、何日も口をきかないことがある。

(そうなったばあいでも、きげんがわるいとおもわないでくれ。)

そうなった場合でも、機嫌が悪いと思わないでくれ。

(ほっておいてもらえれば、すぐによくなる。)

放っておいてもらえれば、すぐに良くなる。

(きみのほうは、ここではくじょうしておくことがあるかな?)

君の方は、ここで白状しておくことがあるかな?

(どうきょするまえに、いちばんわるいてんをうちあけあうのは、おたがいにいいことだ」)

同居する前に、一番悪い点を打ち明けあうのは、お互いにいいことだ」

(わたしはこのはんたいじんもんにわらいだした。「ぶるどっぐのこいぬをかっている」)

私はこの反対尋問に笑い出した。「ブルドッグの子犬を飼っている」

(わたしはいった。「しんけいがよわっているのでそうおんはきらいだ。)

私は言った。「神経が弱っているので騒音は嫌いだ。

(とんでもないじかんにおきる。そしてひじょうになまけものだ。)

とんでもない時間に起きる。そして非常に怠け者だ。

(たいちょうがよければほかにもいくつかあくしゅうがあるが、)

体調がよければ他にもいくつか悪習があるが、

(いまのところこれくらいかな」)

今のところこれくらいかな」

(「ばいおりんのえんそうはそうおんのなかにはいるかな?」)

「バイオリンの演奏は騒音の中に入るかな?」

(かれはしんぱいそうにたずねた。)

彼は心配そうにたずねた。

(「えんそうかしだいだね」わたしはこたえた。)

「演奏家次第だね」私は答えた。

(「うまいえんそうのばいおりんをきくのはむじょうのよろこびだ。)

「上手い演奏のバイオリンを聞くのは無上の喜びだ。

(へたなえんそうは・・・・・」)

下手な演奏は・・・・・」

(「ああ、それはもんだいない」かれはたのしそうにわらってさけんだ。)

「ああ、それは問題ない」彼は楽しそうに笑って叫んだ。

(「これできまりだとおもっていいな、)

「これで決まりだと思っていいな、

(もしへやがきみのきにいればだが」)

もし部屋が君の気に入ればだが」

(「いつみにいく?」)

「いつ見に行く?」

(「ここにあしたのしょうごにきてもらえないか。)

「ここに明日の正午に来てもらえないか。

(いっしょにいっててつづきをすべてすませよう」かれはこたえた。)

一緒に行って手続きをすべて済ませよう」彼は答えた。

(「けっこうだ、しょうごちょうどに」わたしはかれのてをにぎりながらいった。)

「結構だ、 正午ちょうどに」私は彼の手を握りながら言った。

(かがくやくひんのなかでしごとをしているほーむずをあとにして、)

化学薬品の中で仕事をしているホームズを後にして、

(すたんふぉーどとわたしは、わたしのほてるにむかっていっしょにあるいていった。)

スタンフォードと私は、私のホテルに向かって一緒に歩いて行った。

(「ところで」わたしはとつぜんたちどまり、)

「ところで」私は突然立ち止まり、

(すたんふぉーどのほうをむいてたずねた。)

スタンフォードの方を向いて尋ねた。

(「かれはわたしがあふがにすたんからかえってきたことを)

「彼は私がアフガニスタンから帰ってきたことを

(どうやってしったんだろう?」)

どうやって知ったんだろう?」

(すたんふぉーどはなぞめいたわらいをした。「それがかれのおもしろいところさ」)

スタンフォードは謎めいた笑いをした。「それが彼の面白いところさ」

(かれはいった。「いったいどうやってみやぶるのか、)

彼は言った。「一体どうやって見破るのか、

(みんなしりたがっているよ」)

みんな知りたがっているよ」

(「ほお、なぞなんだな?」わたしはてをこすりながらさけんだ。)

「ほお、謎なんだな?」私は手をこすりながら叫んだ。

(「これはひじょうにきょうみをそそるな。あわせてくれてほんとうにありがとう。)

「これは非常に興味をそそるな。会わせてくれて本当にありがとう。

(「にんげんがしんにけんきゅうすべきはにんげん」そうだろ」)

『人間が真に研究すべきは人間』そうだろ」

(「じゃ、きみはかれをちゅういぶかくかんさつしなければ」)

「じゃ、君は彼を注意深く観察しなければ」

(すたんふぉーどはわたしにわかれのあいさつをしながらいった。)

スタンフォードは私に別れの挨拶をしながら言った。

(「しかし、かれはなかなかてごわいときづくはずだ。)

「しかし、彼はなかなか手ごわいと気づくはずだ。

(かけてもいいが、きみがほーむずについてしるよりさきに、)

賭けてもいいが、君がホームズについて知るより先に、

(もっとほーむずがきみのことをしっているだろうな。さようなら」)

もっとホームズが君のことを知っているだろうな。さようなら」

(「さようなら」わたしはこたえた。)

「さようなら」私は答えた。

(そしてあたらしくしりあったじんぶつにわくわくしながら、)

そして新しく知り合った人物にわくわくしながら、

(じぶんのほてるまでゆっくりあるいていった。)

自分のホテルまでゆっくり歩いて行った。

(つぎのひ、やくそくどおりにまちあわせ、)

次の日、約束通りに待ち合わせ、

(ぜんじつほーむずがいっていたべーかーがい221bのへやをしたみした。)

前日ホームズが言っていたベーカー街221Bの部屋を下見した。

(いごこちのよいしんしつがふたへやあり、いまはひとへやだが、)

居心地のよい寝室が二部屋あり、居間は一部屋だが、

(なかなかりっぱなないそうで、おおきなまどがふたつあり、)

なかなか立派な内装で、大きな窓が二つあり、

(あかるくかぜとおしのよいひろいへやだった。)

明るく風通しのよい広い部屋だった。

(このかししつはどこからみてももんくのつけようがなく、)

この貸室はどこから見ても文句のつけようがなく、

(やちんもふたりではらうぶんにはてごろだったので、そのばでこうしょうがまとまり、)

家賃も二人で払う分には手頃だったので、その場で交渉がまとまり、

(ふたりとも、すぐひっこすことになった。そのひのゆうがた、)

二人とも、すぐ引っ越すことになった。その日の夕方、

(わたしはほてるからにもつをいどうし、つぎのひのあさ、)

私はホテルから荷物を移動し、次の日の朝、

(ほーむずがはこやりょこうかばんをなんこかはこびいれた。)

ホームズが箱や旅行鞄を何個か運び入れた。

(いちにちかふつか、いそがしくにもつをひろげ、)

一日か二日、忙しく荷物を広げ、

(もちものをつかいやすいばしょにならべたりしたが、それがおわると、)

持ち物を使いやすい場所に並べたりしたが、それが終わると、

(やっとおちついて、しんきょのいごこちをかんじることが)

やっと落ちついて、新居の居心地を感じることが

(できるようになってきた。)

できるようになってきた。

(ほーむずはたしかにどうきょしにくいにんげんではなかった。)

ホームズはたしかに同居しにくい人間ではなかった。

(ふだんのたいどはものしずかで、きそくただしいせいかつしゅうかんだった。)

ふだんの態度は物静かで、規則正しい生活習慣だった。

(よるじゅうじいこうにおきていることはほとんどなく、)

夜十時以降に起きていることはほとんどなく、

(わたしがおきるまえにいつもちょうしょくをおえてでかけていた。)

私が起きる前にいつも朝食を終えて出かけていた。

(いちにちじゅうかがくじっけんしつにいるときもあれば、かいぼうしつにこもることもあり、)

一日中科学実験室にいるときもあれば、解剖室にこもることもあり、

(ときにはながいさんぽにでかけた。)

ときには長い散歩に出かけた。

(いきさきはどうやらろんどんのさいかそうちくのようだった。)

行き先はどうやらロンドンの最下層地区のようだった。

(しごとのほっさがやってきたときは、かれのかつりょくにまさるものはなにもなかった。)

仕事の発作がやって来た時は、彼の活力に勝るものは何もなかった。

(しかしときどきはんどうがやってきた。そうなると、)

しかしときどき反動がやってきた。そうなると、

(かれはなんにちもずっといまのそふぁのうえにねそべり、)

彼は何日もずっと居間のソファの上に寝そべり、

(あさからばんまでみうごきもせず、じっとだまりこんでいた。こうしたきかん、)

朝から晩まで身動きもせず、じっと黙りこんでいた。こうした期間、

(かれのめはゆめでもみているようにうつろになっていた。)

彼の目は夢でも見ているようにうつろになっていた。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

水銀のタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード