緋のエチュード 33

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タグ小説 文学
シャーロックホームズシリーズ第一弾

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問題文

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(じめんをよじるようにしてすすみ、げんかんぐちからはいってきた。)

地面をよじるようにして進み、玄関口から入ってきた。

(いったんいえにはいるや、おとこはぱっとたちあがり、とびらをしめた。)

いったん家に入るや、男はパッと立ち上がり、扉を閉めた。

(おどろくのうふのまえに、けわしいかおをし、)

驚く農夫の前に、険しい顔をし、

(けついにみちたひょうじょうのじぇふぁーそんほーぷがたっていた。)

決意に満ちた表情のジェファーソン・ホープが立っていた。

(「なんと!」じょんふぇりあーはあえいだ。)

「なんと!」ジョン・フェリアーはあえいだ。

(「なんとおどかすやつだ!なぜこんなふうにはいってきた?」)

「なんと脅かす奴だ!なぜこんな風に入ってきた?」

(「たべものをくれ」ほーぷはかすれたこえでいった。)

「食べ物をくれ」ホープはかすれた声で言った。

(「48じかんのまずくわずだ」)

「48時間飲まず食わずだ」

(かれはゆうしょくごのてーぶるにまだおかれていた)

彼は夕食後のテーブルにまだ置かれていた

(ひえたにくとぱんにとびついた。そしてあらあらしくむさぼりくった。)

冷えた肉とパンに飛びついた。そして荒々しく貪り食った。

(「るーしーはくじけないでがんばっているか?」)

「ルーシーはくじけないで頑張っているか?」

(かれはくうふくがみたされたとき、こうたずねた。)

彼は空腹が満たされた時、こう尋ねた。

(「ああ。むすめはこわいものなしだ」ちちはこたえた。)

「ああ。娘は怖いものなしだ」父は答えた。

(「それはよかった。このいえはあらゆるほうこうからかんしされている。)

「それはよかった。この家はあらゆる方向から監視されている。

(おれがはいあがってきたのもそのためだ。)

俺が這い上がってきたのもそのためだ。

(ぬけめのないやつらのようだが、)

抜け目のないやつらのようだが、

(わしょーのかりうどをつかまえられるわけがない」)

ワショーの狩人を捕まえられるわけがない」

(じょんふぇりあーはいま、)

ジョン・フェリアーは今、

(かれがけんしんてきなしえんしゃをえたとしっていきかえったきがした。)

彼が献身的な支援者を得たと知って生き返った気がした。

(かれはせいねんのごつごつしたてをとり、こころをこめてつよくにぎった。)

彼は青年のゴツゴツした手を取り、心を込めて強く握った。

など

(「おまえはたのもしいおとこだ」かれはいった。)

「お前は頼もしい男だ」彼は言った。

(「わたしたちときけんとこんなんをわかちあうために、)

「私たちと危険と困難を分かち合うために、

(ここまできてくれるものなどそうそういるものではない」)

ここまで来てくれる者などそうそういるものではない」

(「うまいこというね」わかきかりうどはこたえた。)

「うまいこと言うね」若き狩人は答えた。

(「おれはあんたのことをそんけいしているが、)

「俺はあんたのことを尊敬しているが、

(もしこのいっけんにかかわっているのがあんたひとりなら、)

もしこの一件に関わっているのがあんた一人なら、

(おれはこんなめんどうなじたいにくびをつっこむのは、)

俺はこんな面倒な事態に首を突っ込むのは、

(にのあしをふんだかもしれない。おれがここにきたのはるーしーのためだ。)

二の足を踏んだかもしれない。俺がここに来たのはルーシーのためだ。

(かのじょにもしものことがあれば、ゆたのほーぷけがひとりへるだろうからな」)

彼女にもしもの事があれば、ユタのホープ家が一人減るだろうからな」

(「どうしたらいいんだ?」)

「どうしたらいいんだ?」

(「あしたがさいしゅうびだ。したがってこんやこうどうしないとおしまいだ。)

「明日が最終日だ。したがって今夜行動しないとおしまいだ。

(おれはろばとうまにとうをいーぐるきょうこくにおいてきている。)

俺はロバと馬二頭をイーグル峡谷に置いてきている。

(かねはどれくらいある?」)

金はどれくらいある?」

(「きんでにせんどる、しへいでごせんどるだ」)

「金で二千ドル、紙幣で五千ドルだ」

(「いいだろう。それにくわえておれもおなじくらいある。)

「いいだろう。それに加えて俺も同じくらいある。

(やまをこえてかーそんしてぃまでいかなければならない。)

山を越えてカーソン・シティまで行かなければならない。

(るーしーをおこすほうがいい。)

ルーシーを起こすほうがいい。

(しようにんがおなじいえにねていないのはよかった」)

使用人が同じ家に寝ていないのはよかった」

(ふぇりあーがすぐにたびにでるためにむすめをおこしにいったとき、)

フェリアーがすぐに旅に出るために娘を起こしにいった時、

(じぇふぁーそんほーぷはたべられるものを)

ジェファーソン・ホープは食べられるものを

(てあたりしだいちいさなつつみにつめこんだ。そしてけいけんじょう、)

手当たり次第小さな包みに詰め込んだ。そして経験上、

(やまのみずばはすくなくひじょうにまばらだとわかっていたので)

山の水場は少なく非常にまばらだと分かっていたので

(とうきのかめにみずをはった。かれがじゅんびをととのえるやいなや、)

陶器のカメに水を張った。彼が準備を整えるやいなや、

(のうふはむすめといっしょにきちんとふくをきて、しゅっぱつのじゅんびをととのえてもどってきた。)

農夫は娘と一緒にきちんと服を着て、出発の準備を整えて戻ってきた。

(こいびとどうしのあいさつはあたたかいがみじかかった。いっぷんがきちょうだったからだ。)

恋人同士の挨拶は暖かいが短かった。一分が貴重だったからだ。

(そしてしなければならないことはたくさんあった。)

そしてしなければならないことは沢山あった。

(「すぐにしゅっぱつしなければならない」じぇふぁーそんほーぷは、)

「すぐに出発しなければならない」ジェファーソン・ホープは、

(きけんのおおきさをみとめながらも、)

危険の大きさを認めながらも、

(それとたいけつするけついをかためたおとこのように、)

それと対決する決意を固めた男のように、

(ちいさなこえだがだんことしたくちょうでいった。)

小さな声だが断固とした口調で言った。

(「ぜんごのいりぐちはみはられている。しかしちゅういすれば、)

「前後の入り口は見張られている。しかし注意すれば、

(よこのまどからでてのはらをよこぎっていけるかのうせいがある。みちにでたら、)

横の窓から出て野原を横切っていける可能性がある。道に出たら、

(うまがまっているけいこくまでたったにまいるだ。)

馬が待っている渓谷までたった二マイルだ。

(よあけまでにさんがくちたいをはんぶんぬけているはずだ」)

夜明けまでに山岳地帯を半分抜けているはずだ」

(「もしそしされたら?」ふぇりあーはたずねた。)

「もし阻止されたら?」フェリアーは尋ねた。

(ほーぷはうわぎのまえからつきでていたけんじゅうのだいじりをぴしゃりとたたいた。)

ホープは上着の前から突き出ていた拳銃の台尻をぴしゃりと叩いた。

(「もしてにおえないくらいおおければ、)

「もし手に負えないくらい多ければ、

(に、さんにんはうんめいをともにさせてやる」かれはぶきみにわらっていった。)

二、三人は運命を共にさせてやる」彼は不気味に笑って言った。

(へやのあかりはすべてけされていた。くらいまどごしにふぇりあーは、)

部屋の明かりはすべて消されていた。暗い窓越しにフェリアーは、

(じぶんがしょゆうし、いまやえいえんにほうきしようとしているはたけをのぞきこんだ。)

自分が所有し、今や永遠に放棄しようとしている畑を覗き込んだ。

(かれはながいあいだ、これにじんせいをささげてきた。しかし、)

彼は長い間、これに人生を捧げてきた。しかし、

(むすめのめいよとしあわせをねがうこころは、うしなうざいさんにたいするみれんをうわまわった。)

娘の名誉と幸せを願う心は、失う財産に対する未練を上回った。

(さやさやとおとをたてるきと、こうだいにひろがるこくもつばたけは、)

さやさやと音を立てる木と、広大に広がる穀物畑は、

(どこまでもへいわでこうふくなふうけいにみえたので、)

どこまでも平和で幸福な風景に見えたので、

(さつじんしゃのけはいがそのぜんたいにひそんでいるのをみやぶることはむずかしかった。)

殺人者の気配がその全体に潜んでいるのを見破る事は難しかった。

(しかしわかいかりうどのあおざめたかおとこわばったひょうじょうをみれば、)

しかし若い狩人の青ざめた顔とこわばった表情を見れば、

(かれがこのいえにやってくるとき、)

彼がこの家にやってくる時、

(いやというほどきけんなめにあってきたことはあきらかだった。)

嫌と言うほど危険な目にあってきたことは明らかだった。

(ふぇりあーはきんとしへいのふくろをもち、)

フェリアーは金と紙幣の袋を持ち、

(じぇふぁーそんほーぷはとぼしいしょくりょうとみずをもち、)

ジェファーソン・ホープは乏しい食料と水を持ち、

(るーしーはわずかなきちょうひんをいれたつつみをもっていた。ひじょうにしんちょうに、)

ルーシーは僅かな貴重品を入れた包みを持っていた。非常に慎重に、

(ゆっくりとまどをあけ、かれらはくろいくもがやみをさらにこくするのをまった。)

ゆっくりと窓を開け、彼らは黒い雲が闇をさらに濃くするのを待った。

(それからひとりづつまどをぬけてちいさなにわにでた。いきをひそめみをかがめ、)

それから一人づつ窓を抜けて小さな庭に出た。息を潜め身をかがめ、

(かれらはにわをつまずきながらよこぎり、いけがきにみをひそめた。)

彼らは庭をつまずきながら横切り、生垣に身を潜めた。

(かれらはとうもろこしばたけにあいたきれめまでいけがきにそっていどうした。)

彼らはトウモロコシ畑に開いた切れ目まで生垣に沿って移動した。

(かれらがちょうどそのばしょまでついたとき、)

彼らがちょうどその場所まで着いた時、

(せいねんはふたりのどうこうしゃをつかんで、かげのなかへひきたおした。)

青年は二人の同行者をつかんで、影の中へ引き倒した。

(ふたりはそのばしょにたおれたまま、むごんでふるえていた。)

二人はその場所に倒れたまま、無言で震えていた。

(そうげんでのくんれんによって、)

草原での訓練によって、

(じぇふぁーそんほーぷがやまねこのみみをもっていたのはこううんだった。)

ジェファーソン・ホープが山猫の耳を持っていたのは幸運だった。

(さんにんは、やまふくろうのものがなしいなきごえが、)

三人は、山フクロウの物悲しい鳴き声が、

(ほんのすうやーどとはなれていないばしょからきこえるすんぜん、)

ほんの数ヤードと離れていない場所から聞こえる寸前、

(あわやというたいみんぐでしゃがみこんだ。すぐに、)

あわやというタイミングでしゃがみこんだ。すぐに、

(すこしはなれたばしょからべつのなきごえがこたえた。どうじに、)

少し離れた場所から別の鳴き声が答えた。同時に、

(かれらがもくひょうとしていたきれめからぼんやりしたくらいひとかげが、あらわれた。)

彼らが目標としていた切れ目からぼんやりした暗い人影が、現われた。

(そしてかなしげななきごえのあいずがもういちどきこえた。)

そして悲しげな泣き声の合図がもう一度聞こえた。

(これにおうじてふたりめのおとこがくらがりからあらわれた。)

これに応じて二人目の男が暗がりから現われた。

(「あしたのしんや」さいしょのおとこがいった。このおとこがしゅぼうしゃのようだった。)

「あしたの深夜」最初の男が言った。この男が首謀者のようだった。

(「ほぃっぱーうぃるよたかがさんどないたとき」)

「ホィッパーウィルヨタカが三度鳴いた時」

(「それはいいな」もうひとりがこたえた。)

「それはいいな」もう一人が答えた。

(「どればーきょうだいにいっておこうか?」)

「ドレバー兄弟に言っておこうか?」

(「つたえておけ。そしてかれからのこりのものに。きゅうからなな!」)

「伝えておけ。そして彼から残りの者に。九から七!」

(「ななからご!」もうひとりがかえした。)

「七から五!」もう一人が返した。

(そしてふたりのひとかげはべつのほうこうにあしばやにさった。かれらのさいごのことばは、)

そして二人の人影は別の方向に足早に去った。彼らの最後の言葉は、

(あきらかになんらかのあいことばとそのへんとうだ。あしおとがとおくにきえさるやいなや、)

明らかに何らかの合言葉とその返答だ。足音が遠くに消え去るや否や、

(じぇふぁーそんほーぷはぱっとたちあがり、)

ジェファーソン・ホープはぱっと立ち上がり、

(おやこがさけめをぬけるのをたすけ、ぜんそくりょくではたけをよこぎってせんどうした。)

親子が裂け目を抜けるのを助け、全速力で畑を横切って先導した。

(かれはじょせいをささえ、)

彼は女性を支え、

(たいりょくがきれたときはほとんどだきかかえるようにしてはしった。)

体力が切れた時はほとんど抱きかかえるようにして走った。

(「いそげ!いそげ」かれはときどき、あえぐようにいった。)

「急げ!急げ」彼は時々、あえぐように言った。

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