緋のエチュード 17
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問題文
(ろんどんけいしちょうのれすとれーどしとぐれっぐそんしが、)
ロンドン警視庁のレストレード氏とグレッグソン氏が、
(ふたりともこのじけんのたんとうけいじであるのはよろこばしい。)
二人共この事件の担当刑事であるのは喜ばしい。
(このちょめいなけいぶがすぐにほんじけんをかいめいすることはかくじつだと、)
この著名な警部がすぐに本事件を解明することは確実だと、
(おおきなきたいがよせられている。)
大きな期待が寄せられている。
(でいりーにゅーすはこういけんをのべた。)
デイリー・ニュースはこう意見を述べた。
(このはんざいがせいじてきなものだというのにうたがいはない。)
この犯罪が政治的なものだというのに疑いはない。
(よーろっぱのくにのせいふでいきおいをえているせんせいせいじと、)
ヨーロッパの国の政府で勢いを得ている専制政治と、
(じゆうしゅぎにたいするけんおによって、)
自由主義に対する嫌悪によって、
(もしそのせいふのもとでのだんあつによってつらいたいけんをしていなければ)
もしその政府の元での弾圧によって辛い体験をしていなければ
(すばらしいこくみんになっていたかのうせいがあるたくさんのじんみんがわがくにへと)
素晴らしい国民になっていた可能性がある沢山の人民がわが国へと
(おしよせている。これらのもののあいだではひじょうにげんかくなぎれいがあり、)
押し寄せている。これらの者の間では非常に厳格な儀礼があり、
(これらをしんがいするとしをもってばっせられる。)
これらを侵害すると死をもって罰せられる。
(ひしょのすたんがーそんのはっけんとひがいしゃのにちじょうせいかつのしょうさいのかくにんさぎょうに)
秘書のスタンガーソンの発見と被害者の日常生活の詳細の確認作業に
(ぜんりょくをつくすべきである。)
全力を尽くすべきである。
(ひがいしゃがげしゅくしていたいえのしょざいちをはっけんしたことによって、)
被害者が下宿していた家の所在地を発見したことによって、
(ひじょうにおおきなしんてんがえられた。このせいかはかんぜんに、)
非常に大きな進展が得られた。この成果は完全に、
(ろんどんけいしちょうのぐれっぐそんけいぶのせいかくさと)
ロンドン警視庁のグレッグソン警部の正確さと
(かつどうりょくにおうものである。)
活動力に負うものである。
(しゃーろっくほーむずとわたしは、ちょうしょくのとき、)
シャーロックホームズと私は、朝食の時、
(こういうきじをいっしょによんだが、かれはこれがひじょうにゆかいだったようだ。)
こういう記事を一緒に読んだが、彼はこれが非常に愉快だったようだ。
(「きみにいっただろう、なにがおきても、)
「君に言っただろう、何が起きても、
(れすとれーどとぐれっぐそんがかならずとくてんをかせぐと」)
レストレードとグレッグソンが必ず得点を稼ぐと」
(「それはけっかしだいじゃないのか?」)
「それは結果次第じゃないのか?」
(「おめでたいな。それはなんらもんだいにはならない。もしはんにんがつかまれば、)
「おめでたいな。それは何ら問題にはならない。もし犯人が捕まれば、
(かれらのほねおりのおかげだし、もしはんにんがにげおおせれば、)
彼らの骨折りのおかげだし、もし犯人が逃げおおせれば、
(かれらのほねおりにもかかわらず、だ。おもてならじぶんのかち、)
彼らの骨折りにも関らず、だ。表なら自分の勝ち、
(うらならあいてのまけだ。どうころんでもはなたばをうけとるのはかれらだ。)
裏なら相手の負けだ。どう転んでも花束を受け取るのは彼らだ。
(「ばかなやつをいつでもさらにばかなやつがほめたたえる」のさ」)
『馬鹿な奴をいつでもさらに馬鹿な奴が褒め称える』のさ」
(「いったいあれはなんだ?」わたしはこのときさけんだ。)
「いったいあれはなんだ?」私はこの時叫んだ。
(おんなしゅじんのけんおのこえとともに、たくさんのあしおとがげんかんやかいだんからきこえてきた。)
女主人の嫌悪の声と共に、沢山の足音が玄関や階段から聞こえてきた。
(「けいさつそうさかんのべーかーがいぶんたいだ」ほーむずはきびしくいった。)
「警察捜査官のベーカー街分隊だ」ホームズは厳しく言った。
(かれがこういったとき、いままでおめにかかったこともないような、)
彼がこう言った時、今までお目にかかったこともないような、
(ひじょうにうすよごれてぼろぼろのふくをきたろくにんのふろうじが、)
非常に薄汚れてボロボロの服を来た六人の浮浪児が、
(へやにどっとなだれこんできた。)
部屋にどっとなだれ込んで来た。
(「きをつけ!」ほーむずがするどいちょうしでさけんだ。)
「気をつけ!」ホームズが鋭い調子で叫んだ。
(するとろくにんのちいさなわんぱくこぞうたちは、)
すると六人の小さな腕白小僧たちは、
(こぎたないちょうぞうのようにいちれつにならんだ。)
小汚い彫像のように一列に並んだ。
(「こんごはうぃぎんずだけをほうこくによこし、ほかはとおりでまつこと。)
「今後はウィギンズだけを報告によこし、他は通りで待つこと。
(なにかみつけたか?うぃぎんず」)
何か見つけたか?ウィギンズ」
(「いいえ、だめでした」こぞうのひとりがいった。)
「いいえ、駄目でした」小僧の一人が言った。
(「まあほとんどきたいはしていなかった。)
「まあほとんど期待はしていなかった。
(しかしみつけるまでつづけるんだ。ほうしゅうだ」)
しかし見つけるまで続けるんだ。報酬だ」
(かれはひとりひとりにいちしりんぐてわたした。「さあいけ、)
彼は一人一人に一シリング手渡した。「さあ行け、
(つぎはもっといいけっかをもってこい」)
次はもっといい結果を持って来い」
(かれがてをふると、)
彼が手を振ると、
(しょうねんたちはねずみのむれのようにかいだんをぞろぞろとおりていった。)
少年たちはネズミの群れのように階段をぞろぞろと下りて行った。
(そしてとおりにでたしゅんかん、かれらがするどいこえをあげるのがきこえた。)
そして通りに出た瞬間、彼らが鋭い声を上げるのが聞こえた。
(「あのふろうしょうねんひとりのほうがけいかんじゅうににんぶんよりもせいかをあげられる」)
「あの浮浪少年一人のほうが警官十二人分よりも成果を上げられる」
(ほーむずはいった。「けいかんふうのにんげんをちょっとみかけただけで、)
ホームズは言った。「警官風の人間をちょっと見かけただけで、
(ひとはくちがかたくなる。しかしこのしょうねんたちは、どこへでもいき、)
人は口が堅くなる。しかしこの少年達は、どこへでも行き、
(なんでもきく。かれらははりのようにするどくもある。ないとすればそしきりょくだな」)
何でも聞く。彼らは針のように鋭くもある。ないとすれば組織力だな」
(「ぶりくすとんじけんできみはかれらをやとったのか?」わたしはたずねた。)
「ブリクストン事件で君は彼らを雇ったのか?」私は尋ねた。
(「そうだ。ぼくがはっきりさせたいとおもうてんがひとつある。しかしまあ、)
「そうだ。僕がはっきりさせたいと思う点が一つある。しかしまあ、
(いずれわかるだろう。おや、)
いずれ分かるだろう。おや、
(なにかあたらしいことをたいへんないきおいできかされそうだな。)
何か新しい事を大変な勢いで聞かされそうだな。
(ぐれっぐそんがみちをこちらにやってくるぞ。かおにはまんめんのえみだ。)
グレッグソンが道をこちらにやって来るぞ。顔には満面の笑みだ。
(ぼくらのところにむかっているな。まちがいない。そうだ、)
僕らのところに向かっているな。間違いない。そうだ、
(かれはたちどまりかけている。さあきたぞ!」)
彼は立ち止まりかけている。さあ来たぞ!」
(べるのおとがはげしくとどろいた。すうびょうご、)
ベルの音が激しくとどろいた。数秒後、
(きんぱつのたんていがかいだんをさんだんとばしでかけあがり、)
金髪の探偵が階段を三段飛ばしで駆け上がり、
(わたしたちのいまにとびこんできた。)
私たちの居間に飛び込んで来た。
(「ほーむずさん」かれはほーむずのむはんのうなてをしっかりにぎってさけんだ。)
「ホームズさん」彼はホームズの無反応な手をしっかり握って叫んだ。
(「よろこんでください!じけんをかんぜんにかいけつしました」)
「喜んでください!事件を完全に解決しました」
(ほーむずのひょうじょうゆたかなかおにふあんのかげがよぎったようにみえた。)
ホームズの表情豊かな顔に不安の影がよぎったように見えた。
(「いいてがかりをつかんだといういみかね?」かれはたずねた。)
「いい手がかりをつかんだと言う意味かね?」彼は尋ねた。
(「いいてがかり!とんでもない、はんにんをつかまえました」)
「いい手がかり!とんでもない、犯人を捕まえました」
(「で、そのおとこのなまえは?」)
「で、その男の名前は?」
(「あーさーしゃるぱんてぃえ、かいぐんふくちゅうい」)
「アーサー・シャルパンティエ、海軍副中尉」
(ぐれっぐそんはほこらしげにふといてをすりあわせて)
グレッグソンは誇らしげに太い手を擦りあわせて
(むねをはりながらさけんだ。)
胸を張りながら叫んだ。
(しゃーろっくほーむずはあんどのためいきをもらし、)
シャーロックホームズは安堵の溜息をもらし、
(ほっとしてえがおがこぼれた。)
ほっとして笑顔がこぼれた。
(「すわってくれ。このはまきをいっぽんやって」かれはいった。)
「座ってくれ。この葉巻を一本やって」彼は言った。
(「きみがどうやったかぜひききたい。うぃすきーのみずわりをのむか?」)
「君がどうやったか是非聞きたい。ウィスキーの水割りを飲むか?」
(「わるくないですね」けいぶはこたえた。「ここいちにちふつか、)
「悪くないですね」警部は答えた。「ここ一日二日、
(とんでもないほねおりをけいけんしましたので、くたくたです。)
とんでもない骨折りを経験しましたので、くたくたです。
(にくたいてきなひろうは、せいしんてきなきんちょうほどにはきつくはありませんがね。)
肉体的な疲労は、精神的な緊張ほどにはきつくはありませんがね。
(ごりかいいただけるとおもいますが、しゃーろっくほーむずさん、)
ご理解いただけると思いますが、シャーロックホームズさん、
(われわれはおたがいずのうろうどうしゃですからね」)
我々はお互い頭脳労働者ですからね」
(「それはたいへんこうえいだな」ほーむずはいかめしくいった。)
「それは大変光栄だな」ホームズはいかめしく言った。
(「きみがそのさいこうによろこばしいけっかにとうたつしたけいいをきかせてくれ」)
「君がその最高に喜ばしい結果に到達した経緯を聞かせてくれ」
(けいぶはひじかけいすにすわり、まんぞくそうにはまきをふかした。)
警部は肘掛け椅子に座り、満足そうに葉巻を吹かした。
(それからとつぜん、かれはたのしくてがまんできないというようにももをたたいた。)
それから突然、彼は楽しくて我慢できないというように腿を叩いた。
(「ゆかいなのは」かれはさけんだ。「ばかなれすとれーどですよ。)
「愉快なのは」彼は叫んだ。「馬鹿なレストレードですよ。
(かれはじぶんをかしこいとおもっているが、)
彼は自分を賢いと思っているが、
(かんぜんにまちがったほうこうにいってしまった。)
完全に間違った方向に行ってしまった。
(かれはひしょのすたんがーそんをおいかけています。)
彼は秘書のスタンガーソンを追いかけています。
(かれはこのじけんにたいして、おなかのなかのあかんぼうとおなじようにむのうだった。)
彼はこの事件に対して、お腹の中の赤ん坊と同じように無能だった。
(いまごろ、まちがいなくひしょをたいほしているんでしょうな」)
今頃、間違いなく秘書を逮捕しているんでしょうな」
(このかんがえがそうとうおもしろかったらしく、)
この考えが相当面白かったらしく、
(ぐれっぐそんはいきがつまるまでわらった。)
グレッグソンは息が詰まるまで笑った。
(「それで、きみはどのようにしててがかりをつかんだんだ?」)
「それで、君はどのようにして手がかりをつかんだんだ?」
(「ああ、これからぜんぶおはなししますよ。もちろん、わとそんせんせい、)
「ああ、これから全部お話しますよ。もちろん、ワトソン先生、
(これはほんとうにこうがいしないでくださいよ。まずたいへんだったのは、)
これは本当に口外しないでくださいよ。まず大変だったのは、
(このあめりかじんのけいれきをどうやってしらべるかということでした。)
このアメリカ人の経歴をどうやって調べるかという事でした。
(こうこくにといあわせがあるとか、)
広告に問い合わせがあるとか、
(かんけいしゃがなのりでてじはつてきにじょうほうをていきょうするまでまつ、)
関係者が名乗り出て自発的に情報を提供するまで待つ、
(というにんげんもいるでしょうが、)
という人間もいるでしょうが、
(それはとびあすぐれっぐそんのしごとのすすめかたではない。)
それはトビアス・グレッグソンの仕事の進め方ではない。
(あなたはしんだおとこのそばにあったぼうしをおぼえていますか?」)
あなたは死んだ男の側にあった帽子を覚えていますか?」