『赤とんぼ』新美南吉2【完】

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プレイ回数455難易度(4.5) 2731打 長文
赤とんぼ目線のひと夏の楽しくも悲しい話
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

↓のURLからの続きですので、未プレイの方はプレイしてから
こちらのタイピングをしてください
https://typing.twi1.me/game/294754

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問題文

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(あかとんぼは、ほっとしてそらへとびあがりました。)

赤とんぼは、ホッとして空へ飛び上がりました。

(よいおじょうちゃんだな、とおもいながら。そらはまっさおにはれています。)

良いお嬢ちゃんだな、と思いながら。空は真っ青に晴れています。

(どこまでもすんでいます。あかとんぼは、まどにはねをやすめて、)

どこまでも澄んでいます。赤とんぼは、窓に羽を休めて、

(しょせいさんのおはなしにみみをかたむけています。かわいいおじょうちゃんとおなじように。)

書生さんのお話に耳をかたむけています。可愛いお嬢ちゃんと同じように。

(「それからね、そのとんぼは、おこっておおぐものやつにくいかかりました。)

「それからね、そのとんぼは、怒って大蜘蛛の奴に食いかかりました。

(くいつかれたおおぐもは、いたいいたい、たすけてくれってね、)

食いつかれた大蜘蛛は、痛い痛い、助けてくれってね、

(おおごえにさけんだのですよ。するとでてきたわでてきたわ、ちいさなくもが、)

大声に叫んだのですよ。すると出てきたわ出てきたわ、小さな蜘蛛が、

(くものようにでてきました。けれども、とんぼはもともとつよいんですから、)

雲のように出てきました。けれども、とんぼは元々強いんですから、

(かたっぱしからくもにくいついて、とうとういっぴきのこらずころしてしまいました。)

片っ端から蜘蛛に食いついて、とうとう一匹残らず殺してしまいました。

(ほっとしてそのとんぼが、じぶんのすがたをみると、これはまあどうでしょう。)

ホッとしてそのとんぼが、自分の姿を見ると、これはまあどうでしょう。

(くものちが、まっかについているじゃありませんか。)

蜘蛛の血が、真っ赤についているじゃありませんか。

(さあたいへんだって、とんぼはいずみへとんでいって、からだをあらいました。)

さあ大変だって、とんぼは泉へ飛んで行って、体を洗いました。

(が、あかいちはちっともとれません。で、かみさまにおねがいしてみると、)

が、赤い血はちっともとれません。で、神様にお願いしてみると、

(おまえはつみのないくもをたくさんころしたから、そのたたりでそんなになったんだと、)

お前は罪の無い蜘蛛を沢山殺したから、その祟りでそんなになったんだと、

(しかられてしまいました。そのとんぼがいまのあかとんぼなんですよ。)

叱られてしまいました。そのとんぼが今の赤とんぼなんですよ。

(だから、あかとんぼはよくないとんぼです」しょせいさんのおはなしはおわりました。)

だから、赤とんぼは良くないとんぼです」書生さんのお話は終わりました。

(わたしは、そんなひどいことをしたおぼえはないがと、)

私は、そんな酷いことをした覚えはないがと、

(あかとんぼがくびをひねってかんがえましたとき、おじょうちゃんがおおごえでさけびました。)

赤とんぼが首をひねって考えました時、お嬢ちゃんが大声で叫びました。

(「うそだうそだ、やまだのおはなしは、みんなうそだよ。あんなかわいらしいあかとんぼが、)

「嘘だ嘘だ、山田のお話は、みんな嘘だよ。あんな可愛らしい赤とんぼが、

(そんなひどいことをするなんて、くものあかいちだなんてみんなうそだよ」)

そんな酷いことをするなんて、蜘蛛の赤い血だなんてみんな嘘だよ」

など

(あかとんぼは、ほんとうにうれしくおもいました。)

赤とんぼは、本当に嬉しく思いました。

(れいのしょせいさんは、かおをあかくしていってしまいました。)

例の書生さんは、顔を赤くして行ってしまいました。

(まどからはなれてあかとんぼは、おじょうちゃんのかたにつかまりました。)

窓から離れて赤とんぼは、お嬢ちゃんの肩につかまりました。

(「まあ、あたしのあかとんぼ。かわいいあかとんぼ」)

「まあ、あたしの赤とんぼ。可愛い赤とんぼ」

(おじょうちゃんのひとみは、くろくすんでいました。)

お嬢ちゃんの瞳は、黒く澄んでいました。

(あつかったなつは、いつのまにかすぎさってしまいました。)

暑かった夏は、いつの間にか過ぎ去ってしまいました。

(あさがおはかきねにまきついたまま、しおれました。)

朝顔は垣根に巻ついたまま、しおれました。

(すずむしがすずしいこえでなくようになりました。)

鈴虫が涼しい声で鳴くようになりました。

(きょうもあかとんぼは、おじょうちゃんにあいにやってきました。)

今日も赤とんぼは、お嬢ちゃんに会いにやってきました。

(あかとんぼは、ちょっとびっくりしました。)

赤とんぼは、ちょっとびっくりしました。

(それは、いつもあいているまどが、ぜんぶしまっているからです。)

それは、いつもあいている窓が、全部閉まっているからです。

(どうしたのかしらと、あかとんぼがかんがえたとき、)

どうしたのかしらと、赤とんぼが考えた時、

(げんかんからだれかとびだしてきました。おじょうちゃんです。)

玄関から誰かとび出してきました。お嬢ちゃんです。

(あのかわいいおじょうちゃんです。けれども、きょうのおじょうちゃんは、)

あの可愛いお嬢ちゃんです。けれども、今日のお嬢ちゃんは、

(かなしいかおつきでした。そして、このべっそうへはじめてきたときかぶっていた、)

悲しい顔つきでした。そして、この別荘へ初めて来た時かぶっていた、

(あかいりぼんのぼうしをつけ、きれいなふくをきていました。)

赤いリボンの帽子をつけ、きれいな服を着ていました。

(あかとんぼはいつものようにとんでいって、おじょうちゃんのかたにとまりました。)

赤とんぼはいつものように飛んでいって、お嬢ちゃんの肩にとまりました。

(「あたしのあかとんぼ。かわいいあかとんぼ。)

「あたしの赤とんぼ。可愛い赤とんぼ。

(あたし、とうきょうへかえるのよ、もうおわかれよ」)

あたし、東京へ帰るのよ、もうお別れよ」

(おじょうちゃんは、ちいさくほそいこえでなくようにいいました。)

お嬢ちゃんは、小さく細い声で泣くように言いました。

(あかとんぼはかなしくなりました。じぶんもおじょうちゃんといっしょに)

赤とんぼは悲しくなりました。自分もお嬢ちゃんと一緒に

(とうきょうへいきたいなとおもいました。そのとき、おじょうちゃんのおかあさんと、)

東京へ行きたいなと思いました。その時、お嬢ちゃんのお母さんと、

(あかとんぼにいたずらをしたしょせいさんが、でてまいりました。)

赤とんぼにいたずらをした書生さんが、出てまいりました。

(「ではまいりましょう」ぜんいんあるきだしました。)

「ではまいりましょう」全員歩きだしました。

(あかとんぼは、やがておじょうちゃんのかたをはなれて、かきねのたけのさきにうつりました。)

赤とんぼは、やがてお嬢ちゃんの肩を離れて、垣根の竹の先に移りました。

(「あたしのあかとんぼよ、さようなら」)

「あたしの赤とんぼよ、さようなら」

(かわいいおじょうちゃんは、なんどもふりかえっていいました。)

可愛いお嬢ちゃんは、何度も振り返って言いました。

(けれどとうとう、ぜんいんのすがたはみえなくなってしまったのです。)

けれどとうとう、全員の姿は見えなくなってしまったのです。

(もう、これからは、このいえはあきやになるのかなあかとんぼは、)

もう、これからは、この家は空家になるのかな赤とんぼは、

(しずかにくびをかたむけました。)

静かに首をかたむけました。

(さびしいあきのゆうがたなど、あかとんぼは、おばなのほさきにとまって、)

さびしい秋の夕方など、赤とんぼは、おばなの穂先にとまって、

(あのかわいいおじょうちゃんをおもいだしています。)

あの可愛いお嬢ちゃんを思い出しています。

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