『いいなずけ』アンデルセン1
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問題文
(こまとまりが、ほかのおもちゃのあいだにまじって、)
コマとマリが、ほかのオモチャのあいだに混じって、
(おなじひきだしのなかにはいっていました。)
同じ引き出しの中に入っていました。
(あるとき、こまがまりにむかっていいました。)
あるとき、コマがマリに向かって言いました。
(「ねえ、おんなじひきだしのなかにいるんだから、)
「ねえ、おんなじ引き出しの中にいるんだから、
(ぼくのいいなずけになってくれない」)
ぼくのいいなずけになってくれない」
(けれども、まりはもろっこがわのきものをきていて、)
けれども、マリはモロッコ革の着物を着ていて、
(じぶんはじょうひんなおじょうさんのつもりでいましたから、)
自分は上品なお嬢さんのつもりでいましたから、
(そんなもうしでにはへんじもしませんでした。)
そんな申し出には返事もしませんでした。
(そのつぎのひ、おもちゃのもちぬしのちいさなおとこのこがきました。)
その次の日、オモチャの持ち主の小さな男の子が来ました。
(おとこのこは、こまにあかいいろや、きいろいいろをぬりつけて、)
男の子は、コマに赤い色や、黄色い色を塗りつけて、
(そのまんなかに、しんちゅうのくぎをいっぽん、うちこみました。)
その真ん中に、しんちゅうのクギを一本、打ち込みました。
(こまが、ぶんぶんまわりだすと、とてもきれいにみえました。)
コマが、ブンブン回りだすと、とてもきれいに見えました。
(「ぼくをみてよ」と、こまはまりにいいました。)
「ぼくを見てよ」と、コマはマリに言いました。
(「ねえ、このすがたなら、どうかな。いいなずけにならないかい。)
「ねえ、この姿なら、どうかな。いいなずけにならないかい。
(ぼくたち、とてもにあっているとおもうよ。)
ぼくたち、とても似合っていると思うよ。
(きみがはねて、ぼくがおどる。)
きみが跳ねて、ぼくが踊る。
(きっと、ぼくたちふたりは、だれよりもしあわせになれるよ」)
きっと、ぼくたち二人は、誰よりも幸せになれるよ」
(「まあ、そうかしら」と、まりがいいました。)
「まあ、そうかしら」と、マリが言いました。
(「でも、よくって。あたしのおとうさんとおかあさんは、)
「でも、よくって。あたしのお父さんとお母さんは、
(もろっこがわのすりっぱだったのよ。)
モロッコ革のスリッパだったのよ。
(それに、あたしのからだのなかには、こるくがはいっているのよ」)
それに、あたしの体の中には、コルクが入っているのよ」
(「そんなことをいえば、ぼくだってまほがにーのきで)
「そんなことを言えば、ぼくだってマホガニーの木で
(できているんだよ」と、こまがいいました。)
出来ているんだよ」と、コマが言いました。
(「それも、しちょうさんが、ろくろだいをもっているもんだから、)
「それも、市長さんが、ろくろ台を持っているもんだから、
(じぶんで、ぼくをつくってくれたんだよ。とっても、ごきげんでね」)
自分で、ぼくを作ってくれたんだよ。とっても、ご機嫌でね」
(「そう。でも、ほんとにそうかしら」と、まりがいいました。)
「そう。でも、ほんとにそうかしら」と、マリが言いました。
(「もし、これがうそだったら、ぼくはひもでうってもらえなくなったって、)
「もし、これが嘘だったら、ぼくはヒモで打ってもらえなくなったって、
(しかたがないよ」と、こまはこたえました。)
仕方がないよ」と、コマは答えました。
(「あなた、ずいぶんおくちがうまいのね」と、まりはいいました。)
「あなた、ずいぶんお口がうまいのね」と、マリは言いました。
(「でも、だめだわ。あたし、つばめさんとはんぶんこんやくしたのもおんなじなのよ。)
「でも、だめだわ。あたし、ツバメさんと半分婚約したのもおんなじなのよ。
(だって、あたしがたかくはねあがると、)
だって、あたしが高く跳ね上がると、
(そのたびに、つばめさんたら、すのなかからあたまをだして、)
その度に、ツバメさんたら、巣の中から頭を出して、
(「どうなの。どうなの」ってきくんですもの。)
「どうなの。どうなの」って聞くんですもの。
(それで、あたしこころのなかで、「ええ、いいわ」っていってしまったの。)
それで、あたし心の中で、「ええ、いいわ」って言ってしまったの。
(だから、はんぶんこんやくしたようなものでしょ。)
だから、半分婚約したようなものでしょ。
(でも、あなたのことは、けっしてわすれないわ。あたし、おやくそくしてよ」)
でも、あなたのことは、決して忘れないわ。あたし、お約束してよ」
(「うん、それだけでいいや」と、こまはいいました。)
「うん、それだけでいいや」と、コマは言いました。
(そしてふたりのはなしは、それきり、おわってしまいました。)
そして二人の話は、それきり、終わってしまいました。
(あくるひ、まりはそとへつれていかれました。)
あくる日、マリは外へ連れていかれました。
(こまがみていると、まりはとりのようにそらたかくはねあがりました。)
コマが見ていると、マリは鳥のように空高く跳ね上がりました。
(しまいには、みえないくらい、たかくはねあがりましたが、)
しまいには、見えないくらい、高く跳ね上がりましたが、
(でも、そのたびにもどってきました。そして、じめんにさわったかとおもうと、)
でも、その度に戻ってきました。そして、地面にさわったかと思うと、
(すぐまた、たかくとびあがるのでした。そんなにたかくはねあがるのは、)
すぐまた、高く跳び上がるのでした。そんなに高く跳ね上がるのは、
(まりがそうしたいと、あこがれていたからかもしれません。)
マリがそうしたいと、憧れていたからかもしれません。
(でなければ、からだのなかにこるくがはいっていたためかもしれません。)
でなければ、体の中にコルクが入っていたためかもしれません。
(けれども、きゅうかいめにとびあがったとき、まりは、どこかへいってしまって、)
けれども、九回目に跳び上がったとき、マリは、どこかへ行ってしまって、
(それきりもどってきませんでした。おとこのこは、いっしょうけんめいさがしましたが、)
それきり戻ってきませんでした。男の子は、一生懸命探しましたが、
(どうしてもみつかりませんでした。)
どうしても見つかりませんでした。