降霊実験-1-
下記URLのタイピングにて、本作品の実投稿者のウニ様による、
お詫びと訂正のタイピングを作成しておりますので、
本タイピングを行われる前にご一読ください。
■雨音-お詫びと訂正-
https://typing.twi1.me/game/302395
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | j | 5036 | B+ | 5.4 | 93.5% | 1080.4 | 5841 | 400 | 100 | 2024/10/10 |
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問題文
(だいがくいちねんめのgwごろからぼくはあるねっとじょうのふぉーらむに)
大学一年目のGWごろから僕はあるネット上のフォーラムに
(よくかおをだしていた。じもとのおかるとずきがあつまるところで、)
よく顔を出していた。地元のオカルト好きが集まる所で、
(しんやでもつねにひとがいてけっこうせいきょうだった。つゆもなかばというころに)
深夜でも常に人がいて結構盛況だった。梅雨も半ばというころに
(そこで「こうれいじっけん」をしようというはなしがもちあがった。じょうれんのひとたちは)
そこで「降霊実験」をしようという話が持ち上がった。常連の人たちは
(もうなんどかやっているそうで、おふでのこうりゅうもあるらしかった。)
もう何度かやっているそうで、オフでの交流もあるらしかった。
(おかるとにはまりつつあったぼくはなんとかなかまにはいりたくて)
オカルトにはまりつつあった僕はなんとか仲間に入りたくて
(「いれていれて。いつでもふりー。ちょうひま」とあぴーるしまくって)
「入れて入れて。いつでもフリー。超ひま」とアピールしまくって
(okがでた。ちゅうしんになっていたkokoさんというじょせいが)
okがでた。中心になっていたkokoさんという女性が
(かのじょいわくれいばいたいしつなのだそうで、かのじょがなかまをあつめて)
彼女曰く霊媒体質なのだそうで、彼女が仲間を集めて
(こうれいおふをよくやっていたそうである。ひにちがきまったが、つごうがつくひとが)
降霊オフをよくやっていたそうである。日にちが決まったが、都合がつく人が
(すくなくてkokoみかっちきょうすけぼくというめんばーになった。)
少なくてkoko みかっち 京介 僕というメンバーになった。
(にんずうはすくないがさんにんともじょうれんだったので、「いいっしょー?」)
人数は少ないが3人とも常連だったので、「いいっしょー?」
(もちろんいぞんはなかったが、ぼくはしんいりのくせにあるひとをつれていきたくて)
もちろん異存はなかったが、僕は新入りのくせにある人を連れて行きたくて
(うずうずしていた。それはぼくのさーくるのせんぱいでぼくのおかるとどうの)
うずうずしていた。それは僕のサークルの先輩で僕のオカルト道の
(ししょうであり、れいばいたいしつでこそないがいわゆる「みえる」ひとだった。)
師匠であり、霊媒体質でこそないがいわゆる「見える」人だった。
(このひとのすごさにしんすいしつつあったぼくはおふのめんばーにじまんしたかったのだ。)
この人の凄さに心酔しつつあった僕はオフのメンバーに自慢したかったのだ。
(しかしししょうにいこうとくどいてもがんとしてくびをたてにふらない。)
しかし師匠に行こうと口説いても頑として首を縦に振らない。
(めんどくさい。ばかばかしい。こもりなんぞできん。)
めんどくさい。ばかばかしい。子守りなんぞできん。
(ぼくはなんとかせっとくしようとくわしいせつめいをしていたら、kokoさんのなまえを)
僕はなんとか説得しようと詳しい説明をしていたら、kokoさんの名前を
(だしたところでししょうのたいどがかわった。「やめとけ」というのである。)
出した所で師匠の態度が変わった。「やめとけ」というのである。
(なぜですか、とおどろくと「こわいめにあうぞ」くちっぷりからするとしっているひとの)
なぜですか、と驚くと「怖い目にあうぞ」口振りからすると知っている人の
(ようだったが、こっちはこわいめにあいたくてさんかするのである。)
ようだったが、こっちは怖い目にあいたくて参加するのである。
(「まあ、とにかくおれはいかん。なにがおきてもしらんが、いきたきゃいけ」)
「まあ、とにかく俺は行かん。何が起きてもしらんが、行きたきゃ行け」
(ししょうはそれいじょうなにもおしえてくれなかったが、ししょうのおすみつきという、)
師匠はそれ以上なにも教えてくれなかったが、師匠のお墨付きという、
(おもわぬところからのおふのたのしみがでてきた。)
思わぬ所からのオフの楽しみが出てきた。
(とうじつしないのふぁみれすでまちあわせをした。)
当日市内のファミレスで待ち合わせをした。
(そこでゆうしょくをたべながらおかるとだんぎにはなをさかせ、)
そこで夕食を食べながらオカルト談義に花を咲かせ、
(いいじかんになったらかいじょうであるkokoさんのまんしょんにいどう)
いい時間になったら会場であるkokoさんのマンションに移動
(というだんどりだった。kokoさんはきれいなひとだったが、)
という段取りだった。kokoさんは綺麗な人だったが、
(よくようのないしゃべりかたといいきみのわるいいんしょうをうけた。みかっちさんは)
抑揚のないしゃべり方といい気味の悪い印象をうけた。みかっちさんは
(よくしゃべるじょせいで、kokoさんはときどきそれにあいづちをこっくりうつというかんじだ。)
よく喋る女性で、kokoさんは時々それに相槌をこっくり打つという感じだ。
(おどろいたことにふたりともぼくのだいがくのせんぱいだった。)
驚いたことに2人とも僕の大学の先輩だった。
(「きょーすけはばいとあるから、あとでちょくせつうちにくるよ」)
「キョースケはバイトあるから、あとで直接ウチにくるよ」
(とkokoさんがいった。ぼくはなんとなくこいびとどうしなのかなあ、とおもった。)
とkokoさんがいった。僕はなんとなく恋人どうしなのかなあ、と思った。
(そしてよるのじゅういちじをまわるころみかっちさんのくるまでさんにんでまんしょんに)
そして夜の11時を回るころみかっちさんの車で3人でマンションに
(むかった。きょうすけさんからさらにおくれるというれんらくがはいり、)
向かった。京介さんからさらに遅れるという連絡が入り、
(もうはじめようということになった。ぼくはがぜんどきどきしはじめた。)
もう始めようということになった。僕は俄然ドキドキしはじめた。
(kokoさんはまんしょんのいっしつをかんぜんにめばりし、いっさいのひかりが)
kokoさんはマンションの一室を完全に目張りし、一切の光が
(はいらないようにしていた。こっくりさんならなんどもやったけれど、)
入らないようにしていた。こっくりさんなら何度もやったけれど、
(こんなほんかくてきなものははじめてだ。こうれいじっけんともいうが、)
こんな本格的なものははじめてだ。交霊実験ともいうが、
(こうれいじっけんとはつまりれいをじんたいにおろすのである。まっくらなへやにはいると、)
降霊実験とはつまり霊を人体に降ろすのである。真っ暗な部屋にはいると、
(ぽっとろうそくのひがともった。「でははじめます」)
ポッと蝋燭の火が灯った。「では始めます」
(kokoさんのひょうじょうからいっさいのかんじょうらしきものがきえた。)
kokoさんの表情から一切の感情らしきものが消えた。
(「きょうははじめてのひとがいるのでせつめいしておきますが、これからなにが)
「今日は初めての人がいるので説明しておきますが、これから何が
(おこってもけっしてさわがず、こころをへいせいにたもってください。)
起こっても決して騒がず、心を平静に保ってください。
(こころのみだれはかならずよくないけっかをまねきます」kokoさんはたんたんとしゃべった。)
心の乱れは必ず良くない結果を招きます」kokoさんは淡々と喋った。
(みかっちさんもおしだまっている。ぼくはないしんのふあんをかくそうと、)
みかっちさんも押し黙っている。僕は内心の不安を隠そうと、
(こっくりさんののりで「まどはあけなくてもいいんですか?」といってみた。)
こっくりさんのノリで「窓は開けなくてもいいんですか?」と言ってみた。
(kokoさんはのうめんのようなかおでぼくをにらむとささやいた。「まどはれいたいにとって)
kokoさんは能面のような顔で僕を睨むと囁いた。「窓は霊体にとって
(けっかいではありません。とおりぬけることをさまたげることはないのです。)
結界ではありません。通りぬけることを妨げることはないのです。
(しかしこれからおこなうことはわたしのからだをおりにすること。)
しかしこれから行なうことは私の体を檻にすること。
(うまくとじこめられればいいのですが、まんがいち・・・」)
うまく閉じこめられればいいのですが、万が一・・・・」
(そこでくちをつぐんだ。ぼくはやりかえされたわけだ。)
そこで口をつぐんだ。僕はやりかえされたわけだ。
(にげだしたくなるくらいしんぞうがなりだした。しかしもうあともどりはできない。)
逃げ出したくなるくらい心臓が鳴り出した。しかしもう後戻りはできない。
(こうれいじっけんがはじまった。ぼくはいわれるままにめをとじた。)
降霊実験が始まった。僕は言われるままに目を閉じた。
(ろうそくのひがあかくぼんやりとまぶたにうつっている。どこからともなく)
蝋燭の火が赤くぼんやりと瞼にうつっている。どこからともなく
(kokoさんのこえがきこえる。「・・・ここはあなたのへやです。)
kokoさんの声が聞こえる。「・・・ここはあなたの部屋です。
(みおぼえのあるてんじょう。まどのそとのけしき。・・・さあおきあがって)
見覚えのある天井。窓の外の景色。・・・さあ起き上がって
(みてください。のびをして、たつ。・・・するとしかいがたかくなりました。)
みてください。伸びをして、立つ。・・・すると視界が高くなりました。
(あたりをみまわします。・・・とびらがめにはいりました。あなたは)
あたりを見まわします。・・・扉が目に入りました。あなたは
(へやのそとにでようとしています」これは。あれではないだろうか。)
部屋の外に出ようとしています」これは。あれではないだろうか。
(めをつぶってあたまのなかでじぶんのいえをめぐるという。)
目をつぶって頭の中で自分の家を巡るという。
(そしてそのとちゅうでもしも・・・というしんりげーむだ。)
そしてその途中でもしも・・・という心理ゲームだ。
(はじめるちょくぜんにkokoさんがいったことばがあたまをかすめた。)
始める直前にkokoさんがいった言葉が頭をかすめた。
(「ふつうはれいばいにおりたあと、のこりのひとがしつもんをするというけいしきです。)
『普通は霊媒に降りた後、残りの人が質問をするという形式です。
(しかしわたしのやりかたでは、あなたがたにも<ちょくせつ>あってもらいます」)
しかし私のやりかたでは、あなた方にも<直接>会ってもらいます』
(ぼくはじたいをのみこめた。きょうふしんはさいこうちょうだったが、こんなきかいはめったにない。)
僕は事態を飲みこめた。恐怖心は最高潮だったが、こんな機会はめったにない。
(しずまれしんぞう。しずまれしんぞう。)
鎮まれ心臓。鎮まれ心臓。
(ぼくはいめーじのなかへぼっとうしていった。)
僕はイメージの中へ没頭していった。
(く。というへんなこえがしてkokoさんがからだをふるわせるけはいがあった。)
く。という変な声がしてkokoさんが体を震わせる気配があった。
(「てをつないでください。わに」めをとじたままてさぐりでぼくらはてをつないだ。)
「手を繋いでください。輪に」目を閉じたまま手探りで僕らは手を繋いだ。
(ふっというおととともにろうそくのほてりがまぶたからきえ、かんぜんなくらやみが)
フッという音とともに蝋燭の火照りが瞼から消え、完全な暗闇が
(おりてきた。かすかなこえがする。)
降りてきた。かすかな声がする。
(「・・・あなたはへやをでます。ろうかでしょうか。きっちんでしょうか。)
「・・・あなたは部屋をでます。廊下でしょうか。キッチンでしょうか。
(いつもとかわりない、みなれたこうけいです。あなたはじゅうぶんみまわしたあと、)
いつもと変わりない、見なれた光景です。あなたは十分見まわしたあと、
(つぎのとびらをさがします・・・」ぼくはいめーじのなかでげしゅくではなく、)
次の扉を探します・・・」僕はイメージのなかで下宿ではなく、
(じっかのじしつにいた。すべてがりあるにおもいえがける。ろうかをすすみ、)
実家の自室にいた。すべてがリアルに思い描ける。廊下を進み、
(りょうしんのしんしつをあけた。まどからひかりがさしこんでいる。)
両親の寝室を開けた。窓から光が射し込んでいる。
(たたみにてりかえしてぼくはめをほそめる。ぼくはかいだんをおりはじめた。きしきしきしむおと。)
畳に照り返して僕は目を細める。僕は階段を降り始めた。キシキシ軋む音。
(てすりのかんしょく。すぐひだりてにふすまがある。きゃくまだ。いつもあまどをおろし、)
手すりの感触。すぐ左手に襖がある。客間だ。いつも雨戸を降ろし、
(ひるまでもくらい。ぼくはこどものころここがにがてだった。かすかなこえがする。)
昼間でも暗い。僕は子供の頃ここが苦手だった。かすかな声がする。
(「・・・あなたはあるきながらさがします。・・・いつもとちがうところは)
「・・・あなたは歩きながら探します。・・・いつもと違うところは
(ないか。・・・いつもとちがうところはないか」いつもとちがうところはないか。)
ないか。・・・いつもと違うところはないか」いつもと違うところはないか。
(ぼくはきゃくまのでんきをつけた。まんなかのたたみのうえにきりとられたてくびがおちていた。)
僕は客間の電気をつけた。真ん中の畳の上に切り取られた手首がおちていた。
(ぼくはいきをのんだ。にんげんのみぎてくび。きりくちからちがしたたってたたみをくろくそめていた。)
僕は息を飲んだ。人間の右手首。切り口から血が滴って畳を黒く染めていた。
(このへやにいてはいけない。ぼくはきびすをかえしてへやをとびだした。)
この部屋にいてはいけない。僕は踵を返して部屋を飛び出した。
(ろうかをつっきり、いっかいのいまにとびこんだ。)
廊下を突っ切り、1階の居間に飛びこんだ。
(だいにんぐのてーぶるのうえにあしくびがころがっていた。ぼくはあとずさる。)
ダイニングのテーブルの上に足首がころがっていた。僕はあとずさる。
(まずい。しっぱいだ。このれいは、やばい。もうげんかいだ。ぼくはめをあけようとした。)
まずい。失敗だ。この霊は、やばい。もう限界だ。僕は目を明けようとした。
(ひらかなかった。ぼくはさけんだ。「だしてくれ!」)
開かなかった。僕は叫んだ。「出してくれ!」
(だがそのこえはだれもいないいまにひびくだけだった。)
だがその声は誰もいない居間に響くだけだった。
(ぼくははしった。いえのかってぐちにぼくのくつがあった。)
僕は走った。家の勝手口に僕の靴があった。
(はくよゆうもなく、どあをひねる。だがおそうがひこうがひらかない。)
履く余裕もなく、ドアをひねる。だが押そうが引こうが開かない。
(「だしてくれ!」どあをりょうてではげしくたたいた。)
「出してくれ!」ドアを両手で激しく叩いた。
(どこからともなくかすかなこえがする。)
どこからともなくかすかな声がする。
(しかしそれはもうききとれない。ぼくはげんかんのほうへはしった。)
しかしそれはもう聞き取れない。僕は玄関の方へ走った。
(とちゅうでなにかにつまずいてころんだ。いたい。いたい。ほんとうにいたい。)
途中で何かにつまずいて転んだ。痛い。痛い。本当に痛い。
(つまづいたものをよくみると、りょうてあしのないにんげんのどうたいだった。)
つまづいたものをよく見ると、両手足のない人間の胴体だった。
(げんかんのとびらのゆうびんうけがかたんとひらいた。なにかがすきまからでてこようとしていた。)
玄関の扉の郵便受けがカタンと開いた。何かが隙間からでてこようとしていた。
(ぼくはここでしぬ。そんなよかんがした。そのときちゃいむのおとがなった。)
僕はここで死ぬ。そんな予感がした。そのときチャイムの音が鳴った。