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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5184 B+ 5.3 97.3% 749.7 3997 110 73 2024/09/27
2 Shion 3071 E++ 3.1 96.4% 1243.9 3969 148 73 2024/10/03

関連タイピング

問題文

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(だいがくにかいせいのはるだったとおもう。)

大学2回生の春だったと思う。

(おれのかよっていただいがくにはだいしょうすうじゅうのさーくるのぶしつがはいっている)

俺の通っていた大学には大小数十のサークルの部室が入っている

(さんかいだてのさーくるとうがあった。)

3階建てのサークル棟があった。

(ここではがくせいによる、あるていどのじちけんがまもられ、)

ここでは学生による、ある程度の自治権が守られ、

(24じかんかいほうというゆめのようなくうかんがあった。)

24時間開放という夢のような空間があった。

(24じかんというからには24じかんなわけで、あさまでぶしつで)

24時間というからには24時間なわけで、朝まで部室で

(てつやまーじゃんをしておいて、そこからこうぎとうにむかい、)

徹夜マージャンをしておいて、そこから講義棟に向かい、

(じゅぎょうちゅうたっぷりねてからぶしつにもどってきてまたまーじゃんなどという)

授業中たっぷり寝てから部室に戻ってきてまたマージャンなどという

(がくせいのかがみのようなせいかつもできた。よるにさーくるとうにいると、)

学生の鑑のような生活も出来た。夜にサークル棟にいると、

(そこかしこのへやからしゅえんのかんせいやら、まーじゃんぱいをまぜるおとやら、)

そこかしこの部屋から酒宴の歓声やら、マージャン牌を混ぜる音やら、

(てれびげーむのでんしおんなどがきこえてくる。)

テレビゲームの電子音などが聞こえてくる。

(どこからともなくらくごもきこえてきたりする。)

どこからともなく落語も聞こえてきたりする。

(それがへいじつきゅうじつのべつなく、ときにはよどおしつづくのだ。)

それが平日休日の別なく、時には夜通し続くのだ。

(あるよるである。いきなりみみをつんざくひめいがきこえた。)

ある夜である。いきなり耳をつんざく悲鳴が聞こえた。

(しょだいすーぱーまりおのたいむあたっくをえんえんとやっていたおれは、)

初代スーパーマリオのタイムアタックを延々とやっていた俺は、

(こんとろーらーをにぎったままぶしつのなかをみまわす。)

コントローラーを握ったまま部室の中を見回す。

(すうにんのさーくるなかまがおもいおもいのことをしている。だれもむはんのうだった。)

数人のサークル仲間が思いおもいのことをしている。誰も無反応だった。

(「いま、ひめいがきこえませんでした」ときいたがまんがをよんでいたせんぱいが)

「今、悲鳴が聞こえませんでした」と聞いたが漫画を読んでいた先輩が

(かおをあげて「え?」といっただけだった。きのせいか、ともおもえない。)

顔を上げて「エ?」と言っただけだった。気のせいか、とも思えない。

(さーくるとうすべてにひびきわたるようなすごいこえだったから。)

サークル棟すべてに響き渡るような凄い声だったから。

など

(そしてそのしょうこに、まだしんぞうのあたりがつめたくなっているなかんかくがあり、)

そしてその証拠に、まだ心臓のあたりが冷たくなっているな感覚があり、

(とりはだがうっすらとたってさえいる。)

鳥肌がうっすらと立ってさえいる。

(ぶしつのすみにいたせんぱいがかためをつぶったのを、おれはみのがさなかった。)

部室の隅にいた先輩が片目をつぶったのを、俺は見逃さなかった。

(そのしゅんかんにおれはなにがおこったのかわかったきがした。)

その瞬間に俺は何が起こったのか分かった気がした。

(そのせんぱいのそばによって、「なんなんですかさっきの」とささやく。)

その先輩のそばに寄って、「なんなんですかさっきの」と囁く。

(おれのおかるとのししょうだ。)

俺のオカルトの師匠だ。

(このひとだけがはんのうしたということは、そういうことなのだろう。)

この人だけが反応したということは、そういうことなのだろう。

(「きこえたのか」というのでうなずくと「むしむし」といってごろんとねころがった。)

「聞こえたのか」と言うので頷くと「無視無視」と言ってゴロンと寝転がった。

(きになる。)

気になる。

(あんなおおきなこえなのに、あるひとにはきこえてあるひとにはきこえないなんて、)

あんな大きな声なのに、ある人には聞こえてある人には聞こえないなんて、

(ふつうではない。おれはたちあがり、せいしんをとぎすましてひめいの)

普通ではない。俺は立ち上がり、精神を研ぎ澄まして悲鳴の

(きこえてきたほうがくをさぐりながらぶしつのどあをあけた。)

聞こえてきた方角を探りながら部室のドアを開けた。

(ししょうがなにかいうかとおもったが、ねころがったままかおもあげなかった。)

師匠がなにか言うかと思ったが、寝転がったまま顔も上げなかった。

(どあからでて、きたないろうかをすすむ。)

ドアから出て、汚い廊下を進む。

(かくさーくるのとうばんせいでそうじはしているはずなのだが、ながねんつみかさなった)

各サークルの当番制で掃除はしているはずなのだが、長年積み重なった

(ちりやらごみやらげろやらなみだやらで、どうしようもなくすすけている。)

塵やら芥やらゲロやら涙やらで、どうしようもなく煤けている。

(よなかのいちじをまわろうかというじかんなのにろうかのさゆうにならぶおおくのぶしつの)

夜中の1時を回ろうかという時間なのに廊下の左右に並ぶ多くの部室の

(どあからはひかりがもれ、きせいやわらいごえがきこえる。)

ドアからは光が漏れ、奇声や笑い声が聞こえる。

(だれもどあからかおをだして、ひめいのしょうたいをうかがうようなひとはいない。)

誰もドアから顔を出して、悲鳴の正体をうかがうような人はいない。

(そのなかを、たしかにきこえたひめいのざんさいのようなものをおってあるいた。)

その中を、確かに聞こえた悲鳴の残滓のようなものを追って歩いた。

(そしてあるかいのはしにいちするくうかんへとあしをふみいれたしゅんかん、)

そしてある階の端に位置する空間へと足を踏み入れた瞬間、

(せすじになにかがはいあがるようなかんかくがはしった。)

背筋になにかが這い上がるような感覚が走った。

(やたらくらいいっかくだった。てんじょうのでんとうがきれている。)

やたら暗い一角だった。天井の電灯が切れている。

(もとからなのか、それともさっきのひめいとかんけいがあるのかはわからない。)

もとからなのか、それともさっきの悲鳴と関係があるのかは分からない。

(いずれにしてもひとけのないろうかがやみのなかにのびていた。)

いずれにしてもひとけのない廊下が闇の中に伸びていた。

(はいごからさすとおくのあかりと、とおくのひとのざわめきがそのくらさ、)

背後から射す遠くの明かりと、遠くの人のざわめきがその暗さ、

(しずけさをきわだたせていた。かすかなみみなりがして、おれは)

静けさを際立たせていた。かすかな耳鳴りがして、俺は

(「ここだ」というかんかくをつよくする。このあたりにはなにの)

「ここだ」という感覚を強くする。このあたりには何の

(さーくるがあっただろうとかんがえながらあしおとをけしながらほをすすめていると、)

サークルがあっただろうと考えながら足音を消しながら歩を進めていると、

(いちばんおくのぶしつのどあのまえにひとがたっているのにきがついた。)

一番奥の部室のドアの前に人が立っているのに気がついた。

(むこうもきづいたようで、こちらをふりかえった。)

向こうも気づいたようで、こちらを振り返った。

(うすぐらいなかをおそるおそるちかづくと、それはかみのながいじょせいで、)

薄暗い中を恐る恐る近づくと、それは髪の長い女性で、

(ふあんげともなんともつかないようすでたっているのだった。)

不安げともなんともつかない様子で立っているのだった。

(「どうしたんですか」)

「どうしたんですか」

(とこえをころしてきくと、かのじょはなにかがてんしたようにうなずいた。)

と声を殺して聞くと、彼女はなにか合点したように頷いた。

(たぶん、かのじょもはんのうしたのだ。)

たぶん、彼女も反応したのだ。

(ばかさわぎするふやじょうのなかでわずかなひとにしかきこえなかったひめいに。)

バカ騒ぎする不夜城のなかでわずかな人にしか聞こえなかった悲鳴に。

(かおいろをうかがうが、くらさのせいでひょうじょうまではわからない。)

顔色を伺うが、暗さのせいで表情まではわからない。

(「おれも、きこえました」なかまであることをかくにんしたくてそういった。)

「俺も、聞こえました」仲間であることを確認したくてそう言った。

(「ここだとおもいますけど」)

「ここだと思いますけど」

(じょせいのかぼそいこえがそうこたえて、おれはしせんのさきのどあをみた。)

女性のかぼそい声がそう答えて、俺は視線の先のドアを見た。

(ぷれーとがないので、なにのさーくるかはわからない。)

プレートがないので、何のサークルかはわからない。

(あたまのなかでさーくるのはいちずをおもいうかべるが、このあたりには)

頭の中でサークルの配置図を思い浮かべるが、この辺りには

(ふだんようもないのでもやがかかったようにみえてこない。)

普段用もないので靄がかかったように見えてこない。

(どあのしたのすきまからはあかりももれておらず、なかはむじんのようだったが、)

ドアの下の隙間からは明かりも漏れておらず、中は無人のようだったが、

(びくびくしながらどあにみみをくっつけてみる。なにもきこえない。)

ビクビクしながらドアに耳をくっつけてみる。なにも聞こえない。

(じつづきになっているとおくのへやでだれかがとびはねているようなしんどうを)

地続きになっている遠くの部屋で誰かが飛び跳ねているような振動を

(かすかにかんじるだけだった。あたまをどあからはなすと、むだとしりつつ)

かすかに感じるだけだった。頭をドアから離すと、無駄と知りつつ

(のぶをにぎった。かちゃっとおとがして、わずかにどあがうごいた。)

ノブを握った。 カチャっと音がして、わずかにドアが動いた。

(おどろいておもわずとびずさる。ひらく。かぎがかかっていない。このどあはひらく。)

驚いて思わず飛びずさる。開く。カギが掛かっていない。このドアは開く。

(あとずさるおれにあわせてじょせいもかべぎわまでさがっている。)

後ずさる俺に合わせて女性も壁際まで下がっている。

(しんおんがおちつくまでまってから「どうします」とこごえでいうと、)

心音が落ち着くまで待ってから「どうします」と小声で言うと、

(かのじょはくびをよこにふった。おびえているのだろうか。しかしさろうともしない。)

彼女は首を横に振った。おびえているのだろうか。しかし去ろうともしない。

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