田舎 中編-2-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5428 B++ 5.5 97.2% 961.2 5369 151 93 2024/10/08

関連タイピング

問題文

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(おもわずちいさいころよくやった「やっほー」というこえをあげたくなる。)

思わず小さいころよくやった「ヤッホー」という声をあげたくなる。

(そしてなつかしいおじのいえが、ささやかないしがきのなかのひろいしきちに、)

そして懐かしい伯父の家が、ささやかな石垣の中の広い敷地に、

(むかしのままでたっていた。それはこどものころは、「おばあちゃんのいえ」だった。)

昔のままで立っていた。それは子供のころは、「おばあちゃんの家」だった。

(こうこういちねんせいのときにそぼがなくなるまでは。そのときのたいざいは、そうしきのために)

高校1年生の時に祖母が亡くなるまでは。その時の滞在は、葬式のために

(あわただしくすぎてしまって、あまりいんしょうがない。)

慌しく過ぎてしまって、あまり印象が無い。

(「へぇへぇ」とつかれたようなこえをだして、りゅうがあしもとをとおりすぎようとした。)

「ヘェヘェ」と疲れたような声を出して、リュウが足元を通り過ぎようとした。

(がしっとつかまえて、かおをりょうてでぐりぐりともむ。)

ガシッと捕まえて、顔を両手でグリグリと揉む。

(「こらおまえ、そうしきんときもいたか?」)

「こらおまえ、葬式ン時もいたか?」

(されていることにまったくかんしんがないようすで、)

されていることに全く関心が無い様子で、

(なにもいわずにされるがままになっている。「あらあらあら」)

何も言わずにされるがままになっている。「あらあらあら」

(というかんだかいこえとともに、いえのげんかんからふきんでてをふきながら)

という甲高い声とともに、家の玄関から布巾で手を拭きながら

(おばがでてきた。そのあとは、ひさしぶりにあったしんせきのこどもにたいする)

伯母が出てきた。その後は、久しぶりに会った親戚の子どもに対する

(ごくいっぱんてきなやりとりがつづき、つれのなかまたちのしょうかいをおえて、)

ごく一般的なやりとりが続き、連れの仲間たちの紹介を終えて、

(ようやくおれはおじのいえのたたみのうえにしりをおちつけた。)

ようやく俺は伯父の家の畳の上に尻を落ち着けた。

(「みんなおひるはたべたが?」というおばのことばにうなずくと、)

「みんなお昼は食べたが?」という伯母の言葉に頷くと、

(「じゃあばんごはんはごちそうにしちゃおき、からだでもうごかしてきぃ」といわれた。)

「じゃあ晩御飯はご馳走にしちゃおき、体でも動かしてきぃ」と言われた。

(それにてきとうにへんじをし、あてがわれたへやににもつをおくと、)

それに適当に返事をし、あてがわれた部屋に荷物を置くと、

(とりあえずだいのじになって、しゃないでずっとまげっぱなしだったあしを)

とりあえず大の字になって、車内でずっと曲げっぱなしだった足を

(おもうぞんぶんのばす。さすがにいなかのいえはひろい。きおくのなかではもっとひろかった。)

思う存分伸ばす。さすがに田舎の家は広い。記憶の中ではもっと広かった。

(にかいだてのそのいえは、おおむかしにみんしゅくをしていたというだけあって、)

2階建てのその家は、大昔に民宿をしていたというだけあって、

など

(へやのかずもおおい。おれたちよにんぜんいんにひとへやずつあてがっても)

部屋の数も多い。俺たち4人全員に一部屋ずつあてがっても

(じゅうぶんたりたのだろうが、おとこにおんなにということでふたへやを)

十分足りたのだろうが、男2女2ということでふた部屋を

(まがりすることにした。「ひろれぇー」といいながらししょうとふたりで)

間借りすることにした。「広れェー」と言いながら師匠と二人で

(ごろごろころがったあとで、ろうかをへだてたおんなべやをのぞいた。)

ゴロゴロ転がったあとで、廊下を隔てた女部屋を覗いた。

(ふすまのすきまにかためをあてながら、「おい」「どっちがひろい」)

襖の隙間に片目を当てながら、「おい」「どっちが広い」

(「おい、こっちのへやよりひろいか」などというししょうのこえを)

「おい、こっちの部屋より広いか」などという師匠の声を

(せなかでうけながしていると、いきなりなかからあらわれたきょうすけさんに)

背中で受け流していると、いきなり中から現れた京介さんに

(「しね」といわれながらどつかれた。すごすごとへやにもどると)

「死ね」と言われながらドツかれた。すごすごと部屋に戻ると

(げんかんのほうからわかいおとこのこえがきこえた。でていくと、きんじょにすむしんせきの)

玄関の方から若い男の声が聞こえた。出て行くと、近所に住む親戚の

(ゆきおだった。かおをみるとなつかしさがこみあげてくる。)

ユキオだった。顔を見ると懐かしさがこみ上げてくる。

(こどものころはなつやすみにこのいえへやってくるたびにあそんだものだ。)

子供のころは夏休みにこの家へやってくるたびに遊んだものだ。

(どうしてる、ときくと「やくばで、しがないこうむいんじゃ」と、)

どうしてる、と聞くと「役場で、しがない公務員じゃ」と、

(はにかんだようにわらう。そういえばたしかおれよりふたつとしうえだった。)

はにかんだように笑う。そういえばたしか俺より2つ歳上だった。

(「じゃ、いまはひるやすみじゃき、またばんにでもよるわ」)

「じゃ、今は昼休みじゃき、また晩にでも寄るわ」

(ゆきおはそういっていえにもあがらずにすくーたーにまたがった。)

ユキオはそう言って家にも上がらずにスクーターにまたがった。

(どうやらしごとにもどったおじが、みちですれちがいざまに)

どうやら仕事に戻った伯父が、道ですれ違いざまに

(おれがきてることをはなしたらしい。とけいをみると、15じを)

俺が来てることを話したらしい。時計を見ると、15時を

(だいぶまわっている。ずいぶんとおおらかなひるやすみだ。)

だいぶ回っている。ずいぶんと大らかな昼休みだ。

(「さあ、これからどうしましょうか」よにんであつまって、なにをするかはなしあった。)

「さあ、これからどうしましょうか」4人で集まって、何をするか話し合った。

(じっとしているとせなかにあせがういてくる。)

じっとしていると背中に汗が浮いてくる。

(おとこべやはまどをおおきくあけはなち、くーらーなどつけていない。)

男部屋は窓を大きく開け放ち、クーラーなどつけていない。

(「らしき」ものはあるが、すいっちをおしてもはんのうはなかった。)

「らしき」ものはあるが、スイッチを押しても反応はなかった。

(「およぎにいきましょう」というおれのいけんに、ぜんいんがさんせいした。)

「泳ぎに行きましょう」という俺の意見に、全員が賛成した。

(りょこうにたつまえにあらかじめ、みずのきれいなかわがあるからおよげるような)

旅行に発つ前にあらかじめ、水の綺麗な川があるから泳げるような

(じゅんびをしておいてくださいとつたえてあったので、いちもにもない。)

準備をしておいてくださいと伝えてあったので、一も二もない。

(すこしやまをくだるので、おじのいえのくるまをかりた。)

少し山を下るので、伯父の家の車を借りた。

(むかうさきにきがえるばしょがないので、へやでみずぎにきがえ、)

向かう先に着替える場所がないので、部屋で水着に着替え、

(ふくをはおってでかけることにした。)

服を羽織って出かけることにした。

(ししょうがきたときとはべつのしろいばんのはんどるをにぎり、ほかのさんにんがのりこむ。)

師匠が来た時とは別の白いバンのハンドルを握り、他の3人が乗り込む。

(せみのこえのなかをくるまははしり、くねくねとやまみちをおりていくと)

蝉の声の中を車は走り、くねくねと山道を下りていくと

(やがていっけんのいえのまえにでた。「ここにとめてください」)

やがて一軒の家の前に出た。「ここに止めてください」

(かわのちかくにはくるまをとめられそうなところがない。)

川の近くには車を止められそうなところがない。

(いつもこのいえのしきちのはしをかりてとめさせてもらっていた。)

いつもこの家の敷地の端を借りてとめさせてもらっていた。

(くるまをおりた。あつい。むすわけではなかったが、とにかくひざしがつよかった。)

車を降りた。暑い。蒸すわけではなかったが、とにかく日差しが強かった。

(さんだるにはきかえたあしがきもちいい。ほそうもされていないいなかみちを、)

サンダルに履き替えた足が気持ちいい。舗装もされていない田舎道を、

(「つぎあついっていったやつばっきん」などといいあいながらあるいていると、)

「次暑いって言ったヤツ罰金」などと言い合いながら歩いていると、

(それなりになかまらしくみえるのだからふしぎだ。)

それなりに仲間らしく見えるのだから不思議だ。

(ついすうじかんまえに、「どうしてこいつがいるのか」とししょうときょうすけさん、)

つい数時間前に、「どうしてコイツがいるのか」と師匠と京介さん、

(ともにけんかごしだったのをわすれそうになる。)

ともに喧嘩腰だったのを忘れそうになる。

(わりとねちっこいししょうにたいして、さっぱりしているきょうすけさんの)

わりとねちっこい師匠に対して、さっぱりしている京介さんの

(おとなのたいおうがそうこうしているようにおもえた。)

大人の対応が奏功しているように思えた。

(みとおしのいいよつじにさしかかったとき、)

見通しのいい四つ辻に差し掛かったとき、

(ふいにおれのまえをあるいていたきょうすけさんが「あつっ」といってしゃがみこんだ。)

ふいに俺の前を歩いていた京介さんが「アツッ」と言ってしゃがみこんだ。

(ししょうがうれしそうに「いまあついっていった?あついっていった?」)

師匠が嬉しそうに「今暑いって言った? 暑いって言った?」

(といいながらふりかえる。「いってない」)

と言いながら振り返る。「言ってない」

(きょうすけさんはすぐたちあがり、みぎあしをきにしながら、)

京介さんはすぐ立ち上がり、右足を気にしながら、

(なんでもないとてをふってみせる。cocoさんがどうしたのときき、)

なんでもないと手を振ってみせる。CoCoさんがどうしたのと聞き、

(きょうすけさんはあるきはじめながら「なにかふんだかも」とこたえる。)

京介さんは歩き始めながら「何か踏んだかも」と答える。

(そんなやりとりのあと、すうふんとかからずにかわにたどりついた。)

そんなやりとりのあと、数分とかからずに川に辿り着いた。

(やまにかこまれたけいこくのなかに、ひんやりとしたすいめんがきらきらとかがやいている。)

山に囲まれた渓谷の中に、ひんやりとした水面がキラキラと輝いている。

(むかしとちっともかわらない、すんだみずだった。)

昔とちっとも変わらない、澄んだ水だった。

(からからにかわいたおおきないわのうえにふくとさんだるをほうりなげ、)

カラカラに乾いた大きな岩の上に服とサンダルを放り投げ、

(かいぱんすがたになってたまじゃりのあさせにそろそろとあしをひたす。つめたい。)

海パン姿になって玉砂利の浅瀬にそろそろと足を浸す。冷たい。

(でもきもちがいい。ゆっくりとこしまでつかって、かわのながれをはだでかんじる。)

でも気持ちがいい。ゆっくりと腰まで浸かって、川の流れを肌で感じる。

(ししょうはというと、じゅんびうんどうもそこそこにいきなりとびこんで)

師匠はというと、準備運動もそこそこにいきなり飛び込んで

(はやくもすいすいとおよいでいる。じょせいじんのふたりはみずべでさわがにをみつけたらしく、)

早くもスイスイと泳いでいる。女性陣の二人は水辺で沢ガニを見つけたらしく、

(しばらくうろうろとあしのさきをぬらすだけだったが、)

しばらくウロウロと足の先を濡らすだけだったが、

(おれがかたまでつかるころ、ようやくはおっていたふくをぬぎみずぎすがたになって)

俺が肩まで浸かるころ、ようやく羽織っていた服を脱ぎ水着姿になって

(かわのなかにはいってきた。かりゅうのほうからはでなくろーるでもどってきたししょうが、)

川の中に入って来た。下流の方から派手なクロールで戻って来た師匠が、

(ひざまでつかったじょせいふたりのまえでとまり、すいちゅうからくびだけをだして「うーん」と)

膝まで浸かった女性二人の前で止まり、水中から首だけを出して「うーん」と

(うなったあとでcocoさんのほうにむかってみぎてでしりぞけるしぐさをした。)

唸ったあとでCoCoさんの方に向かって右手で退ける仕草をした。

(「もうすこし、はなれたほうがいい」そのことばをきいてきょとんとしたあと、)

「もう少し、離れたほうがいい」その言葉を聞いてきょとんとした後、

(cocoさんはおもむろにとなりのきょうすけさんのほうをみあげて、)

CoCoさんはおもむろに隣の京介さんの方を見上げて、

(ついであしもとまでみおろし、しばいがかったようすでうんうんとうなずいてから、)

ついで足元まで見下ろし、芝居がかった様子でうんうんと頷いてから、

(どういういみだこらというようなことをいってししょうにむかってみずをけりあげた。)

どういう意味だコラというようなことを言って師匠に向かって水を蹴り上げた。

(そのあとしばらくよにんいりみだれてのみずのかけあいがつづいた。)

そのあとしばらく4人入り乱れての水の掛け合いが続いた。

(やがておれはつかれてかわからあがり、あついいわのうえに)

やがて俺は疲れて川からあがり、熱い岩の上に

(たっぷりみずをかけてさましてからすわりこむ。)

たっぷり水をかけて冷ましてから座り込む。

(ほかのさんにんはきもちよさそうに、ふかさのあるかりゅうのあたりをおよぎまわっている。)

他の3人は気持ちよさそうに、深さのある下流のあたりを泳ぎ回っている。

(おれもおよげたらなあ、とおもう。かんぜんなかなづちというわけではないが、)

俺も泳げたらなあ、と思う。完全なカナヅチというわけではないが、

(あしがつかないところへはこわくてとてもいけない。)

足がつかないところへは怖くてとても行けない。

(おぼれる、というきょうふかんというよりは、あしがつかないばしょそのものにたいする)

溺れる、という恐怖感というよりは、足がつかない場所そのものに対する

(せんざいてきなきょうふしんなのだろう。)

潜在的な恐怖心なのだろう。

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