『カラー』アンデルセン1
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | BE | 4128 | C | 4.4 | 92.9% | 657.6 | 2937 | 222 | 63 | 2024/10/29 |
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問題文
(あるところに、ひとりのりっぱなしんしがおりました。)
ある所に、一人の立派な紳士がおりました。
(このしんしはくつぬぎと、それにくしをひとつ、もっていました。)
この紳士は靴ぬぎと、それにクシを一つ、持っていました。
(それが、このひとのもちもののぜんぶだったのです。)
それが、この人の持ち物の全部だったのです。
(そのかわり、このしんしは、せかいでいちばんきれいなからーをもっていました。)
そのかわり、この紳士は、世界で一番きれいなカラーを持っていました。
(このからーというのは、ようふくのえりのなまえです。)
このカラーというのは、洋服の襟の名前です。
(そして、このおはなしは、このからーについてのおはなしなんですよ。)
そして、このお話は、このカラーについてのお話なんですよ。
(さて、からーはとしごろになりましたので、ぼちぼちけっこんしたいとおもいました。)
さて、カラーは年頃になりましたので、ぼちぼち結婚したいと思いました。
(するとあるとき、ぐうぜんせんたくもののなかで、くつしたどめにであいました。)
するとある時、ぐうぜん洗濯物の中で、靴下止めに出会いました。
(「これは、これは」と、からーはいいました。)
「これは、これは」と、カラーは言いました。
(「いままでわたしは、あなたのようにすらりとじょうひんで、しかもつつしみぶかくて、)
「今まで私は、あなたのようにすらりと上品で、しかも慎み深くて、
(きれいなかたを、みたことがありません。)
きれいなかたを、見たことがありません。
(おなまえをうかがってもよろしいですか」)
お名前を伺ってもよろしいですか」
(「もうしあげられませんわ」と、くつしたどめはいいました。)
「申しあげられませんわ」と、靴下止めは言いました。
(「どちらにおすまいですか」と、からーはたずねました。)
「どちらにお住まいですか」と、カラーは尋ねました。
(けれどもくつしたどめは、ひどくはずかしがりやだったものですから、)
けれども靴下止めは、ひどく恥ずかしがり屋だったものですから、
(そんなことにこたえるのは、なんだかおかしなきがしました。)
そんなことに答えるのは、なんだかおかしな気がしました。
(「あなたは、きっとおびなんですね」と、からーはいいました。)
「あなたは、きっと帯なんですね」と、カラーは言いました。
(「それもきもののしたにしめるおびなんでしょう。)
「それも着物の下にしめる帯なんでしょう。
(あなたがじっさいやくにもたち、かざりにもなることは、)
あなたが実際役にも立ち、飾りにもなることは、
(ぼくにだってちゃあんとわかりますよ。かわいいおじょうさん」)
ぼくにだってちゃあんと分かりますよ。かわいいお嬢さん」
(「あたしにはなしかけないでください」と、くつしたどめはいいました。)
「あたしに話しかけないでください」と、靴下止めは言いました。
(「あなたにおはなしするきっかけをあげたつもりはありませんわ」)
「あなたにお話するきっかけをあげたつもりはありませんわ」
(「とんでもない、あなたのようにおきれいならば」と、からーはいいました。)
「とんでもない、あなたのようにおきれいならば」と、カラーは言いました。
(「きっかけなんて、じゅうぶんありますよ」)
「きっかけなんて、充分ありますよ」
(「あんまり、そばへよらないでくださいな」と、くつしたどめはいいました。)
「あんまり、そばへ寄らないでくださいな」と、靴下止めは言いました。
(「あなたって、ずいぶんずうずうしそうですもの」)
「あなたって、ずいぶん図々しそうですもの」
(「ぼくは、これでもりっぱなしんしですよ」と、からーはいいました。)
「ぼくは、これでも立派な紳士ですよ」と、カラーは言いました。
(「ぼくは、くつぬぎや、くしをもっているんですからね」)
「ぼくは、靴ぬぎや、クシを持っているんですからね」
(といっても、これはほんとうのことではありません。)
と言っても、これは本当のことではありません。
(くつぬぎや、くしをもっているのは、からーのごしゅじんなんですからね。)
靴ぬぎや、クシを持っているのは、カラーのご主人なんですからね。
(からーはうそをついたのでした。)
カラーはウソをついたのでした。
(「そばへこないでください」と、くつしたどめはいいました。)
「そばへ来ないでください」と、靴下止めは言いました。
(「あたし、こういうことになれていないんですもの」)
「あたし、こういうことに馴れていないんですもの」
(「このきどりやめ」と、からーはいいました。)
「この気取りやめ」と、カラーは言いました。
(そのとき、からーはせんたくもののなかからとりだされました。)
そのとき、カラーは洗濯物の中から取り出されました。
(そして、のりをつけられて、いすのうえでひにあてられました。)
そして、のりをつけられて、椅子の上で陽にあてられました。
(それから、あいろんだいのうえにねかされました。)
それから、アイロン台の上に寝かされました。
(するとそこへ、あついあいろんがやってきました。)
するとそこへ、熱いアイロンがやってきました。
(「おくさん」と、からーはいいました。)
「奥さん」と、カラーは言いました。
(「かわいいみぼうじんのおくさん。ぼくは、すっかりあつくなりましたよ。)
「かわいい未亡人の奥さん。ぼくは、すっかり熱くなりましたよ。
(もう、みちがえるようになりました。)
もう、見違えるようになりました。
(しわもなくなって、こんなにきれいになりました。)
シワもなくなって、こんなにきれいになりました。
(おまけに、やけあなまでつくってくれましたね。うう、あつい。)
おまけに、焼け穴まで作ってくれましたね。うう、熱い。
(ぼくはあなたに、けっこんをもうしこみますよ」)
ぼくはあなたに、結婚を申しこみますよ」
(「ふん、ぼろきれのくせに」と、あいろんはいって、)
「ふん、ボロキレのくせに」と、アイロンは言って、
(からーのうえを、いばってとおっていきました。)
カラーの上を、いばって通っていきました。
(それというのも、このあいろんはものすごくうぬぼれがつよくて、)
それというのも、このアイロンは物凄くうぬぼれが強くて、
(じぶんではきしゃをひっぱるきかんしゃのようなつもりでいたからです。)
自分では汽車を引っぱる機関車のようなつもりでいたからです。
(からーのへりがすこしすりきれました。)
カラーのへりが少し擦り切れました。
(そこでこんどは、かみきりばさみがやってきて、)
そこで今度は、紙きりばさみがやってきて、
(そのすりきれたところをきりとろうとしました。)
その擦り切れた所を切り取ろうとしました。
(「おや、おや」と、からーはいいました。)
「おや、おや」と、カラーは言いました。
(「あなたはたしかに、いちりゅうのおどりこですね。)
「あなたは確かに、一流の踊り子ですね。
(まあ、なんてあしがよくのびるんでしょう。)
まあ、なんて足がよく伸びるんでしょう。
(こんなにうつくしいものは、まだいちどもみたことがありません。)
こんなに美しいものは、まだ一度も見たことがありません。
(どんなひとも、あなたのまねはできませんよ」)
どんな人も、あなたの真似は出来ませんよ」
(「そんなことくらい、しっているわ」と、はさみはいいました。)
「そんなことくらい、知っているわ」と、はさみは言いました。
(「あなたははくしゃくふじんになっても、りっぱなものですよ」と、)
「あなたは伯爵夫人になっても、立派なものですよ」と、
(からーはいいました。「ぼくがもっているのは、りっぱなしんしとくつぬぎと、)
カラーは言いました。「ぼくが持っているのは、立派な紳士と靴ぬぎと、
(くしだけです。これに、はくしゃくりょうがありさえすれば、いいんですがねえ」)
クシだけです。これに、伯爵領がありさえすれば、いいんですがねえ」
(「あら、けっこんをもうしこんでいるのね」と、はさみはいいました。)
「あら、結婚を申しこんでいるのね」と、はさみは言いました。
(はさみは、すっかりおこってしまったので、そのいきおいで、)
はさみは、すっかり怒ってしまったので、その勢いで、
(ついおおきくきりすぎてしまいました。)
つい大きく切りすぎてしまいました。