カモミール（全てわたしの時です。）

(さびれたどうろにいた、)

寂れた道路に居た、

(うつめかしさをまとったくらいきえい。)

鬱めかしさをまとった暗い機影。

(どこかみすごせなくて、)

どこか見過ごせなくて、

(かたくつめたいうでをひいてみた。)

固く冷たい腕を引いてみた。

(ともにたつひびにうかぶのは、)

共に立つ日々に浮かぶのは、

(ふあんでしょうか？)

不安でしょうか？

(まよいでしょうか？)

迷いでしょうか？

(はじめはなかったはずのものを、)

はじめはなかった筈のモノを、

(たがいがたがいにおもうようで。)

互いが互いに想う様で。

(ただすくいたかったの、)

唯救いたかったの、

(ただすくいたかったの。)

（只救いたかったの。）

(おもてもうらもないってしんじてよ。)

表も裏もないって信じてよ。

(こうすることしかできないの。)

（こうすることしかできないの。）

(おたがいさまでしょうか、)

お互い様でしょうか、

(しめいからにげつづけた。)

（使命から逃げ続けた。）

(わたしもあなたをしんじられずいる。)

私もあなたを信じられずいる。

(しんじてほしいわがままで。)

（信じて欲しい我儘で。）

(わたしのそんざいいぎなんて、)

わたしの存在意義なんて、

(にげさったことばのいみは、)

（逃げ去った言葉の意味は、）

(わからずじまい。)

分からずじまい。

(わからなくていい。)

分からなくていい。

(なぜか、きづけばここにいた。)

何故か、気付けば此処に居た。

(あめをかきわけたどりついた、)

（雨をかき分け辿り着いた、）

(そのばしょはおなじさびれたみちで。)

その場所は同じ寂れた道で。

(あなたのかたにふれようとした、)

あなたの肩に触れようとした、

(いしきのそとでなにがおきて、)

（意識の外で何が起きて、）

(わたしはつよくはねのけられた。)

私は強く跳ね除けられた。

(わたしはなにを。)

（わたしは何を。）

(つめたいめでみていたあなたは、)

冷たい目で見ていたあなたは、

(しこうかいろはしょせん、)

（思考回路は所詮、）

(さからおうとしていたの？)

逆らおうとしていたの？

(つくりものなのですか。)

（造りモノなのですか。）

(わたしのまんなかをつきさして、)

私の真ん中を突き刺して、

(わたしは、にげることは、)

（わたしは、逃げる事は、）

(あめのあおとまざるあかしぶき。)

雨の青と混ざる赤飛沫。

(ゆるされないのですか。)

（許されないのですか。）

(さいごのときにかんじたのは、)

最後の刻に感じたのは、

(さつりつということば。)

（殺戮と云う言葉。）

(あなたのなだつぶでした。)

あなたの涙粒でした。

(わたしはめをひらく。)

（わたしは目を開く。）

(やみいろにそまるあめのした、)

闇色に染まる雨の下、

(べにいろのかのじょをみる。)

紅色の彼女を見る。

(よわさゆえ、まもれなかった。)

弱さ故、守れなかった。

(わたしがよわいばっかりに。)

わたしが弱いばっかりに。