賭け-3-(完)

cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7521 | 神 | 7.6 | 98.2% | 514.1 | 3936 | 69 | 74 | 2025/03/19 |
2 | はく | 7517 | 神 | 7.7 | 97.4% | 516.5 | 3988 | 105 | 74 | 2025/03/19 |
関連タイピング
-
Mrs.GREEN APPLEの青と夏です!
プレイ回数8万歌詞1030打 -
タイピング練習に関する長文です
プレイ回数9.3万長文1159打 -
10秒以内に打てたら指が神ってる!(?)
プレイ回数6818154打 -
Mrs.グリンアップルのライラックのサビ曲タイピングです
プレイ回数8475歌詞かな173打 -
記号なし、句読点ありの文章タイピング練習です。
プレイ回数1.7万長文かな3355打 -
Mrs.GREEN APPLEのダーリンです!
プレイ回数3213歌詞994打 -
原初の自覚赤子の哲学的覚醒
プレイ回数1473長文2077打 -
ピラミッドに関する雑学の長文です。
プレイ回数1.2万長文1319打
問題文
(「そんなにんげんは、てんごくやあのよとよばれるようなところにいきたいと)
「そんな人間は、天国やあの世と呼ばれるようなところに行きたいと
(おもってしぬのだろうか」すこしかんがえる。ちがうようなきがする。)
思って死ぬのだろうか」少し考える。違う様な気がする。
(「ぱすかるのかけということばがある」と、ししょうはいった。)
「パスカルの賭けという言葉がある」と、師匠は言った。
(かみがそんざいしているほうにかけるべきか、そんざいしていないほうにかけるべきかという)
神が存在している方に賭けるべきか、存在していない方に賭けるべきかという
(といにたいして、かがくしゃとしてもなだかいふらんすじん、ぱすかるはこうこたえる。)
問いに対して、科学者としても名高いフランス人、パスカルはこう答える。
(かみのそんざいにかければ、かったときにえられるしゅくふくというなのよろこびはむげんだいであり、)
神の存在に賭ければ、勝った時に得られる祝福という名の喜びは無限大であり、
(まけたばあい、すなわちしごがきょむであったとしてもそれはだれにもひとしく)
負けた場合、すなわち死後が虚無であったとしてもそれは誰にも等しく
(おとずれるうんめいである。)
訪れる運命である。
(それにたいし、かみのひそんざいにかけたなら、しょうりとはすなわちしごのきょむを)
それに対し、神の非存在に賭けたなら、勝利とはすなわち死後の虚無を
(みとめることであり、はいぼくとはしゅくふくというなのよろこびをほうきすることにほかならない。)
認めることであり、敗北とは祝福という名の喜びを放棄することに他ならない。
(かみのそんざいにかけ、そのいにかなうようないきかたをすることはくつうであるかも)
神の存在に賭け、その意に適う様な生き方をすることは苦痛であるかも
(しれないが、かてばそれをおぎなってあまりあるこうふくをえられ、)
知れないが、勝てばそれを補って余りある幸福を得られ、
(たとえまけてもそのくつうはしょうめつする。)
例え負けてもその苦痛は消滅する。
(ひそんざいにかけ、げんせのりえきだけをついきゅうしたとするなら、かってもそのりえきは)
非存在に賭け、現世の利益だけを追求したとするなら、勝ってもその利益は
(きょむのなかへきえ、まければしゅくふくというえいえんのこうふくをうしなう。)
虚無の中へ消え、負ければ祝福という永遠の幸福を失う。
(だから、かみのそんざいにかけるべきだと。)
だから、神の存在に賭けるべきだと。
(これをきいて、かがくしゃらしいごうりせいだな、とおれはかんじた。)
これを聞いて、科学者らしい合理性だな、と俺は感じた。
(「「いきかた」としてはそのかけかたがただしいかもしれない。)
「「生き方」としてはその掛け方が正しいかも知れない。
(でも「しにかた」としては、どうだろか」)
でも「死に方」としては、どうだろか」
(ぱすかるのいうかみとは、もちろんきりすときょうのそれだろう。じさつを)
パスカルの言う神とは、もちろんキリスト教のそれだろう。自殺を
(みとめていないしゅうきょうなのだから、ほんらいそのといじたいがなんせんすのようなきがする。)
認めていない宗教なのだから、本来その問い自体がナンセンスの様な気がする。
(「「かみ」は「しごのせかい」とおきかえてもいいだろう。くるしみかのかいほう)
「「神」は「死後の世界」と置き換えてもいいだろう。苦しみかの開放
(というもくてきのためのじさつは、かけとしてごうりてきかいなか」)
と言う目的のための自殺は、賭けとして合理的か否か」
(そのといかけに、さっきししょうじしんがいいかけた「そんなにんげんは、てんごくや)
その問いかけに、さっき師匠自身が言いかけた「そんな人間は、天国や
(あのよとよばれるよなところにいきたいとおもってしぬのだろうか」)
あの世と呼ばれるよなところに行きたいと思って死ぬのだろうか」
(ということばがあたまにりふれいんされる。)
と言う言葉が頭にリフレインされる。
(するとししょうもまさにそのことばをくりかえした。そしてすこしあいだをあけてからつづける。)
すると師匠もまさにその言葉を繰り返した。そして少し間をあけてから続ける。
(「しへのよくどうは、もっとおくふかいところからやってきているとおもう。)
「死への欲動は、もっと奥深いところからやって来ていると思う。
(それはあのよにたいするいめーじがうえつけられるしゅうきょうかんやこゆうぶんかという)
それはあの世に対するイメージが植えつけられる宗教観や固有文化という
(はいけいよりも、もっとずっとふかいばしょだ」)
背景よりも、もっとずっと深い場所だ」
(それはどこですか。おもわずといかける。ししょうはくちをあく。)
それはどこですか。思わず問いかける。師匠は口を開く。
(ぼくらのきおくがはじまるまえの、まっくらやみのなかからさ。)
僕らの記憶が始まる前の、真っ暗闇の中からさ。
(・・・・・)
・・・・・
(そのことばをきいてなぜかさんはんきかんがいっしゅんきのうをうしなったようなかんかくがあった。)
その言葉を聞いてなぜか三半規管が一瞬機能を失ったような感覚があった。
(「つまり、じさつするってことは、しごのせかいをもとめるいるんじゃなく、)
「つまり、自殺するってことは、死後の世界を求めるいるんじゃなく、
(しょうめつをもとめているってことですか」)
消滅を求めているってことですか」
(きょくろんだと、そのときはかんじなかった。)
極論だと、その時は感じなかった。
(まいどまいど、よくししょうのじゅっちゅうにおちいるものだと、あとにしておもう。)
毎度毎度、よく師匠の術中に陥るものだと、後にして思う。
(「そうだ。だからさっきのといは、「しょうめつをもとめてのじさつは、かけとして)
「そうだ。だからさっきの問いは、「消滅を求めての自殺は、賭けとして
(ごうりてきかいなか」おきかえられる」)
合理的か否か」置き換えられる」
(そのとき、おれのめは、ししょうのはいごにいつのまにかあらわれたあおじろいものを)
その時、俺の目は、師匠の背後にいつの間にか現れた青白いものを
(とらえていた。おれとむきあっているししょうのうしろには、うすぐらいよるのみちが)
とらえていた。俺と向き合っている師匠の後ろには、薄暗い夜の道が
(のびているいがいなにもないはずだったのに、)
延びている以外なにもないはずだったのに、
(あきらかになにかゆらゆらとゆらめくものがそんざいしている。)
明らかに何かゆらゆらと揺らめくものが存在している。
(それがせなかごしにみえかくれする。)
それが背中越しに見え隠れする。
(しんぞうがつめたくなる。)
心臓が冷たくなる。
(こころをふあんにさせるきみのわるいみみなりが、あたまのうちがわにひびきはじめる。)
心を不安にさせる君の悪い耳鳴りが、頭の内側に響き始める。
(ししょうのうしろには、あすふぁるとのしみがあったはず。)
師匠の後ろには、アスファルトの染みがあったはず。
(かすかにひとがたをしていたような、しみが。)
かすかに人型をしていたような、染みが。
(こちらをみているししょうのみみのうしろに、うっすらとしたおとこのかおが)
こちらを見ている師匠の耳の後ろに、うっすらとした男の顔が
(きみょうにゆがんだままでゆれながら、ちらりとのぞいた。)
奇妙に歪んだままで揺れながら、ちらりと覗いた。
(しょうめつをもとめてのじさつは、かけとしてごうりてきかいなかなんて、)
消滅を求めての自殺は、賭けとして合理的か否かなんて、
(りくつをこねまわしてかんがえるひつようなんてなかった。)
理屈を捏ね回して考える必要なんてなかった。
(おれがみているものがかけのけっかそのものだからだ。)
俺が見ているものが賭けの結果そのものだからだ。
(そのちゅうねんだんせいにみえるあおじろいかおは、しかしこどもがないているような)
その中年男性に見える青白い顔は、しかし子供が泣いているような
(ひょうじょうをうかべている。まるでこおりついたように。)
表情を浮かべている。まるで凍りついたように。
(そのあんばらんすさがどうしようもなくぼうとくてきなものにおもえて、)
そのアンバランスさがどうしようもなく冒涜的なものに思えて、
(きょうふしんともにせいりてきけんおかんにおそわれる。)
恐怖心ともに生理的嫌悪感に襲われる。
(ししょうはうしろをふりかえらない。)
師匠は後ろを振り返らない。
(きづいていないはずはないのに。)
気づいていないはずはないのに。
(また、くちをひらく。)
また、口を開く。
(「ぼくたちは、そのといのこたえを、そんとくのりろんによってみちびきだそうとはしない。)
「僕たちは、その問いの答えを、尊徳の理論によって導き出そうとはしない。
(なぜなら、かんさつのけっかがそれにだいたいするからだ」)
何故なら、観察の結果がそれに代替するからだ」
(ししょうのかおのうしろに、なきがおのおとこのかおが、こおりついたままでたよりなくゆれている。)
師匠の顔の後ろに、泣き顔の男の顔が、凍りついたままで頼りなく揺れている。
(「でも、ぼくたちはそのかんさつのけっかをただしくりかいしているのだろうか」)
「でも、僕たちはその観察の結果を正しく理解しているのだろうか」
(きづいていないはずはないのに。)
気づいていないはずはないのに。
(ししょうはしずかにことばをつむぐ。)
師匠は静かに言葉を紡ぐ。
(おれはそのこえを、いきをひそめてきいている。)
俺はその声を、息をひそめて聴いている。
(「さいきん、ぼくはうたがうようになっている。「あれ」らは、ぼくたちがおもうような、)
「最近、僕は疑うようになっている。「あれ」らは、僕たちが思うような、
(「ぼくらがしんだあとのつづき」なんかではなく、ぼくらのそうぞうのおよばないばしょから、)
「僕らが死んだあとの続き」なんかではなく、僕らの想像の及ばない場所から、
(ぼくらのようなすがたかたちをしてやってくる、まったくべつのなにかなのではないかと」)
僕らの様な姿形をしてやってくる、まったく別のなにかなのではないかと」
(たんたんとしたこえがかぜのないよるのくうきにとけていく。)
淡々とした声が風のない夜の空気に溶けていく。
(そのことばは、いまめにうつっているあおじろくうつろなものにかんじるよりも)
その言葉は、いま目に映っている青白く虚ろなものに感じるよりも
(はるかにふかい、げんしょてきなきょうふしんのねむるばしょをなでていった。)
遥かに深い、原初的な恐怖心の眠る場所を撫でていった。