紫式部 源氏物語 蓬生 2 與謝野晶子訳

順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7927 | 神 | 8.0 | 98.5% | 312.6 | 2515 | 37 | 36 | 2025/03/21 |
2 | subaru | 7740 | 神 | 8.0 | 96.4% | 314.2 | 2524 | 92 | 36 | 2025/03/25 |
3 | omochi | 7403 | 光 | 7.6 | 96.8% | 331.6 | 2537 | 82 | 36 | 2025/03/20 |
4 | はく | 7369 | 光 | 7.6 | 97.0% | 333.4 | 2535 | 78 | 36 | 2025/03/24 |
5 | ヤス | 7041 | 王 | 7.3 | 95.8% | 344.1 | 2534 | 111 | 36 | 2025/03/21 |
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問題文
(「わたくしがみるようにとおもってつくらせておいてくだすったにちがいないのだから、)
「私が見るようにと思って作らせておいてくだすったに違いないのだから、
(それをつまらないいえのそうしょくひんになどさせてよいわけはない。おとうさまのおこころもちを)
それをつまらない家の装飾品になどさせてよいわけはない。お父様のお心持ちを
(むしすることになるからね、おとうさまがおかわいそうだ」 ただすこしのじょりょくでも)
無視することになるからね、お父様がおかわいそうだ」 ただ少しの助力でも
(しようとするひとをもたないにょおうであった。あにのぜんじだけはまれにやまから)
しようとする人を持たない女王であった。兄の禅師だけは稀に山から
(きょうへでたときにたずねてくるが、そのひともむかしふうなひとで、おなじそうといっても)
京へ出た時に訪ねて来るが、その人も昔風な人で、同じ僧といっても
(せいかつするのうりょくがぜんぜんない、だつぞくしたとほめていえばいえるようなおとこで)
生活する能力が全然ない、脱俗したとほめて言えば言えるような男で
(あったから、にわのざっそうをはらわせればきれいになるものともきがつかない。)
あったから、庭の雑草を払わせればきれいになるものとも気がつかない。
(あさじはにわのおもてもみえぬほどしげって、よもぎはのきのたかさにたっするほど、むぐらはにしもん、)
浅茅は庭の表も見えぬほど茂って、蓬は軒の高さに達するほど、葎は西門、
(ひがしもんをとじてしまったというとようじんがよくなったようにもきこえるが、)
東門を閉じてしまったというと用心がよくなったようにも聞こえるが、
(くずれたどべいはうしやうまがふみならしてしまい、はるなつにはぶれいなぼくどうが)
くずれた土塀は牛や馬が踏みならしてしまい、春夏には無礼な牧童が
(ほうぼくをしにきた。はちがつにのわきのかぜがつよかったとしいらいろうなどはたおれたままになり、)
放牧をしに来た。八月に野分の風が強かった年以来廊などは倒れたままになり、
(げやのいたぶきのたてもののほうはわずかにほねがのこっているだけ、げなんなどの)
下屋の板葺きの建物のほうはわずかに骨が残っているだけ、下男などの
(そこにとどまっているものはない。くりやのけむりがたたないでなおいきたひとが)
そこにとどまっている者はない。廚の煙が立たないでなお生きた人が
(すんでいるというかなしいやしきである。ぬすびとというようながむしゃらなれんちゅうも)
住んでいるという悲しい邸である。盗人というようながむしゃらな連中も
(がいけんのひんじゃくさにあいそをつかせて、ここだけはすどおりにして)
外見の貧弱さに愛想をつかせて、ここだけは素通りにして
(やってこなかったから、こんなのらやぶのようなやしきのなかで、しんでんだけはむかしどおりの)
やって来なかったから、こんな野良藪のような邸の中で、寝殿だけは昔通りの
(かざりつけがしてあった。しかしきれいにそうじをしようとするような)
飾りつけがしてあった。しかしきれいに掃除をしようとするような
(こころがけのひともない。ちりはつもってもあるべきもののかずだけはそろったざしきに)
心がけの人もない。埃は積もってもあるべき物の数だけはそろった座敷に
(すえつむはなはくらしていた。ふるいかしゅうをよんだり、しょうせつをみたりすることで)
末摘花は暮らしていた。古い歌集を読んだり、小説を見たりすることで
(つれづれがなぐさめられることにもなるし、ぶっしつてきにふそくのおおいきょうぐうも)
つれづれが慰められることにもなるし、物質的に不足の多い境遇も
(しのんでいけるのであるが、すえつむはなはそんなしゅみももっていない。)
忍んで行けるのであるが、末摘花はそんな趣味も持っていない。
(それはかならずしもよいことではないが、ひまなじょせいのあいだでゆうじょうをもったてがみを)
それは必ずしもよいことではないが、暇な女性の間で友情を盛った手紙を
(かきかわすことなどは、たかんなとしごろではそれによってしぜんのみかたも)
書きかわすことなどは、多感な年ごろではそれによって自然の見方も
(ふかくなっていき、きやくさにもなぐさめられることにもなるが、このにょおうは)
深くなっていき、木や草にも慰められることにもなるが、この女王は
(ちちみやがだいじにおあつかいになったときとおなじこころもちでいて、ふつうのひととのこうさいは)
父宮が大事にお扱いになった時と同じ心持ちでいて、普通の人との交際は
(いっさいさけてゆうじんをもっていないのである。しんせきかんけいがあっても)
いっさい避けて友人を持っていないのである。親戚関係があっても
(したしもうとせず、こういをよせようとしないたいどはてがみをかかぬところに)
親しもうとせず、好意を寄せようとしない態度は手紙を書かぬ所に
(うかがわれもするのである。ふるくさいしょもつだなから、からもり、はこやのとじ、)
うかがわれもするのである。古くさい書物棚から、唐守、藐姑射の刀自、
(かぐやひめものがたりなどをえにかいたものをひきだしてたいくつしのぎにしていた。こかなども)
赫耶姫物語などを絵に描いた物を引き出して退屈しのぎにしていた。古歌なども
(よいさくをよって、はしがきもさくしゃのなもかきぬいておいてみるのが)
よい作を選って、端書きも作者の名も書き抜いて置いて見るのが
(おもしろいのであるが、このひとはふるかんやがみとか、だんしとかのしめりけをふくんで)
おもしろいのであるが、この人は古紙屋紙とか、檀紙とかの湿り気を含んで
(あつくなったものなどへ、だれものしっているしんみなどはみじんもないようなものの)
厚くなった物などへ、だれもの知っている新味などは微塵もないようなものの
(かきぬいてしまってあるのを、ものおもいのつのったときなどにはだしてひろげていた。)
書き抜いてしまってあるのを、物思いのつのった時などには出して拡げていた。
(いまのふじんがだれもするようにきょうをよんだりほとけづとめをしたりすることは)
今の婦人がだれもするように経を読んだり仏勤めをしたりすることは
(なまいきだとおもうのかだれもみるひとはないのであるが、じゅずをもつようなことは)
生意気だと思うのかだれも見る人はないのであるが、数珠を持つようなことは
(ぜったいにない。こんなふうにすえつむはなはこてんてきであった。)
絶対にない。こんなふうに末摘花は古典的であった。