紫式部 源氏物語 蓬生 8 與謝野晶子訳(終)

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1 berry 7913 8.0 98.5% 312.9 2514 38 36 2025/03/20
2 はく 7684 7.8 97.3% 321.7 2541 69 36 2025/03/24
3 ヤス 6656 S+ 7.0 94.2% 358.3 2541 156 36 2025/03/21

問題文

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(かもまつり、さいいんのごけいなどのあるころは、そのよういのしなというめいぎでしょほうから)

賀茂祭り、斎院の御禊などのあるころは、その用意の品という名義で諸方から

(げんじへおくってくるもののおおいのを、げんじはまたあちらこちらへぶんぱいした。)

源氏へ送って来る物の多いのを、源氏はまたあちらこちらへ分配した。

(そのなかでもひたちのみやへおくるのは、げんじじしんがなにかとさしずをして、)

その中でも常陸の宮へ贈るのは、源氏自身が何かと指図をして、

(みやていにたらぬものをなにかとおおくくわえさせた。したしいけいしにめいじてげなんなどを)

宮邸に足らぬ物を何かと多く加えさせた。親しい家司に命じて下男などを

(みやけへやってていないのていれをさせた。にわのよもぎをからせ、おうきゅうにどべいのかわりの)

宮家へやって邸内の手入れをさせた。庭の蓬を刈らせ、応急に土塀の代わりの

(いたべいをつくらせなどした。げんじがつまとみとめてのたいぐうをしだしたと)

板塀を作らせなどした。源氏が妻と認めての待遇をし出したと

(せけんからみられるのはふめいよなきがして、じしんでたずねていくことはなかった。)

世間から見られるのは不名誉な気がして、自身で訪ねて行くことはなかった。

(てがみはこまごまとかいておくることをおこたらない。にじょうのいんにすぐちかいじしょへ)

手紙はこまごまと書いて送ることを怠らない。二条の院にすぐ近い地所へ

(このごろけんちくさせているいえのことを、げんじはすえつむはなにつげて、)

このごろ建築させている家のことを、源氏は末摘花に告げて、

(そこへあなたをむかえようとおもう、いまからどうじょとしてつかうのによいこどもをえらんで)

そこへあなたを迎えようと思う、今から童女として使うのによい子供を選んで

(ならしておおきなさい。 ともそのてがみにはかいてあった。)

馴らしておおきなさい。 ともその手紙には書いてあった。

(にょうぼうたちのちゃくりょうまでもきをつけておくってくるげんじにかんしゃして、)

女房たちの着料までも気をつけて送って来る源氏に感謝して、

(それらのひとびとはげんじのにじょうのいんのほうをむいておがんでいた。いちじてきのこいにも)

それらの人々は源氏の二条の院のほうを向いて拝んでいた。一時的の恋にも

(へいぼんなおんなをあいてにしなかったげんじで、あるとくしょくのそなわったじょせいにはきょうみをもって)

平凡な女を相手にしなかった源氏で、ある特色の備わった女性には興味を持って

(ねっしんにあいするひととしてげんじをだれもしっているのであるが、なにひとつ)

熱心に愛する人として源氏をだれも知っているのであるが、何一つ

(すぐれたところのないすえつむはなをなぜつまのひとりとしてこんな)

すぐれた所のない末摘花をなぜ妻の一人としてこんな

(とりあつかいをするのであろう。これもぜんしょうのいんねんごとであるにちがいない。)

取り扱いをするのであろう。これも前生の因縁ごとであるに違いない。

(もうくらいぜんとがあるばかりのようにみきりをつけて、にょおうのいえをさったひとびと、)

もう暗い前途があるばかりのように見切りをつけて、女王の家を去った人々、

(それはうえからしたまでいくにんもあるきゅうめしつかいが、われもわれもとさいきんをねがってきた。)

それは上から下まで幾人もある旧召使が、われもわれもと再勤を願って来た。

(ぜんりょうさはまれにみるほどのじょせいであるすえつむはなのもとにつかわれて、きらくにくらした)

善良さは稀に見るほどの女性である末摘花のもとに使われて、気楽に暮らした

など

(にょうぼうたちが、ただのちほうかんのいえなどにやとわれて、きまずいことのおおいのに)

女房たちが、ただの地方官の家などに雇われて、気まずいことの多いのに

(あきれてかえってくるものもある。みえすいたようなついしょうもみないってくる。)

あきれて帰って来る者もある。見えすいたような追従も皆言ってくる。

(むかしよりいっそうつよいせいりょくをえているげんじは、おもいやりもふかくなったいまのこころから、)

昔よりいっそう強い勢力を得ている源氏は、思いやりも深くなった今の心から、

(たすけおこそうとしているにょおうのいえは、ひとかげもにぎやかにみえてきて、)

扶け起こそうとしている女王の家は、人影もにぎやかに見えてきて、

(しげりほうだいですごいものにみえたきやくさもせいりされて、ながれにみずの)

繁りほうだいですごいものに見えた木や草も整理されて、流れに水の

(とおるようになり、たちきやくさのすがたもゆうびにきよいかんじのするものになっていった。)

通るようになり、立ち木や草の姿も優美に清い感じのするものになっていった。

(しょくをほしがっているしもけいしきゅうのひとは、げんじがひとりのふじんのいえとしてせわをやく)

職を欲しがっている下家司級の人は、源氏が一人の夫人の家として世話をやく

(ようすをみて、つかえたいともうしこんできて、みやけにしつじもできた。)

様子を見て、使えたいと申し込んで来て、宮家に執事もできた。

(すえつむはなはにねんほどこのいえにいて、のちにはひがしのいんへげんじにむかえられ、)

末摘花は二年ほどこの家にいて、のちには東の院へ源氏に迎えられ、

(ふうふとしてどうしつにくらすようなことはめったになかったのであるが、)

夫婦として同室に暮らすようなことはめったになかったのであるが、

(ちかいところであったから、ほかのようできたときにはなしていくようなことくらいは)

近い所であったから、ほかの用で来た時に話して行くようなことくらいは

(よくして、けいべつしたあつかいはすこしもしなかったのである。だいにのふじんが)

よくして、軽蔑した扱いは少しもしなかったのである。大弐の夫人が

(ききょうしたときに、どんなおどろきかたをしたか、じじゅうがにょおうのこうふくをよろこびながらも、)

帰京した時に、どんな驚き方をしたか、侍従が女王の幸福を喜びながらも、

(ときがまちきれずにひめぎみをすてていったじしんのあやまちをどんなに)

時が待ち切れずに姫君を捨てて行った自身のあやまちをどんなに

(くいたかというようなことも、もうすこしのべておきたいのであるが、)

悔いたかというようなことも、もう少し述べておきたいのであるが、

(ひっしゃはあたまがいたくなってきたから、またほかのきかいにおもいだしてかくことにする。)

筆者は頭が痛くなってきたから、またほかの機会に思い出して書くことにする。

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