夢のひかり速度旅行舎_2/3

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問題文
(ぴにょんさんはめがさめました。)
ピニョンさんは目がさめました。
(ぐわんぐわんとあたまのなかでおもいかたまりが)
ぐわんぐわんと頭の中で重いかたまりが
(なんこもなんこもあばれているようでした。)
何個も何個も暴れているようでした。
(がりぎゃり、がりぎゃり、きっとこのおとがげんいんです。)
ガリギャリ、ガリギャリ、きっとこの音が原因です。
(それにひどいにおい。)
それにひどいにおい。
(まるではんとしもほっておいたざくろのようなにおいです。)
まるで半年も放っておいたザクロのようなにおいです。
(「すいません。しゅっぱつまえにおみずをいっぱいいただけないでしょうか」)
「すいません。出発前にお水を一杯頂けないでしょうか」
(ぴにょんさんはいそがしくたちまわるしろいふくのひとたちにいいました。)
ピニョンさんは忙しく立ち回る白い服の人たちにいいました。
(「いいえ、もうしゅっぱついたしました。おきのどくです」)
「いいえ、もう出発いたしました。お気の毒です」
(「なんてこった、ひかりそくどりょこうがどういったものか)
「なんてこった、ひかり速度旅行がどういったものか
(ごぞんじないので?」)
ご存知ないので?」
(「せっきゃくたんとうよんでこい。はやく!)
「接客担当呼んで来い。はやく!
(またもくさめちまっただんながいるんだ。)
また目さめちまった旦那がいるんだ。
(きょうはどうなってんだ」)
きょうはどうなってんだ」
(もうなんどめでしょう。)
もう何度目でしょう。
(あの、がっこうのきょうかしょにでてくるしんしのようなてんいんさんが)
あの、学校の教科書にでてくる紳士のような店員さんが
(ぴにょんさんにけんめいにせつめいしています。)
ピニョンさんに懸命に説明しています。
(「つまり、ひかりそくどりょこうとは、)
「つまり、ひかり速度旅行とは、
(にんげんをげんしのたんいまでかんぜんにでじたるじょうほうかしてでんぱでそうしんし、)
人間を原子の単位まで完全にデジタル情報化して電波で送信し、
(じゅしんしたでじたるじょうほうでにんげんをさいこうちくするぎじゅつなのです」)
受信したデジタル情報で人間を再構築する技術なのです」
(むずかしいおはなしはぴにょんさんにはさっぱりです。)
むずかしいお話はピニョンさんにはさっぱりです。
(がりぎゃり。このおとがぴにょんさんをいらだたせます。)
ガリギャリ。この音がピニョンさんをいらだたせます。
(「けっかとして、そのままではどういつじんぶつがふたりという・・・・・・」)
「結果として、そのままでは同一人物が二人という・・・・・・」
(てんいんさんはしんぼうづよくなんども、)
店員さんはしんぼう強く何度も、
(あせびっしょりになりながらぴにょんさんにせつめいします。)
汗びっしょりになりながらピニョンさんに説明します。
(がりぎゃり。)
ガリギャリ。
(きっと、このがりぎゃりというおとのせいです。)
きっと、このガリギャリという音のせいです。
(「はやく!ほんもののそらをみたい。しゅっぱつはまだか!」)
「はやく! 本物の空を見たい。出発はまだか!」
(さっぱりわからないおはなしをなんどもされて、)
さっぱりわからないお話をなんどもされて、
(いらいらとしてしまったぴにょんさんは、ついさけんでしまいました。)
いらいらとしてしまったピニョンさんは、つい叫んでしまいました。
(「ぜんぜんわかっていらっしゃらない」とうとうてんいんさんはおこりだしました。)
「全然わかっていらっしゃらない」とうとう店員さんは怒りだしました。
(「なぜいまだてんきよほうははずれるとおもいますか?」)
「なぜいまだ天気予報は外れるとおもいますか?」
(きっと、いらいらがでんせんしてしまったんだ。)
きっと、いらいらが伝染してしまったんだ。
(てんいんさんにはわるいことをしてしまった。)
店員さんには悪いことをしてしまった。
(ぴにょんさんはもうしわけないきもちになります。)
ピニョンさんは申し訳ない気持ちになります。
(ここはえすぷりたっぷりのじょーくでかえしてやろうと)
ここはエスプリたっぷりのジョークで返してやろうと
(ぴにょんさんはあたまをひねりますが、なんにもでてきません。)
ピニョンさんは頭をひねりますが、なんにも出てきません。
(がりぎゃり。)
ガリギャリ。
(「かんぜんにちきゅうをしみゅれーとするには)
「完全に地球をシミュレートするには
(さいていでもちきゅうをこうせいするげんしとどうすうのげんしがひつようです。)
最低でも地球を構成する原子と同数の原子が必要です。
(げんそではなくげんしです。もちろんふかのうです。)
元素ではなく原子です。もちろん不可能です。
(おなじようににんげんをひとりつくりだすためには、)
同じように人間を一人作り出すためには、
(にんげんひとりぶんのげんしがひつようなんです」)
人間一人分の原子が必要なんです」
(そろそろぴにょんさんにも、)
そろそろピニョンさんにも、
(これいじょうきいてはいけないようなきがしてきました。)
これ以上聞いてはいけないような気がしてきました。
(「こちらは、りょうしつのざいりょうさえあればかのうです。)
「こちらは、良質の材料さえあれば可能です。
(そのゆめのぎじゅつがひかりそくどりょこうなのです」)
その夢の技術がひかり速度旅行なのです」
(てんいんさんはちらりとうでどけいにめをはしらせます。がりぎゃり。)
店員さんはちらりと腕時計に目を走らせます。ガリギャリ。
(「いそがないとみきさーがとまってしまうじかんです。)
「急がないとミキサーが止まってしまう時間です。
(あなたはもうにんげんじゃありません。ざいりょうです。)
あなたはもう人間じゃありません。材料です。
(ほんもののぴにょんさんはいま、でんぱです。ほうりつにもそうかいてあります」)
本物のピニョンさんは今、電波です。法律にもそう書いてあります」
(やっとぴにょんさんにもわかりました。)
やっとピニョンさんにもわかりました。
(きっとでんぱのぴにょんさんはあおいそらでむねいっぱいにしんこきゅうすることでしょう。)
きっと電波のピニョンさんは青い空で胸一杯に深呼吸することでしょう。
(やったね!ぴにょんさん)
やったね! ピニョンさん♪