めおと鎧4
関連タイピング
-
毎日気球に通っている異人さんが探している地上の宝とは。
プレイ回数720 長文1867打 -
プレイ回数782 長文4927打
-
夏目漱石
プレイ回数8.5万 長文1353打 -
プレイ回数596 長文1662打
-
プレイ回数130 長文4452打
-
読書もタイピングも楽しみたい方へ
プレイ回数1845 長文3521打 -
プレイ回数384 長文2317打
-
夏目漱石「こころ」3-24
プレイ回数1109 長文1538打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(なんといってくるか。そうおもってまっていたが、)
なんと云って来るか。そう思って待っていたが、
(きくおかからはべつになんのたよりもなかった。)
菊岡からはべつになんのたよりもなかった。
(そしてしごにちすぎたあるひのこと、かれはおめしをうけて、)
そして四五日すぎたある日のこと、かれはお召しをうけて、
(しゅくんゆきながのごぜんへでた。「にわへまいれ」ひどくきげんのわるいかおで)
主君幸長の御前へ出た。「庭へまいれ」ひどく機嫌のわるい顔で
(そういうと、ゆきながはこしょうのささげていたはいとうをとり、)
そう云うと、幸長は小姓の捧げていた佩刀をとり、
(だれもくるなといいながらさきにたってにわへおりた。)
誰も来るなと云いながらさきに立って庭へおりた。
(ただならぬけしきだった。なんだろうとふあんながら)
唯ならぬけしきだった。なんだろうと不安ながら
(いそいでついてゆくと、ゆきながはいずちのほとりでたちどまった。)
いそいでついてゆくと、幸長は泉池のほとりで立ちどまった。
(まごべえは、そのまえにひざをついてへいふくした。)
孫兵衛は、その前に膝をついて平伏した。
(「そのほう、よきちろうのいぬをきったそうだな」)
「そのほう、与吉郎の犬を斬ったそうだな」
(そういわれて、まごべえはあっとおもった。)
そう云われて、孫兵衛はあっと思った。
(あいつめとのへごそしょうしおったのか。じかにおしこむゆうきがないので、)
あいつめ殿へご訴訟しおったのか。じかに押しこむ勇気がないので、
(しゅくんのすそへすがってへんぽうしようとした、)
しゅくんの裾へすがって返報しようとした、
(これほどまでにしょうねがみれんになっていようとはおもわなかった。)
これほどまでに性根がみれんになっていようとは思わなかった。
(ひれつなやつだと、おもわずまごべえはこぶしをにぎった。)
卑劣なやつだと、思わず孫兵衛はこぶしをにぎった。
(「じじつか、ほんとうにそのほうよきちろうのいぬをきったか」)
「事実か、本当にそのほう与吉郎の犬を斬ったか」
(「まことにおそれいりたてまつる、じつは」)
「まことに恐れいり奉る、じつは」
(「いいわけむよう」ゆきながのこえは、ごてんまでびんとひびいた。)
「いいわけ無用」幸長のこえは、御殿までびんとひびいた。
(「きったかどうかをたずねるのだ。)
「斬ったかどうかをたずねるのだ。
(もうせ、まことにいぬをきったのかどうだ」)
申せ、まことに犬を斬ったのかどうだ」
など
(「はっ、・・・・・・たしかに」「きったともうすのだな」)
「はっ、……たしかに」「斬ったと申すのだな」
(「・・・・・・・・・・・・」「まごべえ、そのほうのかたなは、いぬをきるほど)
「…………」「孫兵衛、そのほうの刀は、犬を斬るほど
(むえきなものか、かたなはさむらいのたましいともいう、)
無益なものか、刀はさむらいの魂とも云う、
(そのほうぶしのたましいで・・・・・・ばかもの」さけぶのといっしょに、)
そのほう武士の魂で……ばか者」さけぶのといっしょに、
(つとみをかがめたゆきながはかたてでまごべえのえりをつかみ、)
つと身をかがめた幸長は片手で孫兵衛の衿をつかみ、
(こぶしをあげてちからまかせになぐりつけた。)
こぶしをあげて力まかせになぐりつけた。