未 本編 -39-
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問題文
(「さまざまなよういんがかさなり、そのかくりつはきわめてたかいといえます。そうでなくては)
「様々な要因が重なり、その確率は極めて高いと言えます。そうでなくては
(こうしてみなさんにあつまっていただいたいみもありません。そのしゅつげんよういんは)
こうしてみなさんに集まっていただいた意味もありません。その出現要因は
(いくつもありますが、たとえばまずくれむっつをすぎたじかんたいであるということ。)
いくつもありますが、例えばまず暮れ六つを過ぎた時間帯であるということ。
(これはおおきなもんだいです。それよりもはやくあらわれたけーすはこれまでありません。)
これは大きな問題です。それよりも早く現れたケースはこれまでありません。
(そしてそれはくれむっつのいみをりかいしたそんざいであるということを)
そしてそれは暮れ六つの意味を理解した存在であるということを
(どうじにさししめしています。)
同時に指し示しています。
(つぎに、うわさをすればかげ、ということばがあるように、わたしのけいけんじょう、)
次に、噂をすれば影、という言葉があるように、わたしの経験上、
(れいからだはおのれにきょうみをしめし、そのそんざいをこうていするもののまえにあらわれやすい)
霊体は己に興味を示し、その存在を肯定する者の前に現れやすい
(というけいこうがあります。)
という傾向があります。
(そのうわさのないようはおびえであったり、からかいであったりとさまざまですが、)
その噂の内容は怯えであったり、からかいであったりと様々ですが、
(いまわたしたちがこうしてはなしをしていることが)
今わたしたちがこうして話をしていることが
(そのしゅつげんをゆうはつしうるというということです。)
その出現を誘発しうるというということです。
(そしてなにより、このばにわたしがいるということ。また、このばで)
そしてなにより、この場にわたしがいるということ。また、この場で
(わたしのつぎにれいかんのつよいじょしゅのこいつがいるということもよういんのひとつです」)
わたしの次に霊感の強い助手のこいつがいるということも要因の一つです」
(ししょうのひろげたてでしょうかいされるかたちになり、おもわず「どうも」と)
師匠の広げた手で紹介される形になり、思わず「どうも」と
(てれかくしにみんなにあたまをさげた。なにかへんなきもちだ。)
照れ隠しにみんなに頭を下げた。なにか変な気持ちだ。
(しかしししょうはあんにじぶんのれいかんのきょうりょくさをじふするよないいまわしを)
しかし師匠は暗に自分の霊感の強力さを自負するよな言い回しを
(しているのにきづいた。これだけいってなにもでなければおおはじを)
しているのに気づいた。これだけ言ってなにも出なければ大恥を
(さらすことになるが、それをしょうちでじぶんをおいこんでいるのだろうか。)
晒すことになるが、それを承知で自分を追い込んでいるのだろうか。
(「それらおおくのよういんのなかで、ひじょうにじゅうようどのたかいものがふたつあります。)
「それら多くの要因の中で、非常に重要度の高いものが二つあります。
(それはいまこのばにそろっている、あるとくべつなじょうけんです。)
それは今この場に揃っている、ある特別な条件です。
(そのために、これからまちがいなくかんぬしすがたのれいはでます。やくそくしてください。)
そのために、これから間違いなく神主姿の霊は出ます。約束してください。
(もししゅつげんしても、けっしてうごかないでください。)
もし出現しても、けっして動かないでください。
(そのはりのけっかいのそとにはでないように」)
その針の結界の外には出ないように」
(ぼくはあらためてはりをみた。どれもかなりながい。よくみると、たたみにささっているのは)
僕は改めて針を見た。どれもかなり長い。良く見ると、畳に刺さっているのは
(あなのあるがわだ。とがったほうがうえをむいている。もしばらんすをくずして)
穴のある側だ。尖った方が上を向いている。もしバランスを崩して
(はりのれつのうえにころんだら、とおもうとぞっとする。)
針の列の上に転んだら、と思うとゾッとする。
(「では、これをみてください」)
「では、これを見てください」
(ししょうはずぼんのぽけっとからおりたたんだはんしをとりだした。)
師匠はズボンのポケットから折り畳んだ半紙を取り出した。
(ひろげると、そこにはかんじがいちもんじだけおおきくかかれている。)
広げると、そこには漢字が一文字だけ大きく書かれている。
(あめかんむり。そのしたにくちがみっつよこにならび、さらにそのしたに「りゅう」のもじ。)
雨冠。その下に口が三つ横に並び、さらにその下に「龍」の文字。
(「これはきのう、うらやまのたにぞこでみつけたいしにほられていたもじです。)
「これは昨日、裏山の谷底で見つけた石に彫られていた文字です。
(うらやまにはわかみやじんじゃのぶんしゃなどなんらかのやしろのたぐいはない、とみなさん)
裏山には若宮神社の分社などなんらかの社の類はない、とみなさん
(くちをそろえておっしゃいましたが、これはいったいなんだとおもいますか」)
口を揃えておっしゃいましたが、これはいったいなんだと思いますか」
(「あ」というこえがあがった。かずおだ。なにかきづいたようだ。)
「あ」という声が上がった。和雄だ。なにか気づいたようだ。
(「さいしてきなやくわりのものではなく、さんどうのろぼうにこうしたもじをほったいしを)
「祭祀的な役割のものではなく、山道の路傍にこうした文字を彫った石を
(おくことはあります。いちりづかのようなみちしるべがそうですね。)
置くことはあります。一里塚のような道標がそうですね。
(しかし、このみなれないもじはどうでしょう。)
しかし、この見慣れない文字はどうでしょう。
(いったいなにをあらわしているものなのか・・・・・」)
一体なにを表しているものなのか・・・・・」
(ししょうははりのえんのなかにこざをかいたままはんしをひらひらとゆらす。)
師匠は針の円の中に胡座をかいたまま半紙をひらひらと揺らす。
(そのとき、いっしゅんなにかきこえたきがした。なんだろう。きのせいだろうか。)
そのとき、一瞬なにか聞こえた気がした。なんだろう。気のせいだろうか。
(「そのなぞをとくには、まずかめがぶちというためいけのはなしをしなくてはなりません。)
「その謎を特には、まず亀ヶ淵という溜め池の話をしなくてはなりません。
(みなさんごぞんじのように、せんごくぶしょうであるたかはしながおきがこのちにしんこうして)
みなさんご存知のように、戦国武将である高橋永熾がこの地に侵攻して
(きたときにりょうどとしてのかちをたかめるため、みずがめとしてつくったものです。)
きたときに領土としての価値を高めるため、水瓶として造ったものです。
(もともとそのばしょにはぬまちがあり、そのちめいがためいけのなまえになったものです。)
元々その場所には沼地があり、その地名が溜め池の名前になったものです。
(ところがここにはじつはもうひとつのなまえがあります。)
ところがここには実はもう一つの名前があります。
(しょうがぶちというなまえをおききになったことがありますか。)
ショウガブチという名前をお聞きになったことがありますか。
(いまやじもとのにんげんですらしらない、ぶんけんにだけあらわれるふるいふるいよみかたです。)
今や地元の人間ですら知らない、文献にだけ現れる古い古い読み方です。
(しかしいつからそうよばれなくなったのか、すいそくすることができます。)
しかしいつからそう呼ばれなくなったのか、推測することができます。
(もちろん、ためいけのかんせいというえぽっくめーきんぐのときからですよ。)
もちろん、溜め池の完成というエポックメーキングのときからですよ。
(あたらしいようすいろ。あたらしいのうほう。このしゅうへんでくらしひとびとのせいかつを)
新しい用水路。新しい農法。この周辺で暮らし人々の生活を
(かえてしまったとき、ふるいものがひっそりときえていったのです。)
変えてしまったとき、古いものがひっそりと消えていったのです。
(そしてそれは、たかはしながおきがもたらしたもうひとつのものにもあてはまります」)
そしてそれは、高橋永熾がもたらしたもう一つのものにも当てはまります」
(りん・・・・・)
りん・・・・・
(ふいにみみにそんなおとがはいった。なんだ。いまのおとは。)
ふいに耳にそんな音が入った。なんだ。いまの音は。
(ぼくにだけきこえたのだろうか。おもわずしゅういをみたが、)
僕にだけ聞こえたのだろうか。思わず周囲を見たが、
(とくにいへんめいたものはみあたらない。)
特に異変めいたものは見当たらない。
(しかし、ざわざわとむねのあたりにざわめくものがあった。)
しかし、ざわざわと胸のあたりにざわめくものがあった。
(ししょうはへいぜんとしてせつめいをつづけ、みんなそのひとことひとことに)
師匠は平然として説明を続け、みんなその一言ひとことに
(しぜんとみみがそらせなくなっていった。)
自然と耳がそらせなくなっていった。