星の王子さま vol.4
句読点あり。
カギカッコ等の表記符号は省略してあります。
タイピングをしながら小説を楽しんでくださいね。
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。
それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどりついた王子さまだった・・・・・・
一度読んだら必ず宝物にしたくなる、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんではなさない。最も愛らしく忽然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
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問題文
(おうじさまがどこからきたのかわかるまで、)
王子さまがどこから来たのかわかるまで、
(ぼくにはじかんがかかった。)
僕には時間がかかった。
(おうじさまはたくさんしつもんするのに、)
王子さまはたくさん質問するのに、
(こちらがたずねることには、)
こちらがたずねることには、
(まるでおかまいなしのようだったからだ。)
まるでおかまいなしのようだったからだ。
(すこしずつ、なにもかもがあきらかになっていったのは、)
少しずつ、なにもかもが明らかになっていったのは、
(たまたまおうじさまのくちからでたことばが、)
たまたま王子さまの口から出たことばが、
(つながっていってのことだった。)
つながっていってのことだった。
(たとえばはじめてぼくのひこうきをみたとき)
たとえばはじめて僕の飛行機を見たとき
(ひこうきはかかないでおく。)
(飛行機は描かないでおく。
(ぼくにはふくざつすぎる)
僕には複雑すぎる)
(おうじさまはこうきいたのだ。)
王子さまはこう聞いたのだ。
(そこにあるものは、なに?)
「そこにある物は、なに?」
(ものじゃない。これはとぶんだ。)
「物じゃない。これは飛ぶんだ。
(ひこうきさ。ぼくのひこうき)
飛行機さ。僕の飛行機」
(そうしてぼくは、じぶんがとべるんだと、)
そうして僕は、自分が飛べるんだと、
(とくいになっておしえた。)
得意になって教えた。
(するとおうじさまは、おおごえになった。)
すると王子さまは、大声になった。
(え!きみ、そらからおちてきたんだ!)
「え!きみ、空から落ちてきたんだ!」
(そうなんだ)
「そうなんだ」
(こんどはすこしよわきになって、ぼくはこたえた。)
今度は少し弱気になって、僕は答えた。
(ああ!それはいいや!・・・・・・)
「ああ!それはいいや!・・・・・・」
(そうしておうじさまは、とてもかわいいこえでわらいだしたが、)
そうして王子さまは、とてもかわいい声で笑いだしたが、
(ぼくのほうはかなりはらがたった。)
僕のほうはかなり腹が立った。
(ふじちゃくというさいなんは、まともにとってほしかったのだ。)
不時着という災難は、まともにとってほしかったのだ。
(ところがおうじさまは、こうつづけた。)
ところが王子さまは、こう続けた。
(じゃあ、きみもそらからきたんだね!)
「じゃあ、きみも空から来たんだね!
(どのほしから?)
どの星から?」
(ぼくは、はっとした。)
僕は、はっとした。
(なぜおうじさまがここにいるのかというなぞに、)
なぜ王子さまがここにいるのかという謎に、
(ひとすじのひかりがさしたようだった。)
ひとすじの光が差したようだった。
(そこですかさずきいてみた。)
そこですかさず聞いてみた。
(それじゃあきみは、よそのほしからきたの?)
「それじゃあきみは、よその星から来たの?」
(だがおうじさまは、こたえなかった。)
だが王子さまは、答えなかった。
(ぼくのひこうきをみつめながら、)
僕の飛行機を見つめながら、
(そっとくびをふっただけだった。)
そっと首をふっただけだった。
(そうだね。これじゃ、そんなにとおくからはこられないね・・・・・・)
「そうだね。これじゃ、そんなに遠くからは来られないね・・・・・・」
(そうして、ものおもいにしずんだ。)
そうして、物思いに沈んだ。
(ながいあいだ、そうしていた。)
長いあいだ、そうしていた。
(やがて、ぽけっとからぼくのあげたひつじをとりだすと、)
やがて、ポケットから僕のあげたヒツジをとりだすと、
(こんどはそのたからものを、しみじみとながめつづけた。)
今度はその宝物を、しみじみとながめつづけた。
(よそのほしのことをすこしだけきいて、)
〈よその星〉のことを少しだけ聞いて、
(ぼくはどんなにきょうみをかきたてられたことだろう。)
僕はどんなに興味をかきたてられたことだろう。
(なんとかして、もっとくわしくしりたかった。)
なんとかして、もっとくわしく知りたかった。
(きみはどこからきたの、ぼうや?)
「きみはどこから来たの、ぼうや?」
(ぼくのところってどこ?)
〈ぼくのところ〉ってどこ?
(ぼくのひつじをどこへつれていくつもり?)
僕のヒツジをどこへ連れていくつもり?」
(しばらくじっとかんがえてから、おうじさまはいった。)
しばらくじっと考えてから、王子さまは言った。
(きみのくれたきばこだけど、あれはよる、)
「君のくれた木箱だけど、あれは夜、
(ひつじのこやにできるからいいよね)
ヒツジの小屋にできるからいいよね」
(そうさ。きみがいいこなら、)
「そうさ。きみがいいこなら、
(ひるまひつじをつないでおくつなもあげるよ。)
昼間ヒツジをつないでおく綱もあげるよ。
(それからつなをむすぶくいも)
それから綱を結ぶ杭も」
(だがこのもうしでは、おうじさまのきにさわったようだ。)
だがこの申し出は、王子さまの気にさわったようだ。
(つないでおく?へんなの!)
「つないでおく?変なの!」
(でもつないでおかなかったら、どこかへいって、)
「でもつないでおかなかったら、どこかへ行って、
(いなくなっちゃうだろう)
いなくなっちゃうだろう」
(するとぼくのともは、またわらいだした。)
すると僕の友は、また笑いだした。
(いくって、どこに!)
「行くって、どこに!」
(どこだって。ずうっと、まっすぐ・・・・・・)
「どこだって。ずうっと、まっすぐ・・・・・・」
(するとちいさなおうじさまは、まじめなかおになっていった。)
すると小さな王子さまは、まじめな顔になって言った。
(だいじょうぶなんだ。ほんとうにちいさいから、)
「だいじょうぶなんだ。ほんとうに小さいから、
(ぼくのところは!)
ぼくのところは!」
(それから、なんとなくすこしかなしそうに、いいたした。)
それから、なんとなく少し悲しそうに、言いたした。
(ずうっと、まっすぐいっても、)
「ずうっと、まっすぐ行っても、
(そんなにとおくにはいけないんだ・・・・・・)
そんなに遠くには行けないんだ・・・・・・」